概要

法学部案内 神戸大学法学部の特長

特長1 質量ともに充実した教員

1. 国内外で活躍する教授陣による全国屈指の教育体制

神戸大学法学部の最大の特長は、国内外で活躍する教授陣による全国屈指の教員体制です。総数50名を超える教員は、各専門分野を代表する研究者で、国内はもちろん国際的においても活躍し ています。神戸大学法学部では、教員1 人あたり入学定員約3 名という全国トップレベルの「教員と学生の距離の近さ」を活かして、幅広い分野において、最先端の研究に基づく授業を少人数で受けることができます。卒業後の進路としては、金融・保険や官公庁を初めとする就職以外に、法科大学院に進学し、法曹(裁判官、検察官、弁護士)を目指すこともできます。神戸大学法学部の多くの卒 業生は、法曹界はもちろん、国内外を問わず様々な分野において活躍しています。

 神戸大学法学部では、学生一人ひとりが、高度な法律学・政治学の内容を正確に身に付けることができるように、基礎科目から応用科目まで、多くの科目において他大学に例を見ないほど充実した少人数教育を実施しています。なかでも、すべての学年の学生に提供されている「演習(ゼミ)」では、学生自らが自らの関心にあった研究分野を選択し、同じ関心を持つ仲間とともに、教員との対話を重ねて、内容をより深く理解するととともに、説得力の議論の仕方などを学ぶことができます。

2. 多彩な教育プログラム

 神戸大学法学部では、国内外で活躍する教授陣による全国屈指の法律学・政治学の教育以外に、学生の皆さんの将来の可能性を広げるための多彩なプログラムを用意しています。例えば、経済学部との連携で開講されている法経連携専門教育プログラムでは、法律学・経済学両方の知識と発想を身に付けることができます。

 さらに近年、神戸大学法学部では、急速化に進行するグローバル社会で活躍できる人材を育成するために、学生の皆さんの「国際力」の向上に力を入れています。専任の外国人教員による授業のほか、国際的に著名な専門家を招いての特別授業や講演などを数多く開催しています。学生の皆さんの海外法律事務所(マレーシア、台湾)でのインターンシップや留学に関しては、EUIJ関西・EUエキスパート人材育成プログラムやASEAN Plus教育プログラムで全面的にサポートしています。海外インターンシップや留学には、1年生から参加することができます。また、神戸大学法学部では、世界15か国から100名を超える留学生が学んでおり、海外に行かなくても、留学生との交流を通じて「国際力」を高めることができます。

研究を語る

前田 健 教授

知的財産法。東京大学理学部卒業、東京大学修士(理学)、東京大学法科大学院修了。司法修習生、東京大学法学政治学研究科助教を経て、2011 年より神戸大学法学研究科准教授。

 私の専門は知的財産法です。知的財産法は、発明や著作物、商標といった「知的財産」を保護する法律です。創作活動を奨励したり、商売に対する信用を維持発展させることができるためには、知的財産権という権利を創ってそれを保護することが必要であると言われています。作り上げた知的な創作物や築き上げた信用を、誰でも自由に利用できるとなると、コストをかけてそのような活動を行うインセンティブを失ってしまうからです。もし知的財産権がないと、社会にとって必要なそれらの活動が行われなくなってしまいます。

 ただ、かといって知的財産をただ保護すれば問題が解決するわけではありません。知的な創作物は利用者に利用されて初めてその価値を発揮するといえますし、近代物理学の祖であるニュートンは「私が遠くを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからだ」と語ったと言われるように、そもそも知的な創作活動は、過去の膨大な知的創作物を下敷きにして発展していくものです。創作活動の保護とその成果の活用との間の適切なバランスをとる必要があります。しかも、情報通信技術など科学技術の急速な発展、取引環境の劇的な変化によって、知的財産法を取り巻く状況は大きく変わってきています。既存の法学にとどまらず、幅広い視野と教養が問題の解決にはかかせません。それだけに大変に取り組みがいのあるテーマだと思います。

特長2 多様な教育手法・多彩なカリキュラム

Ⅰ 多様な進路目標に対応

 神戸大学法学部を目指される皆さんのなかには、将来、法曹となって活躍することを目指している方も多いでしょう。本学の法学教育のレベルの高さについては定評があるところであり、数多くの卒業生が法曹界で活躍しており、過去3 年間の法科大学院進学者は97人に及んでいます。しかし、卒業生の活躍は法曹界にとどまらず、様々な分野に及んでいます。

 神戸大学法学部では、学生の多様な進路目標に応じた法学・政治学教育を提供するために、3つのコース(司法コース、企業・行政コース、政治・国際コース)を設けています。まず1年生及び2年生の段階において、法学・政治学の各分野の基礎的な演習・講義を幅広く提供し、自分の適性を発見してもらい、3年生のときにコースを選択してもらいます。各コースで履修すべき科目については、それぞれの進路志望に応じて必要十分なものとなるように配慮しています。

3つのコースの概要

司法コース

(将来の進路)
法曹(法科大学院の既修者コース進学)

(履修スタイル)
基本的な法律科目を中心に履修


企業・行政コース

(将来の進路)
国家公務員や地方公務員、または企業

(履修スタイル)
基本的な法律科目を中心に、基礎法・国際法・政治・国際関係の科目を幅広く履修


政治・国際コース

(将来の進路)
国際公務員、外交官、ジャーナリスト、政治家、民間の企業やNGO / NPO、または大学院や法科大学院未修者コース

(履修スタイル)
政治・国際関係科目を中心に、法律科目・基礎法・国際法については幅広く履修

Ⅱ 講義と少人数授業の連携

 神戸大学法学部では、比較的多人数を対象とした講義形式の授業が内容に工夫を凝らし開講されるほか、その発展・補充等を目的とした少人数の演習形式の授業が非常に充実しています

1 講義による専門科目

 講義形式の授業が行われる科目は、大きく法律科目と政治学科目に分かれます。法律科目は、さらに、実際に社会で行われている法を対象としたいわゆる実定法科目と、実定法の理解の深化に不可欠な基礎法科目とよばれる科目におおまかに分けることができます。

 まず、実定法科目、基礎法科目、政治学科目を担当している教員に、それぞれの科目・授業の特徴を語ってもらいます。

(1)実定法科目(民法の場合)

窪田充見 教授

民法、特に、不法行為法と家族法を中心に研究を行っており、各種の立法や法改正の作業にも携わっている。

 民法の授業は1年生の後期の民法Ⅰから始まります。民法Ⅴまでの5科目を2年半で学ぶことになりますから、ずいぶん多いですね。民法のルールには、契約や損害賠償、家族や相続といった日常に関連することが少なくあ りませんが、ずいぶん複雑な問題もあります。また、学生諸君にとってはまだ身近に体験していないことも多いでしょう。私の授業では、できるだけ学生諸君にとっても理解できる具体例を前提に、基本となる概念がどんなものなのか、どうしてこのようなルールがあるのか、それについてどんな議論があるのかということを説明していきます。わかりやすい授業を心がけているつもりですが、さて学生諸君はどう受け止めてくれていることでしょう。

T・Yさん

 民法は私法の一般法、つまり日常生活の基本的なルールを定めた法律です。窪田先生の講義は、身近で分かりやすい具体例を交えて行われるので、とても理解しやすく初学者から専門的に学びたい学生まで非常にお勧めです。

(2)政治学科目

大西 裕 教授

行政学。政治と経済の交互作用を比較政治学的な観点から分析する。韓国高麗大学に客員教授として留学。著書に『韓国経済の政治分析』『アジアの政治経済・入門』(共編著)など。

 神戸大学法学部では政治学に関するカリキュラムも充実しています。国際関係論・政治学・政治過程論などさまざまな科目が開講されています。講義では、選挙やゴミ処理などの身近な政治問題について、政治・外交の歴史について、あるいは日々新聞、テレビで報道される戦争や地球環境問題といった国際問題について、ものの見方や分析の方法を提供します。遠い世界に思われがちな政治の世界が、意外にも日々の生活と似た理屈で動いていることが分かると、新聞の政治・国際面が楽しみになるでしょう。その先にある専門書というさらに躍動的な世界に皆さんを誘えることと思います。

I・M さん

 大西先生の講義の魅力は理解促進の為の様々な工夫がなされていることです。先生が身近な例を挙げ、学生が考えを述べたり、各項目の関連性の説明がなされることで、自然と行政学に関する知識や理論に興味が湧き、有意義な授業となりました。


2 充実した少人数教育

 神戸大学法学部では、すべての年次に少人数科目を提供しています。以下では、各年次の少人数科目の特徴について、4人の教員に紹介してもらいましょう。

初年次セミナー・1 年次演習(法律科目)

小野博司 教授

専門は、日本法史。東アジアにおける西洋法の継受に関心を持つ。著書に『戦時体制と法学者』(共編著)など。

 1年生の第1・2クォータに開講される初年次セミナー・1年次演習は、大学生活を送る上で必要なルールを知るとともに、法学部において法律学・政治学を学ぶために必要な基本的な考え方や技術を身に付けてもらうことを目的としている授業です。今年度は、最初に著名な法学者の定評ある入門書を通じて、「法とは何か」、「法律家が社会において期待されている役割はどのようなものか」を学んでもらいました。その後、5名程度のグループに分かれて、「権利」や「立憲主義」などの基本的な用語の意味を学術ルールに従って調べてもらい、報告してもらいました。

3・4 年次演習(法律科目)

山田誠一 教授

民法。2015 年度は、民法Ⅰ(民法総則)、および、民法演習を、2014 年度は、民法Ⅲ(債権各論)、民法演習、および、応用民法を担当。

 私が担当する民法演習では、民法上の重要な分野を年度毎のテーマとします。例えば、2015年度は、金融取引法(預金、振込、貸付、担保、保証、証券化、デリバティブ取引)を、テーマとし2014 年度は契約法(売買、賃貸借、請負、委任、解除、損害賠償)をテーマとしました。そのテーマにそって個別の課題が設けられます。学生 は課題に関する事前に配布された資料を読んで準備をしたうえで出席をすることが求められます。授業は、私から学生に発言を求め、また、学生が自由に質問し意見を述べるという方法で進められます。テーマとした民法上の分野についての理解を深めるとともに、法的な考え方を養い、口頭でのコミュニケーションの力をつけることを目標としています。

3・4 年次演習(政治外交史演習)政治学科目

簑原俊洋 教授

日米関係・政治外交史。主著に『排日移民法と日米関係』(岩波書店)、編著にDecade of the Great War( Brill)、『ハンドブック日本外交史I』(ミネルヴァ書房)など。ハーバード大学、オクスフォード大学、ライデン大学等に客員教授として留学。現在、関西アジア太平洋安全保障フォーラム理事長、日本アメリカ学会評議員、米日財団フェローズ諮問委員などを務める。

  少人数で行う本学部の政治学科目の演習(ゼミ)は、きっと大学生活での一つの支柱となるでしょう。大教室での講義と比べ、教員との距離もぐんと縮みますし、ゼミの様々な課題をこなすにあたって仲間たちと過ごす時間が必然的に多くなるため、<生涯の友人>を得る学生も少なくありません。さらに、多くのゼミではOB/OGたちとの縦のネットワークも存在するため、就職活動において有利となることもしばしばあります。こうした経験から、ゼミに対して強い帰属意識を有す学生・卒業生がいるのは不思議ではありません。私が担当する政治外交史演習のゼミは、「読むこと・話すこと」の重要なスキルを、プレゼンテーションを通じて徹底的に鍛えるゼミです。歴史に重心を置くゼミですが、過去から教訓を得つつ、現在の国際情勢を踏まえた上で、将来の国際政治を考えます。昨年度のテーマは「国家のリーダーシップを考える」というもので、アメリカなどから学びつつ、今の日本には何が必要なのかを一緒に考えました。

特長3 国際的に活躍する人材の育成

1. グローバル人材育成事業

 社会のグローバル化が進展する中で、日本においてもそうした場面で活躍できる人材を養成する必要性が強く自覚されています。国境を超えたビジネスに関する職務に従事する法律家の需要も急速に高まってきました。神戸大学はその人文社会科学系の国際化に向けた取組が高く評価され、文部科学省の資金的な支援を受けてグローバル人材の育成を推進しています。法学部はその中心的な取組部局の1 つです。

 交換留学生として海外の協定大学で学業に取り組む人達には、資金援助も含め充実したサポートが提供されます。現在法学部と協定を結び交換留学を行っている海外の大学には、オーストラリアのシドニー大学ロースクール、スコットランドのダンディー大学ロースクール、フランスのリール第3 大学、ドイツのオスナブリュック大学法学部、ブラジルのリオデジャネイロ州立大学法学部、インドネシア大学法学部、経済法律大学(ベトナム国家大学ホーチミン校)、台湾政治大学法学部などがあります。何れも国際的な高い評価を得ている大学です。今年からアセアン・プラス教育交換プログラムが開始され、アジア諸大学への短期交換留学に対して特別の奨学金が得られるようになりました。

 また、法学部では英語で行われる多くの専門科目(グローバル専門科目)が提供されています。こうした科目の多くは海外の著名大学の研究者や実務家によって提供されます。また、海外の法律事務所で1ヶ月以上にわたるインターンシップに参加するプログラムや、海外の国際模擬仲裁大会に参加するプロジェクトなどの教育活動に対して支援がなされています。こうした教育を受けるには英語などの高度な外国語能力が要求されます。そのために特別クラスが英語外部試験の成績により1年次後期から編成されます。

 神戸大学法学部を選ばれる際には、こうした恵まれたグローバル教育の環境をぜひ参考にしてください。皆さんの「グローバルに活躍したい」という夢を「夢で終わらせない」ために、神戸大学法学部は万全の準備を整えて皆さんの入学を待っています。

2. 豊富な国際留学の機会

学生交換協定を結んでいる海外の大学

大学間協定(法学部生が参加可能なもの)
  • ピッツバーグ大学(アメリカ)
  • ワシントン大学(アメリカ)
  • クイーンズランド大学(オーストラリア)
  • 西オーストラリア大学(オーストラリア)
  • ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(イギリス)
  • オックスフォード・ハートフォードカレッジ(イギリス)
  • パンテオン・アサス(パリ第2)大学(フランス)
  • パリ西ナンテール・ラデファンス(パリ第10)大学(フランス)
  • パリ・ディドロ(第7)大学(フランス)
  • トーリア大学(ドイツ)
  • グラーツ大学(オーストリア)
  • カレル大学(チェコ)
  • ライデン大学(オランダ)
  • ヴェネツィア大学(イタリア)
  • ボローニャ大学(イタリア)
  • ソフィア大学(ブルガリア)
  • ヤゲウォ大学(ポーランド)
  • ソウル国立大学校(韓国)
  • 武漢大学(中国)
  • 清華大学(中国)
  • 上海交通大学(中国)
  • 国立台湾大学(台湾)
  • オタワ大学(カナダ)
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部局間協定(法学部が締結しているもの)
  • ダンディー大学(イギリス)
  • ケント大学(イギリス)
  • エセックス大学(イギリス)
  • リエージュ大学(ベルギー)
  • サンルイ大学(ベルギー)
  • リール第3 大学(フランス)
  • リール政治学院(フランス)
  • オスナブリュック大学(ドイツ)
  • ハンブルグ大学(ドイツ)
  • ベルリン経済法科大学(ドイツ)
  • ボッコーニ大学(イタリア)
  • ミラノ大学(イタリア)
  • ヤゲヴォ大学(ポーランド)
  • シドニー大学(オーストラリア)
  • リオデジャネイロ州立大学(ブラジル)
  • カトリック大学(韓国)
  • 成均館大学校(韓国)
  • 全南大学校(韓国)
  • 汕頭大学(中国)
  • 厦門大学(中国)
  • マカオ大学(中国)
  • 蘭州大学(中国)
  • 国立政治大学(台湾)
  • 国立台北大学(台湾)
  • インドネシア大学(インドネシア)
  • 経済法律大学[UEL](ベトナム)
  • マレーシア国立大学(マレーシア)
  • オトゴンテンゲル大学(モンゴル)
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*留学先で取得した単位については、本学部の単位として認定されることがあります。