HOME > Investment Arbitration Moot

模 擬 投 資 仲 裁Investment Arbitration Moot

2015年国際仲裁模擬裁判 Foreign Direct Investment International Arbitration Moot

大会の概要Overview

2015年の国際投資模擬仲裁大会・アジア太平洋予選(FDI Moot Asia-Pacific Rounds)は、去年と同じく、韓国・高麗大学(ソウル)で開催されました。神戸大学からは、法学部「国際法演習」(3,4年次。担当:玉田大教授)に所属する法学部生(3名)とGMAPコース大学院生(1名)がチームを形成し、参加しました。チームは、申立人側2名、被申立て国側2名の4名であり、4名のサポーターが随伴しました。大会後には、韓国商事仲裁院(KCAB: Korean Commercial Arbitration Board)を訪問し、国際商事仲裁・国際投資仲裁の実務を説明・案内してもらいました。

ページトップへ戻る

大会のスケジュールSchedule


 

ページトップへ戻る

神戸大学チームの参加報告

ゼミでの準備内容

まずは、ゼミで参加者全員とともに小寺彰編著『国際投資協定』、及び、酒井啓亘(ほか)編著『国際法』の第5編第1章第3節を読んで国際投資法の基礎を学びました。その上で、JCAジャーナルの「投資協定仲裁判断例研究」を読みました。それに基づいて、国際投資法の全体像を勉強し、国際投資仲裁では一般的どのような紛争が解決されるのかを理解するようになりました。

そして、今年の問題文を読んで分析しました。最初に読んだ際には、初めて見る専門用語が多く大変だと思いましたが、参加者全員で討論しながら、事実関係をまとめて、論点を整理しました。FDI模擬仲裁に参加する上で自分達の主張を立証するために、各論点に根拠をつける必要があるため、大量の論文と判例をリサーチしなければなりません。また、それらの資料の大半は英文だったため、準備作業にはとても時間がかかりましたが、大変勉強になりました。

最後に、FDI模擬仲裁ではスケルトン(書面)と弁論がすべて英語で行われます。それ故、英語での議論、またはプレゼンテーションをする能力を身につけることが望ましいです。授業中では時事問題について、英語でのディベート練習が実施されています。模擬仲裁本番では、必ず綺麗な発音、正しい文法で話すことは要求されません。弁論者はできる限り大きな声で自分の意見をわかりやすく話すように努力していました。このような弁論練習に慣れれば、本番の試合で大いに役立ったと思います。

徐 虹

学生独自の準備内容

準備はスケルトン作成と対戦校スケルトン分析の大きく2点に分けられる。まずスケルトン作成に関しては、個人で大会の問題文を読み、それを理解することから始めた。そして問題文に記載のある請求内容に合致するように学術書や論文や判例を読み解き、法律論を展開し、それに対して事実の当てはめを行った。その際、どのような点が問題となるのか、どのような主張を行えば有利に論を展開することができるのかといった点に関しては、何度も学生同士で意見交換や議論を繰り返すことでチームとしての主張を作り上げることにより解消されるに至った。

その後対戦校が確定してからは、対戦校の主張がどのようなものかを全員で分析し、それを基に弁論者各個人は自身の弁論原稿の作成に励んだ。特に、原告は管轄権について被告は本論について対戦相手の主張と対応させる必要があったため、そこに多くの時間を費やした。大会直前も文献調査を進め、より適切な主張を探すと同時に弁論練習を行っていった。

以上の作業は概ね弁論者が主体となり行った。そしてその弁論者各々に対してサポーターを1人付けることによって弁論者の主張や文献の理解、問題文等の整理をより効率の良いものとした。またサポーターは弁論者の疑問点を解決する役割も担った。

今後の改善点として挙げられるのは時間管理であると思われる。時期的にも学校の試験と被るところがあったために、余裕をもって準備することができなかった。しかしながら、もう少し徹底した時間管理を行えていれば、弁論練習などにも時間を割くことができただろう。主張や質問対応の練習に時間をかけることができれば、成績向上につながると思われる。

服部 賢佑

スケルトン

FDImootでは弁論大会前に1,500字以内の書面(Skelton Brief)を提出する。短い文字制限のために、内容はかなり簡略に主張を要約したものとなる。私自身は書面を短く分かりやすい、もしくは読みやすいものにすることに初め失敗したが、どのように主張を組み立てたら良いかのサポーターさんの助言をもらい、提出までに最終的には改善するよう努めた。

主張を考えるにあたり、例えば、ゼミでの他の方のレジュメを見返したり、同じ資料を繰り返し読んだりして、頭の中の考えを整理する必要があった。内容はゼミで触れた部分に加え、それ以外の部分も多く含む。そのため、判例や資料探しが必要である。サポーターさんが論点にぴったりの資料を持ってきて下さることもある。探すのに加えて大事なことは、資料内容を理解することである。

重要な論点は多く触れるべきかとも思うが、それができるとも限らない。今回の問題は、jurisdiction, meritに関する主張に加えて賠償についても主張しなくてはならなかった。ただし、賠償に関しては分からないチームが多く、書面にその内容を含めていないチームもあった。

書面で大事な主張を欠いたとしても、弁論評価には影響しない。私は書面提出後に自分の提出した内容を思い返すと、落ち込んで弁論内容準備に乗り気がしなかった。しかし、書面と弁論は完全に個別に採点される。また、他のチームの書面は弁論大会の前に公開され、特に対戦相手の書面を読み、反論する内容を組み立てることや、書面提出までに分からなかったことも他のチームの書面からヒントをもらうことも可能である。したがって、提出後は、書面のことで後悔せず、弁論準備に専念するのが良い。

吉田 奈央

弁論演習について

今回は私にとって人生初の弁論大会への参加だった。大変良い経験だったが、FDI模擬仲裁を通して自分の未熟な点も十分に認識できた。まず、自分の一番の課題は英語だと思う。次に、弁論スキルもかなり欠けている。勿論英語は短時間で上達する事は不可能で、一方、弁論スキルは練習すれば、短時間でも上手くなれると思った。今回の大会を通して、良い弁論者は弁論の内容の正確さだけではなく、仲裁官から質問されたときの対応、弁論の話し方、話すスピード、話すときの表情、座る姿勢まで評価の対象になる。例えば、弁論するときに、仲裁官から多くの質問をされ、事前に準備していた質問なら、早く答えられるが、準備していない質問をされれば、すぐ質問に答えられなくとも、適切な対応方法を弁論スキルとして準備する必要がある。また、事前に弁論練習をしていなければ、本番の際には緊張感がより増し、声も出なくなり、限られている時間を無駄に使い、準備した内容も言えなくなる。今回の大会の経験から見ると、事前練習の重要さを痛感した。

段 桂芝

大会の雰囲気

流石に、大会の雰囲気が国際的で、アジアの国々の大学のチームが参加をしていました。試合前の透明な緊張感がもあって、次にいらっしゃって来た方々も挨拶せずに、微妙に友情のない思い空気もありました。皆は静かにチーム内で最後の練習をしていたり、仲間に応援されてたり、黙ってコーヒーを飲んだり、心の準備と覚悟を決めていた方も居ましたでしょう。

試合中には、皆が相手のチームに丁寧な態度を出しました。友交的と言えるほどではありませんが。試合後も次の試合を見に行ってたり、参考にしてたりをしていた人も多くて、真面目で、激しい雰囲気でしたが、また静かでした。きわめて簡潔に、敵対的な雰囲気でした。

SOARES DE AZEVEDO Viviane

レセプションについて

レセプションは、FDI模擬仲裁の大会最終日に行われる、全試合の結果発表および表彰を兼ねた立食パーティーで、大会参加者全員が参加する大規模なものでした。惜しくも、神戸大学チームは結果を残すことはできませんでしたが、レセプションでは、試合の際には緊張してあまり会話ができなかった対戦相手や質問を受けた仲裁官とも気軽に話をすることができました。一部の対戦相手や仲裁官とは、試合の具体的な内容についてフィードバックを得ることができ、改めて試合全体を振り返ることができる良い機会であり、かつ、新たに国際的な人脈を作るとても有益な機会でもありました。

阪井 美帆

実際の弁論

実際の弁論の場に立つと、準備と問題の研究の重要さが明白になりました。

弁論は形式として、プレゼンテーションとディベートとの二部に分けられています。そして、ディベートは相手に対しての反論などより、裁判官の質問を正確に理解し、冷静かつ出来るだけ厳密に答えるほうが重要だと思いました。

出場経験から、仲裁官は、弁論者が見落としていた重要な根拠や論点、事実に関する質問を行う傾向があることが分かりました。また、弁論内容における曖昧な意見や説明不足の部分に関しても細かく質問されました。それらの質問に対応するために、問題の事実関係を精読し、関連する判例を良く理解した上で、自分の主張の論理をしっかり立てなければなりません。

試合直後の仲裁官からのコメントによると、「質問される側として、冷静さを失ってはならない」という助言を頂きました。また、「私達(仲裁官)を法律の知識の持つ子供だと思ってください」、「今回の事件に最も詳しいのは、時間をかけて準備してきた君たちです。それを仲裁官に伝えるのも"代理人"の役割である」と、貴重なアドバイスを仲裁官から頂きました。

劉 黒?

KCABの訪問

今年の8月24日、私はリーダーとして、FDIチームを率いて、KCAB(Korean Commercial Arbitration Board)を訪問した。この前に、KCABのSeonminさんを連絡して、訪問の時間や内容を打ち合わせた。KCABの行き方はLine2を利用し、Samseong駅で降る。6番出口を出して、TRADE CENTERに行って、KCABはこのビルの43階である。そして、KCABのSamseong駅でcity airportがある。まず、航空券をもらって、荷物を預けることがお勧め。

KCABは韓国で有名な仲裁廷である。毎年800件の国内仲裁や国際仲裁訴訟が受けている。KCABは1966年で成立した。来年は成立した50周年である。KCABは神戸大学の学生がインターンシップの機会も提供している。

今年のKCABの訪問は残念だと思う。KCABは多くの仲裁があるので、小仲裁庭のみ空いている。大仲裁庭や談話室などが見えなかった。ビデオが失ったので、仲裁のビデオを見る計画も中止した。だから、今回の訪問はSeonminさんに対して、FDI Mootや仲裁庭についていろいろな質問を提出した。KCABのスタッフさんは事務を勤めるので、深い質問を提出しないほうがいいと思っている。FDI MootやKCABについての質問がお勧め。

趙 偉熹

今後の参加者へのアドバイス

FDI模擬仲裁では、弁論者は大きく分けて4つの点で評価されます。1. 問題文の理解度、2. 主張の論理性(スケルトンを含む)、3. 国際投資法に関する専門的な知識、および4. 弁論技術が挙げられます。今回のFDI模擬投資仲裁を通して、最も準備不足であった点は4弁論技術です。FDI模擬仲裁に参加する他のチームは英語がとても堪能で、はきはきとした力強い弁論が多く、試合後の仲裁官によるコメントにおいても弁論方法に対するコメントが多く、弁論の重要性を痛感しました。そのため、弁論者の方は普段からチーム内においても英語で大会の準備をすること、または英語でのディベート練習を行うことをお勧めします。

サポーターは、弁論者として出場しなくとも、大会出場に関する事柄を積極的にサポートすることが重要だと思います。特にスケジュール管理や宿泊先の確保、会場への交通手段の確認等の雑務もFDI模擬仲裁に参加するに当たり重要な作業であり、サポーターがこれらを重点的に行うことにより弁論者の準備時間をより長く確保することができます。また、スケルトンや弁論のサポートとしては、サポーターは弁論者と異として第三者の視点で考えることが重要です。この点を活かして自分達の主張の弱い部分や対戦相手から反論されうる部分を見出し、かつ、仲裁官からの質問を予測して本番の試合に備えることが重要です。

最後に、FDI模擬仲裁はチームとしての団結力が最も重要です。役割に関係なく柔軟に助け合い、楽しく準備をすることが入賞への一歩に繋がると思います。

阪井 美帆

ページトップへ戻る
Copyright © 2014 Graduate School of Law and the Faculty of Law, Kobe University. All Rights Reserved.