大学院の歩み

人とのご縁を大切に ~繋がりが弁護士を支える~

利光 伸宙 さん

第10期修了生
北浜法律事務所・外国法共同事業・弁護士


ご経歴
2012年3月 広島大学法学部卒業
2015年3月 神戸大学法科大学院修了
2015年9月 司法試験合格
2016年12月 司法修習修了(第69期)、弁護士登録(大阪弁護士会)
2017年1月 北浜法律事務所入所


現在のお仕事の内容を教えてください。




私は現在、北浜法律事務所でアソシエイト弁護士として仕事をしています。扱っている分野は、企業法務(特に労働関係事件)、一般民事事件、刑事事件など、幅広いです。

具体的には、労働事件に関していうと、個別労使紛争(会社と従業員とのトラブル)を担当することもあれば、就業規則の変更や労働契約書のチェックなど予防法的な業務もこなしています。他にも、デューデリジェンスといって、M&Aの際に買収の対象となる会社の法的なリスク(対象会社が多額の賠償債務を負いかねない紛争など)の有無、会社が事業遂行に必要な許認可をとっているか、知的財産権を侵害していないかなどの調査もします。

弁護士は人や会社の運命を背負う職業ですから、どのようなご依頼にも責任をもって精一杯対応しています。

法科大学院在学中の様子を、未修者としてのご経験を交えて教えてください。

私は元々人と議論をすることが好きで、法科大学院在学中は同期と議論をしながら勉強をしていました(もちろん、議論の前提として、最低限のインプットは必要となりますが、この部分は独力で頑張るしかありません。)。特に、私は未修出身でしたので、既修者の人たちと積極的に関わりを持つよう意識していました。

司法試験は、言ってしまえば相対評価の試験ですから、人と関わりながら勉強することは必須だと思います。というのも、自分は周りと比べてどの位置にいるのか、自分は何ができて何ができないのかがよくわかるからです。それに、議論を通じてアウトプット能力も身につきます。

問題演習に関しては、なるべく早い時期から司法試験の問題に目を通し、書くことに慣れるよう努めました。法科大学院生の中にまだ司法試験の問題をみたことがないという人がいれば、惜しまず早めに手をつけてください。一読するだけでも構いません。

また、これは既修者の方に向けてのメッセージですが、ぜひ未修出身の方とも積極的に関わってみてほしいです。未修出身の方の中には社会人経験者の方もおり、学生経験しかない方は持ち合わせない着眼点を有しておられ、会話が新鮮で勉強になることも多いと思います。

もちろん、ときには息抜きも必要です。私は気分転換に運動をしたり(関西圏の他の法科大学院生と野球やフットサルの試合をしたこともあります。)、定期試験終わりの長期休暇には自分へのご褒美に海外旅行に行ったこともあります。法科大学院にいる人たちは、自分の苦しさ、悩みをよくわかってくれる大切な仲間でした。

法科大学院で学んだことを、仕事にどう活かしていますか?

法科大学院時代にできた人間関係は、ビジネスや損得なしに付き合いができる貴重な存在です。法科大学院で培った学生や教授、実務家の先生方との繋がりは、私の法曹としての人生の礎になっています。

それと、法曹関係者の方々は人情味あふれる方が多い印象があります。法科大学院在学中、あるいは社会に出てからも、先輩方や先生方にお世話になる機会も多くあります。私は弁護士になって5年目ですが、先輩や先生方から受けた恩を後輩に還元するように意識しています。こうして、法曹界の人たちがより強い繋がりを持ち、良い連鎖になればと思っています。

こと勉学に関していうと、例えば私が司法試験の選択科目として選んだ労働法は法科大学院で学んだことが実務に活きていると実感できますから、やっていて楽しいです。実務では、労働関係の事件をきっかけにご依頼をお受けすることも多々ありますから、その意味でも勉強して損はない科目ではないでしょうか。労働法は判例が多く、実務に出てからも常に情報のアップデートが必要で大変ですが、北浜法律事務所では労働法勉強会が定期的に開催されており、最新の判例や法改正にも対応できるように日々研鑽を積んでいます。

法科大学院修了後、現在の法律事務所にご就職なさるまでの経緯を教えてください。


私は、法科大学院で築いた人間関係を活かすために関西を中心に就職活動をしていました。中でも北浜法律事務所は、まさに私の想像していた弁護士像が反映された事務所でした。一般事件から専門分野まで幅広い業務を経験でき、その中で自分の成長を実感できます。自分は、身近にいる困った人を助けたいという思いがきっかけで法曹の道を選びましたから、企業だけでなく個人のお客様の依頼も受ける北浜法律事務所が肌に合っていると思っています。

そして、就職活動の過程で気づいたのは、自分の強みを知り、それをいかに相手にわかってもらうかが重要ということです。自分のことを知ってくれる人が多いほど、良いご縁のチャンスにもなりますから、法科大学院の皆さんも積極的に自己アピールをしてみてください。

将来の展望を教えてください。

私は仕事をする上で、自分がジェネラリストかつスペシャリストであるように意識しています。特にスペシャリストであることはとても難しいことです。

ここで大切なのが、いかに戦略を持つかです。皆さんは、ブルーオーシャン戦略とレッドオーシャン戦略を聞いたことがありますか?ブルーオーシャンとは競争のない未開拓の分野を、レッドオーシャンとは競争の激しい分野をいいます。前者は、敵もいない代わりに自分のしていることが正しいのかわからない難しさがありますし、後者は開拓された分野の中でいかに自分らしさを確立するかが難しいです。

どちらも一長一短ですが、私は前者の戦略を主としています。というのも、答えを所与のものとして与えられるのは安心しますが、知らない場所に突き進んでみるのは知的好奇心が充たされとても楽しいからです。せっかくなら、自分の道を切り開くことに夢を持てる弁護士であり続けたいと思いませんか?

学生に向けてメッセージをお願いします。

私は、人とのご縁を何よりも大切にすべきだと考えます。それは、学生時代に出会った人に限らず、司法修習のとき、社会に出たときにも同じことが言えます。人との繋がりは思わぬところで役に立ったり、いざというとき自分の背中を押してくれたりもします。

ですから学生の皆さんは、これまで出会った人、これから出会う人とのご縁を大切にし、自分の糧にしていってください。いつか、同じ法曹として皆さんとお会いできるのを心待ちにしています。

お忙しい中ありがとうございました。さらなるご活躍を期待しております。
インタビュー実施日:2021年3月4日
インタビュアー及び記事編集者:久野 夏樹
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