谷川 美佳 さん
第2期修了生
消費者庁消費者安全課事故調査室課長補佐・弁護士
ご経歴
2007年 神戸大学法科大学院修了
2008年 司法試験合格後、大阪にて司法修習
2009年12月 弁護士登録、神戸市の法律事務所に入所
2013年12月 消費者庁消費者安全課 事故調査室 課長補佐
退職後再び2015年12月から同職
谷川 美佳 さん
第2期修了生
消費者庁消費者安全課事故調査室課長補佐・弁護士
ご経歴
2007年 神戸大学法科大学院修了
2008年 司法試験合格後、大阪にて司法修習
2009年12月 弁護士登録、神戸市の法律事務所に入所
2013年12月 消費者庁消費者安全課 事故調査室 課長補佐
退職後再び2015年12月から同職
卒業後、大阪での司法修習を経て、神戸の弁護士事務所に就職しました。そこで4年勤務した後、2013年に夫の仕事の都合で東京に引越し、仕事を新たに探すことになりました。過去に起こった紛争の処理という弁護士の仕事に少し物足りなさを感じていたところ、現在の仕事の公募を見つけ、消費者庁に入庁しました。
出産のため、また夫の仕事の都合によっては関西に戻るかもしれないということから一度退職しましたが、消費者庁での仕事が非常にやりがいのあるものであったことや、当時の上司から戻ってこないかと声をかけていただいたこと等から、2015年12月に復帰し、現在に至ります。
過去に起こった事故の原因を究明して、同じような事故が二度と起こらないように、事故の再発や拡大防止策を関係省庁等に対して提言するという消費者安全調査委員会の事務局に在籍しています。具体的な業務内容としては、調査委員会の運営、専門家とペアで行う事案の調査や分析、再発防止策の検討、関係省庁との意見交換等、多岐にわたります。
はい。事故は複数の要因が複雑に絡み合って起こるので、事故発生に寄与した要因は何かということを、絡み合った糸をほどくように、ひとつひとつ丁寧に調査し、分析を行います。この調査・分析には、推測ではなく、客観的な事実の認定や詳細なリサーチが重要になってきますが、これらの作業は、弁護士としての経験がまさに生きているところです。「根拠は何か。」ということを常に意識し、結論に至った過程を大事にするという姿勢は、弁護士時代に先輩方から教わったことでもあり、大切にするようにしています。
また、現在の仕事では、法律の規制があっても事故が起こったということで、法律の穴を探すこともあるのですが、個別法の内容を知らなくても、法律の読み方はわかるので、この点でも弁護士としての経験が生きていると言えますね。
過去に起こった事故の教訓を未来にどう活かすかという、未来につながる仕事である点に大きな魅力を感じています。過去の事故の原因を究明することで、未来に起こりうる事故を防くことができるのです。
現在の仕事をつきつめてやっていきたいというのが目標です。身近な事故をなくし、大切な人を守るという命題をいかに実現するか、ということを模索していきたいと思っています。
弁護士業務を始めた当初は、自分が官公庁に勤務することになるとは、想像もしていませんでした。このように、これから先も何が起こるかわかりませんが、そのとき自分がやりたいと思ったことをできるような柔軟な環境に身を置いていきたいです。
弁護士はある意味個人プレーで、全て自分の責任で仕事を行いますが、現在は組織に所属しているため、何か案件を通そうと思うと判断を仰ぐ必要があります。そのため、自分だけの判断では動けないというところがあります。
また、各省庁との協議のノウハウなどを一から勉強しなければならないことや、自分の親ほどの年代の部下とのコミュニケーションなども、試行錯誤しながら行っています。
娘を保育園に預けながら働いています。上司も子育て世代で、職場の皆さんのご理解もあるので、非常に仕事のしやすい環境を与えていただいています。すごくありがたいですね。
夫と娘を送り出してから急いで後片付け・夕食の下ごしらえ等をして出勤、基本的に残業はせずに定時で娘を迎えに行きます。帰宅後は夕飯をつくり、娘に食べさせ、お風呂に入れ、寝かしつけ、たまった洗濯物を片付け、保育園に持っていくものを準備し・・・気がついたらソファで寝ているということもままありますが、夫が育児に協力的で、私の仕事が忙しいときは率先して保育園にお迎えに行ってくれたりするので助かっています。また、双方の母に手伝いに来てもらったりもしています。支えてくださる皆さんに、感謝です。
私の仕事のスタイルや勉強の仕方はロースクールが原点です。ソクラテスメソッドは、自分で考えて自分の言葉で発言するという力を鍛えられるのですごくよかったと思います。仕事でも、例えば会議で何も発言しないというのは自分のいる意味がないとみなされてしまうので必ず自分の考え等を発言するようにしています。
頭の中にある考えを言葉にして、他人に分かりやすく伝えるという作業はとても難しいことです。試験に必要な知識だけなら予備校でも身につくかもしれません。しかし、このような「自分の言葉で発言する」能力や、事実認定能力、リサーチ能力、論理的文章力・思考力などは、レポート課題や講義の予習、講義時での発表等が求められるロースクールでなければ身につかないものです(と、今は思います!)。司法試験に受かることを目的にするのではなく、将来どんな仕事に就きたいのかを思い描きながら勉強していってください。
インタビュー実施日・場所:2016年3月18日・消費者庁(東京)
インタビュアー及び記事編集者:森永有紀