神戸大学法学部は、1902年(明治35年)の神戸高等商業学校(神戸高商)の創立に遡る120年余の歴史をもち、明治期以来のわが国の社会科学をリードする教育研究機関として、法学・政治学分野における学問的発展に貢献するとともに、多様な分野で活躍する卒業生を輩出してきました。神戸の美しい街並みと大阪湾を一望できる六甲台キャンパスは、社会科学系図書館や出光佐三記念六甲台講堂など、登録有形文化財にもなっている気品ある建物を複数有し、その歴史と伝統を実感することができます。
神戸大学法学部では、法学と政治学を学ぶことができます。私たちは、一人ひとりそれぞれ異なる価値観や考え方、立場、利害をもちながら、社会の中で生きています。法学・政治学は、私たちが自身のありよう―自分らしさ―を失わないようにしながら共存して生きるためにはどのような社会システムや考え方が必要なのか、そのような社会システムや考え方はどうすればうまく機能するのか、現代社会においてどのような社会的課題や紛争があり、それらをどのように解決すべきなのかといったことを分析し、探究する学問分野です。
解決が求められる社会的課題は、時代の変化や国際・社会情勢によってさまざまに変化します。急速に科学技術が発達し、国際化の進む現代社会において、多様で新しい社会的課題に取り組むためには、法学・政治学の正確な素養に加えて、関連諸領域の知識や、国際性、幅広く柔軟な思考、豊かな発想力も必要となります。これらの高度な知識と能力を身に付けた卒業生を社会に送り出すことが、神戸大学法学部の使命であると考えています。そのために、神戸大学法学部の教員―法学・政治学の幅広い分野において、第一線で活躍する優秀な研究者が揃っています―は、優れた研究成果を発信し続けるとともに、高い研究力を日々の教育活動にも還元すべく、常に教育内容の改革や改善に努めています。現在、神戸大学法学部では、法曹を目指す学生のために「法科大学院進学プログラム(法曹コース)」を、法学・経済学両方の発想と知識を身につけたい学生のために「法経連携専門教育プログラム」を、国際機関や政府、企業などで国際紛争解決や国際交渉にあたる人材を養成するために「大学院法学政治学専攻進学グローバル・プログラム(速成プログラム)」を、それぞれ設けているほか(各プログラムの内容にご関心をお持ちの方は、このページの上部にある各教育プログラムのリンク先をご覧ください)、データ分析力・AI活用力に関する基礎的素養を培うための全学的プログラムである「神戸大学数理・データサイエンス・AI教育プログラム」なども用意しています。法学・政治学教育に加えて、こうした特別教育プログラムを提供することで、学生の学びの質を高め、学生が希望する進路に応じた学習と成長を実現できるように努めています。
以上のような神戸大学法学部における教育・研究活動は、卒業生の方々や同窓会組織をはじめ、さまざまなステイクホルダーの皆さまからの多大なご支援とご理解によっても成り立っています。大学を取り巻く環境が厳しさを増すなかで、皆さまからいただくご寄附や人的ご支援の重要性はますます高まっています。いただくご寄附や人的ご支援に心より感謝を申し上げるとともに、長い伝統を踏まえつつ、今後も卓越した教育・研究環境を維持し発展させることを通して、引き続き、神戸大学法学部の使命を実直に果たしていきたいと考えています。