概  要

専攻長からのメッセージ

法科大学院が設立され、20年が過ぎました。私が助教授(当時)に昇任したのと同じ2004年4月の設立で、その間、文字通り激動の歴史を見てまいりました。設立当初の熱気、全体合格率の低下による人気の低落、厳しい就職状況、多くの法科大学院の閉校、コロナ禍、法曹コースや在学中受験の開始など、様々なことがありました。しかし、そのような逆境や変革を経つつも、今は多くの問題が落ち着き、安定した状況にあるように思います。

神戸大学法科大学院は、これまでそれら困難な状況にあっても、高い司法試験合格率を維持するなど着実に成果をあげ、優秀な法律専門家を多数育成してきました。そのために、教育方法の改善、カリキュラムの改正、入試の改善など常に不断の努力をしてきました。より具体的には、未修者に対する手厚い学習支援(未修者スタートアップ・プログラム)、基本法律科目と実務家の授業の連動、学生・教員・同窓会組織のタテヨコのつながりの重視(面談、サポートゼミ、就職情報提供会など)、大学の成績評価と司法試験の合格結果が関連していることの検証、多くの法学部との法曹コースによる連携などです。

これらは、単に目先の問題を解決するためのものではなく、我々のシンプルな教育の目標を実現するために行われたものです。それは皆さんに司法試験に受かってもらうこと、さらにそれにとどまらず、社会に出た後に役に立つ実務的な、あるいは先端的な知識と考える力という付加価値を身につけてもらうことです。特に、充実した専任教員による展開・先端科目の配置、企業内法務に特化した科目や海外エクスターンシップの実施などに付加価値という観点から力を入れてきました。また、最近は次世代研究者の養成にも努めています。

とはいえ、これまでの成果は、大学の努力による部分もありますが、最後は、これまで在校した学生のみなさん一人一人が、大学の教育やサポートを上手く活用しながら、学修に励まれたことが一番の決め手となっています。そのことを忘れず、充実した学習環境や一緒に学ぶ優れた同級生を求めて、本法科大学院に入学されることを心よりお待ちしております。我々も、教育目標の実現のために引き続き努力することを惜しみません。

実務法律専攻長(法科大学院長)
嶋矢 貴之