概  要

海外エクスターンシップ

本研究科は、毎年、海外(マレーシア、インドネシア、ミャンマー、タイ、シンガポール、台湾、中国、香港、韓国等)の法律事務所等におけるエクスターンシップに、学生を派遣してきました。

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グローバル化した現在の社会における商品の生産や流通は、世界中に張り巡らされたサプライチェーンを通じて行われ、一国内で完結することはほとんどありません。それは、パソコンや携帯電話のようなハイテク商品に限らず、私達が日常的に利用する衣類や百円ショップの商品群などでも同様です。こうしたビジネスを展開する際には、国際的な契約が頻繁に用いられています。しかし、国際的な契約を適切に締結するには、高度の法的知識が必要です。法律家が国境を越えて協力しなければならない業務も急増しています。そこでは、英語力や法的知識が必要であるだけではなく、各国の社会文化や政治的状況等も、しっかりと理解していることが重要となります。

このように、国際的なビジネスに関する法律業務への需要は高まる一方です。しかし、日本の大学が伝統的に提供してきた法学教育には、こうした需要に応えるには限界があります。それを乗り越えるための鍵となるのが、海外エクスターンシップのプログラムです。海外エクスターンシップでは、国際的なビジネスに関する法律業務はもとより、海外における実生活を通して、現地の実情に見分することができます。それは、国内では得られない貴重な経験となることでしょう。

このように、海外でのエクスターンシップは、これから法律家として活躍するために法科大学院生である間にぜひ経験しておくべきものです。本法科大学院では、そのためにアジア各国の法律事務所との連携を促進し、希望者全員を適切なエクスターンシップ先に派遣できる体制を構築しました。現在では、この海外エクスターンシップで得られた経験やネットワークを活かして、多数の修了生が国際的な法律業務で活躍しています。
*海外エクスターンシップは、2022年度までは「海外インターンシップ」と呼称していました。

参加者の声



中山 貴博

弁護士法人大江橋法律事務所 弁護士
神戸大学法学部卒、2011年神戸大学法科大学院修了。
司法修習生(65期)を経て、現職。


私は、2011年6月から9月までの約3か月間、マレーシアインターンプログラムに参加しました。私は、このインターンが非常に素晴らしい制度であると確信しており、ここでは、参加者として、皆様にこの制度の魅力についてお話しさせていただきます。 現地では、各弁護士から様々な課題が提供されるのですが、そのいずれもが刺激に溢れるものばかりでした。ある弁護士は、「分かるまで議論しよう、法律も英語も分からないことは一緒に調べよう」と言い、彼とは長時間にわたり議論をしました。また、事務所のボスから出された課題が難しくて困っていたところ、他の弁護士がヒントをくれるという一幕もありました。他にも、M&A案件のキックオフミーティング等の会議または裁判所における期日に同席するなど、これらはほんの一例にすぎず、彼らは常に親切で、忙しい中我々に時間を割いてくれました。

また、弁護士のみならず、多くの職員が惜しみなく時間を共にしてくれたお陰で、食事や旅行に何度も行くことができました。

これらの経験は、法律知識や英語能力の涵養のみならず、外から日本を見ることや、難しいことを簡単に伝えることの重要性を再認識する契機となる等、様々な形で今の糧となっています。また、今でも交流が続く多くの友人ができたこともかけがえのない財産です。

実務家になってから、海外にてインターンを経験するということは非常に困難ですが、神戸大学LSでは、インターンへのアクセスが確保されており、これほど恵まれた環境は他に類を見ません。

皆様が、神戸大学LSで充実した生活を過ごされるとともに、マレーシア等での海外インターンシッププログラムを通じて飛躍の機会を得られることを心より祈念しています。

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国際商事仲裁


国際商事仲裁は、国際ビジネスにおける標準的な紛争解決方法として定着してきました。しかし、日本企業はそれを十分活用することができておらず、それは日本企業の国際競争力にも影響を与えかねない深刻な状況にあります。神戸大学は、国際商事仲裁・投資協定仲裁の研究教育の日本における拠点となるべく、仲裁の実務経験を有する外国人教員を確保するとともに、海外の有力な仲裁法律家や世界中の仲裁機関とのネットワーク作りに取り組んできました。