概要

課程(前期・後期)と履修プログラムについて

全体像

 本学大学院法学研究科は、「実務法律専攻(法科大学院)」、「法学政治学専攻」の2専攻からなります。「実務法律専攻(法科大学院)」は標準修業年限3年の専門職学位課程で、高度な専門的能力を持つ職業法曹(弁護士・裁判官・検察官)を養成するものです(詳しくは『法科大学院案内』をご覧下さい)。「法学政治学専攻」は、2018年度から従来の理論法学専攻と政治学専攻を統合して設置されます。本専攻は標準修業年限5年の博士課程で、2年間の前期課程(いわゆる修士課程)と3年間の後期課程(いわゆる博士課程)とに分けて組織しています。

 法学政治学専攻では、伝統的な研究者養成に加えて、社会人としての高度な専門的知識を身につけたい、学部卒業後、より高いレベルの教育課程を経て社会で活躍したいなどの多様な社会的ニーズに対応すべく、前期課程、後期課程それぞれにプログラムを設けています。なお、前期課程のいずれのプログラムからも、試験と審査を経て、後期課程へ進学できます。

 なお、組織改編が行われる可能性がありますので、最新の情報は、法学研究科のホームページを参照するほか、大学院入試説明会等で得て下さい。

博士課程前期課程

A 研究者養成プログラム

 研究者養成プログラムは、法学・政治学を研究する研究者を養成することを目的としています。それゆえ、このプログラムで求める学生は、法学・政治学に関する次世代 の研究者・教育者となるに相応しい優れた能力と知識等を有する学生です。前期課程では、国際法、国際私法、国際取引法、西洋法史、英米法、ロシア法、法社会学、実定法、国際関係論、政治学、日本政治外交史、西洋政治史、政治過程論、行政学といった分野があります(なお、教員の異動等によって募集がない場合がありますので募集要項を参照してください)。なお、実定法分野の中には、原則として、神戸大学、または他大学の法科大学院を修了し、その後、本研究科博士課程後期課程に進学または入学することを求めるものがあります(実定法の専攻分野詳細については、募集要項で確認できます)。

 研究者養成プログラムのカリキュラムは、主として、修士論文作成の指導と、専門の領域について学問的に深い研究を行うための専門講義、および、外国語文献を素材として研究を行う外国文献研究とからなります。その他、研究者養成プログラムの学生は、自分の興味と関心に応じ、他のプログラムの授業や他研究科の授業を履修し、単位を修得することができます。研究者として就職するためには、通常、博士課程後期課程に進学することが必要です。

B 高度社会人養成プログラム

 現代社会においては、急激かつきわめて広範囲にわたって情報化、高度化、流動化が進んでいます。そのため、市民生活において日々起こる問題も、高度化、複雑化しています。そのような問題の解決には、高度な専門知識を養うことができる理論法学・政治学分野での研究が大変有益となります。学部段階での法学・政治学の勉強も、たしかに、社会問題の解決のための基礎的知識の獲得や能力の開発を目的としたものです。しかし、先端分野や応用分野における問題解決能力を涵養するためには、もう一段高いレベルの思考力、応用力、総合力を必要とします。高度社会人養成プログラムは、法学・政治学に関して学部において修得された学問的成果を前提として、それを更に向上させるに相応しい能力等を有する学生に対し、学部での勉強よりさらに高度な理論法学・政治学の研究を行い、それを社会に出て活用するための教育を提供するコースです。修了後の具体的な職種としては、公務員、外交官、および国際機関、マスコミ、NPO・NGOの関係者が想定されています。競争が増しているこれらの分野において第一線で活躍できる学問的スキルを高度社会人養成プログラムで涵養することが可能です。

 高度社会人養成プログラムの特徴は、カリキュラムにも具体化されています。本プログラムに入学する学生は、豊富な科目から、かなり自由に選択し、履修することができるカリキュラムが組み立てられています。具体的には、本研究科の専門講義のほか、同じ六甲台キャンパスの国際協力研究科の授業科目を履修できます。標準修業期間2年間をかけて、指導教授の下、修士論文、またはリサーチペーパーを執筆して研究の仕上げとします。

C Kobe LL. M. (GMAP in Law) プログラム

 今日、ビジネスの世界はますますグローバル化しており、日本企業に勤めていても海外赴任は多くなっています。また、日本国内で勤務していても、社内で英語が用いられる場面が増えています。そのため、単に国際ビジネス法を(日本語で)学ぶだけではなく、英語を用いて実践的に専門知識を活かすことが求められています。GMAP in Law プログラムは、国際ビジネス分野で活躍する人材を育成することを目的としています。そのため、このプログラムで求める学生は、国際ビジネス法をすべて英語で学習するのに相応しい優れた能力と英会話力を有する学生です。さらに、学生が高度なスキルを習得することができるように、本プログラムは特徴のあるカリキュラムを採用しています。①すべての講義が英語で提供されます。講師は神戸大学の教員に加えて、大部分の講義を招聘外国人教員が担当します。国際ビジネス法の科目が数多く展開されますので、これらの科目を履修することにより、英語によるビジネス法基礎教養が身に付きます。なお、英語に関しては、「法律英語入門」(Introduction to Legal English)を通年で開講しますので、英語力の底上げ が可能です。選択科目には、International Investment Law やInternational Business Transactions などがあります。②海外法律事務所(又は仲裁機関)でのインターンシップが必修となっています。1 ~ 3 ヶ月のインターンを経験して、法律実務能力を身に付けます。また、インターンシップを通じて、大学院で学んだことがどのように実務の世界で活かされるのかを実体験することができます。さらに、インターンシップを通じて人脈を広げ、将来の就職に繋げていくことが可能です。③修士論文又はリサーチペーパーを英語で執筆します。国際ビジネスの世界においても、最終的には会話能力(聞く話す)よりも文書能力(読み書き)が求められます。そのため、大学院においても十分に論理的 な英語論文を執筆することが求められます。また、海外インターンの経験を踏まえ、アカデミックな問題関心を深めるだけでなく、実務的な関心からの論文執筆も求められます。④サマースクールに参加します(選択科目)。アジアの多くの大学から、教員と学生が一同に神戸大学に集結します。最先端の国際ビジネス法の講義を受講できると同時に、他大学の学生との交流が可能です。⑤模擬仲裁大会への参加が可能です(選択科目)。模擬投資仲裁や模擬商事仲裁に参加することにより、単位を修得することができます。

D 法曹リカレントプログラム

 弁護士等を学生として受け入れ、これからの社会において法律の専門家として活躍するのに必要な、新たな法の知識と、その運用能力を養成するための、「法曹継続教育」の場となることを目的として、博士課程前期課程に法曹リカレントプログラムが設置されています。このプログラムに入学する学生は、自らが持つ法律の知識とその運用経験を新たな知識と融合させた研究を行うことが求められる他、博士課程後期課程(高度社会人養成プログラム)に進学して研究を続け、博士(法学)の学位を取得することも期待されています。

3 博士課程後期課程

A 研究者養成プログラム

 研究者養成プログラムの目的は、前期課程研究者養成プログラムとともに、法学、政治学を専門とする職業研究者を養成することにあります。研究者養成プログラムの学生は、後期課程においては、主として博士論文の作成に力を注ぐことになります。博士論文作成のための指導が行われるほか、専門の領域について学問的に深い研究を行うための専門講義が用意されています。

B 高度社会人養成プログラム

 高度社会人養成プログラムの目的は、前期課程における研究を踏まえ、高度化する社会に生じる法学、政治学的諸問題を解決する能力を有する高度専門社会人を養成することにあります。博士論文作成のための論文指導のほか、法学・政治学の先端的・応用的領域を対象とし、理論的知見と実務的な問題関心を架橋することに重点が置かれた専門講義が用意されています。

 なお、高度社会人養成プログラムは、高度な能力を有する社会人を養成することを大きな教育目的としていますので、提出される博士論文の審査基準も、研究者以外の職業について独立して研究を行うことができる程度の高度な能力を有しているかを中心に、実務上の知見等を学問的に紹介できる能力等に対しても評価するようになっています。

C 高度専門法曹プログラム(トップローヤーズ・プログラム)

 高度専門法曹プログラム(トップローヤーズ・プログラム)の目的は、弁護士等を対象として実務家教員及び研究者教員による授業と論文指導を通じて高度の実務的専門性を体系的に身に付けた国際的競争力のある法律家を養成することにあります。租税法・経済法・知的財産法・国際商事仲裁の分野につき、実務家教員(主として弁護士)及び研究者教員による講義が平日夜間または土曜日に開講されます。国際商事仲裁については、授業はすべて英語で行われます。また、研究者教員による博士論文作成のための論文指導が行われます。博士論文は、実務上の具体的な問題をテーマとし、それについて様々な解決方法のメリット、デメリットを実務運用面と理論面から検討したものであることが求められます。

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