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神戸大学大学院法学研究科・法学部外部評価報告書

2002 年 9 月


外部評価報告書の公表にあたって
 
I   外部評価実施概要
   1  外部評価実施日程
   2  外部評価のための資料一覧

II   外部評価報告書
  II -1  神戸大学大学院法学研究科・法学部 外部評価報告書  梶本日出夫
   1  外部評価を行うについて
   2  外部評価項目
   3  評価項目の具体的な評価

  II -2  神戸大学大学院法学研究科・法学部 外部評価報告書  戸松 秀典
   はじめに
   1  教育活動について
   2  研究活動と社会的活動について
   3  教育・研究施設について
    むすび

  II -3  神戸大学大学院法学研究科・法学部 外部評価報告書  中尾  誠
   1  神戸大学の教育環境、改革について
   2  「大学院法学研究科」「法学部」の在り方について
   3  実務界と学界の協働について
   4  司法制度改革と「法科大学院」の位置づけについて

  II -4  神戸大学大学院法学研究科・法学部 外部評価報告書  浜田 道代
   1  自己評価・外部評価について
   2  研究活動について
   3  教育活動について
   4  施設について
   5  法科大学院への取り組みについて

  II -5  神戸大学大学院法学研究科・法学部 外部評価報告書  水野 武夫
   1  はじめに
   2  教員の陣容について
   3  学生による授業評価について
   4  施設について
   5  大学院の社会人コースについて
   6  法科大学院構想について

  II -6  神戸大学大学院法学研究科・法学部 外部評価報告書  村松 岐夫
   1  国立大学に共通するかも知れない点についての印象
   2  神戸大学法学研究科の印象
   3  その他のコメント (政治学を中心に)

  III   現状の説明及び質疑応答要旨
   1  法学研究科・法学部の現状説明
   1-1  実施の趣旨説明・現状の課題と概略
   1-2  教育活動の現状に関する説明
   1-3  研究活動及び社会的活動に関する説明

   2  外部評価委員会質疑応答の要旨


外部評価報告書の公表にあたって


 このたび、神戸大学大学院法学研究科・法学部 (以下、本研究科) として、はじめて外部評価を実施し、この報告書を公表することとなった。
 本研究科においては、これまでにも自己点検・自己評価に努め、 1992 年に「ファカルティ・レポート」第 1 号を刊行して以後、その結果を定期的に外部にも公表し、本研究科における研究・教育について情報を開示し、透明性を確保する努力を続けてきたところである。しかし、このような形での点検・評価だけでは十分ではなく、各関係の専門家である第三者から、本研究科の研究・教育の現状について厳正かつ客観的な評価を受ける必要性をつとに感じていた。
 司法制度の改革の重要な一環として、法曹養成制度の改革や法科大学院の設置が検討される中で、従来の法学部のあり方そのものが厳しく問い直される今日、本研究科としても、外部評価の実施をこれ以上遅らせるべきではないと考え、本年度に外部評価を実施することを計画し、梶本日出夫 (神戸市助役) 、戸松秀典 (学習大学法学部教授) 、中尾誠 (三井住友銀行法務部長) 、浜田道代 (名古屋大学大学院法学研究科教授) 、水野武夫 (弁護士 (元大阪弁護士会会長)) 、村松岐夫 (京都大学大学院法学研究科教授) 各委員にご依頼をし、幸いにも、それぞれご多忙を極められる立場におられるにもかかわらず、ご就任をご快諾いただくことができた。
 各委員の先生方には、あらかじめ多数の資料をお読みいただいたうえで、本年 6 月 29 日に、本研究科にお集まりいただき、本研究科からの口頭説明の後、質疑応答の機会を設けてご質問・ご意見を賜り、また本研究科の諸施設についてもご見学・点検を頂いた。さらに、各種資料の吟味と本研究科における外部評価の実施の結果を踏まえて、各委員に外部評価報告書の作成をお願いした。
 本報告書は、各委員から頂戴した外部評価報告書と本年 6 月 29 日に実施された外部評価の概要をとりまとめたものであるが、各委員には、労多き作業をお引き受けいただいたことに改めて厚くお礼を申し上げるとともに、本研究科における外部評価に関する経験の不十分さから、各委員の先生方にはいろいろご面倒をおかけしたことをお詫び申し上げたい。
 本研究科として、各委員から外部評価実施に際して頂戴した貴重なご意見・ご批判、報告書における種々の重要なご指摘を真摯に受けとめ、今後とも、本研究科の研究・教育の改善と一層の向上に努めていきたいと考えている。

2002 年 9 月
法学研究科長
磯 村  保


  1. 外部評価実施概要
    1. 外部評価実施日程

      (1) 期 日

         平成 14 年 6 月 29 日 (土)10 時 〜16 時

      (2) 会 場

         午前の部 新神戸オリエンタルホテル (9 階桂の間)
         午後の部 神戸大学六甲台キャンパス内各施設 
                第二学舎 (法学部)2 階大会議室

      (3) 日 程

      ◇午前の部 10 時 〜12 時
      10 時 研究科長挨拶
      出席者紹介
      配付資料説明
      日程説明
      外部評価実施の趣旨説明
      教育活動についての説明
        ・学部教育
        ・大学院教育
      研究活動についての説明
      12 時 昼食休憩
      13 時 移動
      ◇午後の部 13 時 30 分 〜16 時
      13 時 30 分 教育関係施設の見学
        ・神戸大学人社系図書館
        ・法学部資料室
        ・講義室、演習室、院生研究室等
      14 時 全体質疑・応答
      外部評価委員と神戸大学側との意見交換
      外部評価委員よりの講評
      16 時 閉  会

      (4) 出 席 者

         外部評価委員 
           戸 松 秀 典 (学習院大学法学部教授)
           中 尾   誠 (三井住友銀行法務部長)
           浜 田 道 代 (名古屋大学大学院法学研究科教授) 
           水 野 武 夫 (弁護士・前大阪弁護士会会長)
           村 松 岐 夫 (京都大学大学院法学研究科教授)

        神戸大学法学研究科・法学部
           磯 村   保 (法学研究科長)
           吉 川   元 (評議員・評価委員会委員長)
           丸 山 英 二 (評議員)
           井 上 典 之 (学部教務委員長)
           月 村 太 郎 (大学院教務委員長)
           中 野 俊一郎 (学生委員)
           瀧 澤 栄 治 (評価委員会幹事)
           田 村 正 美 (総務課長補佐)
           敏 森 広 志 (教務掛長)

    2. 外部評価のための資料一覧

       (1) 送付資料

       1  『ファカルティレポート (神戸大学大学院法学研究科・法学部自己評価報告書)』第 4 号 (1998.4 〜2001.3)
       2  神戸大学大学院法学研究科・法学部 学生便覧 (平成 14 年度)
       3  神戸大学法学部 シラバス (平成 14 年度)
       4  神戸大学大学院法学研究科 シラバス (2002 年度)
       5  神戸大学法学部案内 (2002 年)
       6  教官紹介 (2002 年)
       7  神戸大学大学院法学研究科の案内 (2001 年 5 月)
       8  神戸大学法学部授業時間割表 (昼間主コース・夜間主コース)
         ・平成 13 年度前期・後期
         ・平成 14 年度前期
       9  神戸大学大学院法学研究科授業時間割表
         ・平成 13 年度前期・後期
         ・平成 14 年度前期
       10  法科大学院カリキュラム案について (神戸大学大学院法学研究科)
       11   神戸大学大学院法学研究科 教官構成

       (2) 当日配付資料

       1   ファカルティレポート 4 号の追加資料 (平成 13 年度関係資料)
       2  神戸大学大学院法学研究科の案内 (2002 年 5 月)
       3  授業評価アンケート (平成 13 年度後期) 調査結果
       4  新入学生アンケート (平成 14 年度入学生) 調査結果
       5  卒業予定者アンケート (平成 13 年度卒業生) 調査結果
       6  外部評価用関連資料
       

  2. 外部評価報告書  

    II -1 神戸大学大学院法学研究科・法学部 外部評価報告書
      梶本日出夫 (神戸市助役)

    1. 外部評価を行うについて

        今回、神戸大学大学院法学研究科・法学部外部評価を行うについて、貴大学から外部評価に関する多くの資料を頂き、内容を拝見させていただきました。
        旧制神戸経済大学以来の伝統のある神戸大学らしく、大学院・学部とも教育目標・教育方法・教官構成・学生の卒業後の進路、学生へのアンケート等神戸大学の現状・将来の法科大学院の設置等を考慮してよく検討し、実績をあげておられると感じており、地元の神戸市役所に勤務する者として心強く思っております。外部評価を行うにあたっては、地方行政を担当する立場から、下記のように評価項目を設定するとともに、その項目の評価を行いたいと考えます。各資料の全項目の評価にならない点についてご容赦願います。

    2. 外部評価項目
       
       (1)  大学院における教育活動についての評価
       1  各コース (研究・専修・社会人) の教育目標と実施状況―特に社会人コースの学生受入方針・教育内容・教育方法等についての評価
       2  法学研究科における教育活動の改革についての評価
        ―法科大学院の設置計画についての評価―
       
       (2) 学部における教育活動についての評価
       1  各コース (昼間主・夜間主) における教育目標と実施状況についての評価
      教育内容 (カリキュラムの内容・編成 履修コース制等) ・教育方法・教官の構成・卒業後の進路等
       2  法学部における教育活動の改革についての評価
       1) 昼夜開講制
       2) 法科大学院設置後の学部教育
       
       (3) 内外での学会における開催・企画・司会・報告等の活動状況―特に神戸市における審議会等での神戸大学教官の活動状況についての評価
       
       (4) 評価のまとめ
       
    3. 評価項目の具体的な評価

       (1) 大学院における教育活動についての評価

      1. 各コースの実施状況―特に社会人コースの学生受入方針・教育内容・教育方法等についての評価

          神戸大学では、大学院において博士課程前期課程として、研究者コース、専修コース、社会人コースの 3 つがあります。神戸市役所と関係の深いコースとしては社会人コースがあり、このコースは官公庁・企業の法務、政策の実務者を受け入れ、大学院の教育課程を開いて、高度の法学、政治学的専門知識および能力を備えた人材を養成することを目的としており、神戸市役所からも相当数の職員が入学し、それぞれの業務に関連したテーマを中心として、研究を行って修了し、中には高度専門職業人コースに進む者もいます。修了者は、社会人コースにおいて、専門分野における最新の知識・情報にふれるのは勿論のこと、民間企業・他官公庁をはじめ様々な交友関係を広げ、その人間的な幅も広げると同時に、行政目的達成のための法政策技術の養成、プレゼンテーション能力の向上に努め、修了後もその知識・経験を日常の行政実務に生かしてよりレベルアップした仕事を行っており、周囲の職員にも好影響を与える等、神戸市役所全体の効率化にも寄与しています。
          社会人にとってのリカレント教育の必要性が指摘され、その機会ともなるこのコースの存在は、非常に有益であり、神戸市にとっても、意欲のある職員にとっても良い機会となっており、現状のカリキュラム・教官等もすばらしく、後期課程の高度専門職業人コースも含め、引き続き充実をお願いします。

      2. 法学研究科における教育活動の改革についての評価
              ―法科大学院の設置計画についての評価―

          現在、国において、法科大学院構想があり、各大学法学部・大学院もその設置に向けて検討を重ねているとお聞きしております。国の構想は、わが国の法曹人口が欧米諸国に比して少ないことへの対策ということもあり、神戸大学においても現在、法科大学院の設置に向けて準備をされておられます。法科大学院が設置されてからの学部教育をどうするかの問題もあるかと思いますが、国民の権利・利益の救済という観点からは重要な事柄ですので、十分な準備と計画のもとに設置されんことをお願いします。

       (2) 学部における教育活動についての評価
      1. 各コース (昼間主・夜間主) における教育目標と実施状況についての評価

        1)  神戸大学では昼間主コースと夜間主コースとの 2 つのコースがあり、昼間受講しにくい学生にとっては、夜間主コースで勉学することができ、これまで多く勤労学生が育っており、国立大学においては夜間主コースが少ないこともあって、大いに貢献していると評価しております。
        2)  教育内容―カリキュラムでは、昼間主コースにおいて 70 科目もの講義が開講され、他大学に比較しても多い科目数ということであり、学生が様々な分野の講義を聴講し、幅広い知識を取得することができるという点、優れていると考えます。
          また、 1 年前期で大学の勉強の準備段階ともいうべき基礎ゼミが開講されていることや、教官の授業に対する取り組みも学生にアンケートをとり、その意見を講義に取り入れたりする等学生の興味をひくように努力されている点はすばらしいと考えます。我々地方自治体にとっても、カリキュラムの中で、公法関係、民事法関係、政治学等幅広く行政関係の科目が用意されており、それらを履修することにより行政事務に対する準備も十分行えると考えます。
        3)  教官の構成
          構成については、出身大学として東大、京大が目立つものの、幅広く教官を採用しており、国公立大学法学部のスタッフ数、スタッフ一人当たりの入学定員、法律専門誌への発信度等から見ても、他大学に比較して優れていると考えます。
        4)  卒業後の進路
          過去 5 年間の卒業生の進路を見てみると、民間の有力企業に多く就職しているのをはじめ、官公庁にも多数就職しており、我々の神戸市にもこれまでも多数就職し、神戸市役所の行政推進に大きな力となっており、地元の市役所としても頼もしい存在です。これからも、卒業生が、様々な分野の企業・官公庁等で活躍することを期待します。

      2. 法学部における教育活動の改革についての評価

        1) 昼夜開講制―教授の負担は大変と思いますが、今後も継続をお願いします。
        2) 法科大学院設置後の学部教育― (1) b. で述べたとおり十分な準備と計画のもと法科大学院の設置を希望します。設置後の学部教育については、法科大学院との連携の下カリキュラム等に一層の工夫をされ、学部と法科大学院とが相補い合って効率的に法学教育が進められることを希望します。


       (3) 内外の学会における開催・企画・司会・報告等の活動状況、特に、神戸市における審議会等での神戸大学教官の活動状況についての評価

        平成 14 年 3 月末現在で、神戸市における附属機関としての審議会・委員会等の委員に数多くの教官がご就任いただき、専門家としての識見・経験を生かし、神戸市政にとって、多くの貴重かつ有益なご意見・提案等をいただいており、大いに神戸市政に貢献されていると考えております。今後も引き続き各教官の方々の活躍を希望します。
        今後は、地方行政機関と大学のより一層の相互交流のあり方を模索していただければと考えます。

       (4) 評価のまとめ

        (1) 、 (2) で大学院・学部における教育活動についての評価を行い、 (3) で内外の会等における活動状況特に神戸市における審議会での神戸大学教官の活動状況についての評価を行いました。大学院・学部とも教育目標・教育方法 (カリキュラム等) 、教官構成、学生の卒業後の進路等に関して他の国立大学と比較してもバランスがとれており、優れていると考えております。特に昼夜開講制があることもあって、教官の負担が大きいと思われますが、各教官とも学生に対して講義に関するアンケートを実施し、その結果を授業に反映させる等努力されている様子がみられ、大いに評価しております。
        今後も、法曹のみでなく民間企業や公務員等にも卒業生を送り、神戸市役所等の行政分野だけでなく、各界において貢献できる人材を引き続き養成されるよう希望します。
        また、地元貢献の見地から、神戸市内での様々な教育活動を企画・展開されることも希望します。例えば、市内各地での公開講座の実施や、サテライトキャンパスの設置等も考えられないでしょうか。


    II -2  神戸大学大学院法学研究科・法学部 外部評価報告書
      戸松 秀典 (学習院大学教授)

       はじめに

      本報告書は、神戸大学大学院法学研究科・法学部から提供された資料を参照し、去る 6 月 29 日 (土) の午前に行われた同研究科・学部担当者による口頭説明を受け、さらに、同日午後に行った大学内の見学等に基づき、神戸大学大学院法学研究科・法学部の教育、研究活動および教育・研究施設についての評価を行うものである。
      私は、 6 人の委員の一人として、外部評価という任務を果すことになったのであるが、それは、次の経験や立場に基づくものである。すなわち、私立大学の法学部に勤務する一教師としての経験、憲法研究者としての立場、および、国や自治体の機関の委員としての経験がそれであるが、このような経験や立場から、一つの大学教育 ・ 研究機関についての評価をする私の能力は、きわめて限られたものであることをあらかじめお断りしておきたい。

    1. 教育活動について

      (1) 大学院における教育活動

      1. 各コース (研究・専修・社会人) の教育目標と実施状況
         神戸大学法学研究科は、研究者養成という伝統的な大学院コースに加えて、専修および社会人のコースを設けている。このことは、多様な大学院コースが求められる近年の要請に応えるものであり、また、カリキュラム内容とその実施状況も特に問題とするところはないように思われた。
         また、カリキュラムを実施する教官の陣容は十分であるとみた。これは、私立大学では望み得ない人数の教官を置くことができる国立大学としての神戸大学の利点だといえる。しかし、論文やリサーチペーパーの作成にかかる学生指導については、時間割に表われておらず、各教官がそれぞれ時間を設定して行っているとのことで、教官の数が多くても、指導上の負担が軽いわけでないことを知らされた。
         
      2. 法科大学院開設準備について
         2004 年開設予定の法科大学院については、すでに教員編成、学生定員、各教師の科目担当、開講授業科目、時間割等といった事項について案が作成され、教授会の承認を得て、ホームページや印刷物によりその内容が公表されているところである。この準備状況は、全国の開設予定国立・私立大学のなかで、もっとも進んだものということができる。これを達成したスタッフの尽力について敬意を表したい。
         なお、法科大学院用の施設としては、既存のものでは十分でなく、現在建築中の建物の一部が充てられるとのことであり、これに期待を寄せたい。
         
      (2) 学部における教育活動

       1 学年の定員が 260 人ほど (昼間・夜間合わせて) の学生数規模に対して、 52 名の教官 (2002 年神戸大学法学部案内 7 頁による) がいることは、多人数教育、すなわち、少数の教師が多人数の学生を教育するという法学部についての従来のイメージを破るものであり――私立大学法学部では今日でも変わらない――、このことについて、まずよい評価を下すことができる。また、カリキュラムについても、今日の法状況によく対応した内容になっているといえる。
       特に、公法分野に注目すると、 8 人もの憲法、行政法専攻の教官が講義、演習科目を担当し、科目内容においては、学部教育として必要とされるところを十分満たしており、この充実ぶりは、通常の私立大学では望み得ないことであり、羨ましいこととの印象をもった。
       学生の履修のあり方については、必須科目を設けず、授業科目群から選択する方法としていること、また、セメスター制を採用していることに注目させられ、これは、学生に対し自由に学べる余地を与えるもので、よい方式だと評価できる。ただ、 1 回の授業が 100 分であることは、理解度を深めるために適当であるのか、 60 分づつ週 2 回の授業をした方が効果的ではないか、との 思いを抱いたが、時間割編成上の問題等があると推測され、今後の検討課題としての指摘に止め たい。

    2. 研究活動と社会的活動について

      (1) 所属教官の研究活動
       所属教官それぞれの研究活動については、「ファカルティーレポート 4」の「X 教官個人の研究・教育活動報告」で示されているところを参照して、いずれも自己の専攻分野において素晴らしい成果をあげていることを確認した。そして、これだけの優秀なスタッフを揃えている大学院法学研究科・法学部は、全国でも数少ないとの印象も抱いた。
       
      (2) 内外での学会における活動状況
       これについても、前項についてと同様、高い評価をすることができる。
       
      (3) その他
       なお、研究休暇ないしサバティカルの制度については触れられていないが、それは、国立大学共通の制約があること、実際には、内部の慣行により運用されていること等のためだと思われる。しかし、法科大学院の開設に伴い、教官の授業負担の増大が予測されることに照らすと、研究活動に当てる時間の確保と授業内容の充実のためには、その制度化が是非必要だといえる。
       

    3. 教育・研究施設について

      (1) 学生のための施設

      • a) 教室
          収容学生数に応じた、また、カリキュラムの実施が可能なように教室が整えられていることは、大学に求められる当然の条件であり、これについて全く問題ないものと判断した。
          また、大学院については当然であるが、学部においても少人数教育が強く求められる近年の要請に応じて、演習室の数が整えられているとのことなので、実際に見学ができなかったが、教室については、良好な状態のようである。
         
      • b) 図書館・資料室
          蔵書数は不足なく、定期刊行物について特色ある収集がなされているなど、図書や資料の設備については良好であるといえる。ただ、どこの大学図書館も共通の悩みであるが、図書刊行点数の飛躍的増大に対して、収納スペースが確保できないという問題を神戸大学も抱えていて、設置場所の分散という対応法が生じている。おそらく慣れればよいのだろうが、分散に伴う不便さは少なからずあるものと推測した。
          このような状態であるから到底無理な注文をすることになるが、あえて次のことを指摘しておきたい。すなわち、図書館らしさを確保するためには、図書・資料の収蔵とそれの閲覧の場所が存在するだけでは十分とはいえない。雑誌や新聞を読みながらゆっくり過ごす場所、あるいは、安楽椅子、ソファーがあって、そこで閲覧での疲れを癒すことができるスペースといったものが設けられるべきである。このように、図書館が教室とは別の知的な営為の場となるならば、大学の雰囲気が向上すると思われるからである。
         
      • c) コンピュータ利用施設
          法政情報室が設置されているが、「大学院生は、教官の利用の妨げにならない範囲で、毎日 9 時 〜16 時半までの一定時間、これらを利用することができる」 (「ファカルティレポート 4」 39 頁) とされていることには疑問を感じた。私の所属する大学の院生の様子に照らしても、教官 の利用とは関係なく自由に、それも時間の制約なく、そこにあげられらているデータベースに ついては利用できるようになっているのが通常ではないだろうか。
          また、院生室には、 LAN の配線がなされておらず、そのためか、ほとんどの机上にパソコンが置かれておらず、授業での報告、発表の準備をどのようにしているのか不思議に感じられた。そこで、大学院生に対するコンピュータ利用設備の充実が急務であるといわざるを得ない。近く開設予定の法科大学院教育では、この設備が必ず必要となるのであるから、急務というのは決して大袈裟ではない。
          このことは、学部学生との関連でも指摘できる。視察によれば、学部学生のためのコンピュータ利用施設がかなり不十分のように思われた。私の教育体験によると、コンピュータを使用した法学の演習授業は、従来の演習の場合とは比較にならないほどの情報を学生に提供し、社会的体験に乏しい学生も、インターネットをとおして、社会に生じている法的紛争の実態を知見できる (戸松秀典「情報の質・量の激変――コンピュータを使用した二つの演習」法学教室 236 号 143 頁 (2000 年)) 。また、大学生時にコンピュータ使用に慣れ親しんでおけば、それが卒 業後の社会での活動に大いに役立つことは、私が指摘するまでもない。それ故、法学部生に対するコンピュータ利用設備の充実が急務であるといわざるを得ない。
         
      • d) その他
          以上の基本的施設に加え、学生達が休憩して団欒し、授業の感想、意見、様々の情報を交換し合うような場所は、豊かなキャンパスライフを送るためには是非必要である。教室での授業に出るためだけに大学に出てくるような学生集団であると、大学の活気や向上は得られない。これに関して、十分視察できなかったが、担当者の説明に照らしても、そのような施設は不十分であるように感じられた。これにかかる検討を求めたい。
         

      (2) 教官・職員のための施設
        法律学の研究者にとって、一定のスペースがある研究室のほかに、身近にあって容易に検索、閲読等ができる判例集、法令集、文献検索システム等の設置されたいわゆる資料室、あるいは、自己の研究室内のパソコンからそれらの検索、閲読ができるミニ・ラン・システムがどうしも必要である。視察したところから得た印象では、国立大学固有の予算等にかかる制約のためか十分でなく、これについては、今後いっそう充実に努める余地があるといえるようである。
        他に、スタッフ談話室ないしラウンジのようなものは存在しないようであり、教官の間の日常的交流は、どのようになされているのか気になったところである。

      むすび

        「蛍の光、窓の雪」あるいは「薪を背負った二宮尊徳像」に代表される教育・研究の場面にかかわるイメージは、貧しい時代のこととして、そこから脱却すべきである。今日では、大学が高度の教育・研究をする機関にふさわしい豊かさ、静寂さ、落ち着き、便宜さ、機能性等を十分に備えた場であらねばならず、そのような場作りの意欲を持たない大学は、沈滞の道を辿るのではないかと思う。神戸大学大学院法学研究科・法学部は、全体としてみると、その教育・研究のシステムや内容が大変良好であり、発展可能性をもっているといえる。ただし、施設面では見劣りするところがあるとの評価をせざるを得なかった。しかし、このことは、人件費を削減して施設面の予算を増大すべきという意味にとられてはならない。現在のスタッフのもとでの教育・研究をいっそう向上させるために、施設面での充実が求められるべきことを指摘した。

    II -3 神戸大学大学院法学研究科・法学部 外部評価報告書
      中尾  誠  (三井住友銀行法務部長)

      先日の「外部評価委員会」において、多くの先生方から神戸大学大学院法学研究科・法学部における現状の問題意識や、それに対する数々の真摯な取組状況についてご報告頂き、非常に感銘を受けた。法学教育という点では、いわゆる " 門外漢 " の立場ではあるが、感じた処等を中心に意見を述べさせて頂く。

    1. 神戸大学の教育環境、改革について

        わが国における大学の在り方、とりわけ法学教育の在り方に対して社会の目が厳しくなる中、神戸大学大学院法学研究科・法学部とも種々の改革を行ってきていることが確認できる。
        まず、大学院法学研究科では、平成 12 年度から大学院重点化に伴い、専攻の構成を抜本的に見直しており、主として学者を志す人が属する「研究者コース」、原則として勤務を続けながら研究を行う人が属する「社会人コース」、研究者となることは希望しないが学部段階以上のより高い知識等を身につけたいという人が属する「専修コース」の三コースが設置されている。また、履修要件についても緩和措置を施しており、各大学院生の研究目的や生活事情に対応できる体制をとっている。
        教育環境については、ハードの面において、学内へのパソコンの設置、法律検索システムの導入等、その充実振りには目を見張るものがあり、昨今の高度情報化の流れに沿うものといえる。また、ソフトの面においても、新入生に対し、履修のための手引書を配付しオリエンテーションを行うなど、入学当初からきめ細かい対応がなされているとともに、講義後には講義アンケートを実施するなど、教育内容をより充実させるための施策が順次施され、その一段の向上が図られている。
        法学部においても、他の大学と同様に基礎法学、実定法学、政治学等の幅広い分野の講義・演習が用意されており、わが国の大学の中でもかなり高い水準の教育が行われていると感じている。平成 6 年以降は昼夜開講制を実施するなど、大学院同様に改革に対する不断の努力が図られている。
        これらの一連の改革は、大学に対する社会からの強い期待に応えようとするものと見受けられる。改革の内容は、現状においても質的に高いものといえるが、これらの改革を継続的に推進するものとして 3 ヵ年ごとにファカルティレポート (自己評価報告書) を作成し、常に自己改革の強化を目指している点は、極めて高い評価ができるものと思われる。

        上記のとおり、現在行われている大学改革には高い評価ができるものであるが、わが国における法学教育に対する社会の期待や認識に鑑み、敢えて申し上げるとすれば、以下のとおりである。
       

    2. 「大学院法学研究科」「法学部」の在り方について

        大学院法学研究科の「社会人コース」については、理科系の大学院修士課程のような , 一種のキャリアパスであるとともに、実社会でのプロ的法律実務家を育成する方向での運営を考えておられるように受け取った。しかしながら、修士課程で学ぶ事項が、理科系のそれと比較して、日々の実務で直ちに活用できるものではない上、法曹資格の取得についても極めて厳しいわが国の現状においては、「法学修士」資格を何らかのキャリアパスとして位置づけることは、なかなか難しいものと思われる。
        更に、企業を中心とする実務界が求めている法律知識・法律実務は、神戸大学をはじめ、わが国の多くの大学の法学部大学院教育で行われている , 民商法等の実定法に関するより深い分析や、各国法との精緻な比較研究といったものではなく、米国のロースクール等で行われているような , 契約交渉術のトレーニング , 契約書の作成技術 , 或いは , 組織内におけるリーガル体制の立案能力といったかなり実践的なものである。こういったことが , 直ちに実現するとは考えにくい状況下においては、我々実務界が「法学修士号」取得者に求めるものは、なによりも、リーガルマインドに裏付けられたコンプライアンス意識 , 専門的な各業法及び、規則・政令等をも理解し、批判しうる幅広い法律知識を身につけ , 業務の各方面において企画・管理・運営等のリーダーとしての活躍が期待できる , いわゆる「幹部候補生」である (*) 。

      (*) 従来、一般に「ゼネラリスト」と呼ばれていたもののイメージに近いが、茲許の業務の多様化・専門化の中では、必ずしも多くの分野の業務経験を必要とせず、特定の業務分野の中で、「幹部」への成長が期待できる人材の意。

        法学部についても、実務界のニーズとしては、上記で大学院において述べたことがより妥当する。学部の間に専門知識を身につけていることに越したことはないが、どちらかというとより広い知識、広い視野を持った人材が求められており、幅広い教育がなされていることが重要であると感じる。ただし、法科大学院が設置された後の法学部の在り方というものは、従来とは全く異なったものとなる可能性がある。

    3. 実務界と学界の協働について

        我々の印象では、政府関係の仕事の負担が避けられない東京の大学よりも、関西の大学の方が、商法における株主総会の運営等々実務界との交流において、歴史的により積極的であったと認識しているが、神戸大学法学部においては、引続き , 実務との交流を念頭においた各種企画が着実に進められて点は , 高く評価されるべきものと思う。
        ご承知の通り、昨今のわが国社会は , 経済面に限らずあらゆる面において激動といえる状況にあり、そのことは、或意味では社会の鏡である法律面に必ず反映されざるを得ない。
        現在、弊行を始め , わが国の多くの企業が , 大型の合併等の企業再編の流れの中にあり、この面での素早い立法措置がなされてきている点は高く評価されるものの、実際の法律実務的面で解決しなければならない問題点・難問が少なからず生じてきている。例えば、合併や株式移転の際における種類株式やストックオプションの取り扱い等といったものがその例である。こういった世の中の急速な変化の中で、 IT やネットに関するような実務上のニーズが急激に高まってきている先端的な法務分野だけでなく、伝統的な民商法の分野においても、これまで実例に乏しかったこともあってか、実際の研究はあまり進んでいない分野 , 或いは実務慣行・商慣行的な運営をしてきているものの、その理論的分析等が遅れている分野は相当でてきているのではないかと思われる。
        従って、大学を中心とする学界の方々が , 実務界との情報交換を密にし、場合によっては実務界と協働して研究を行い、実務のニーズを適格にとらえてそれをリードする貌での理論的研究・分析を従来以上に実践して頂ければ、実務界・学会双方にとって有意義であると思われ、今後の協働の一層の発展に期待したい。

    4. 司法制度改革と「法科大学院」の位置づけについて

        この点に関しては、種々の難しい問題もあり、明確な意見を申し上げにくいが、「法科大学院」の卒業者に法曹資格を付与する、即ち、法曹要員の育成機関として考えるならば、その教育内容は民商法・刑法等主要実定法の解釈を中心としたものになるのではないかと思われる。現実に契約交渉実務や原被告として裁判手続を経験した者が「法科大学院」に入り、より専門的側面から実定法の解釈や運用のノウハウを学び、法曹資格を取得して現場に戻るという姿はひとつの理想型である。
        ただ、わが国における法曹資格者の大幅増員を , 裁判官・検察官・弁護士という司法要員の増員とのみとらえるのではなく、企業等のいわゆる " インハウスロイヤー " 的なものも含む広い意味でのキャリアパス養成と考えるならば、現行の「社会人コース」に関して先ほど述べたように , かなり実践的なカリキュラムメニューや教育システムが必要といわざるを得ない。従って、弁護士或いは、企業等実務界の法務担当者等を講師とした「実務講座」・「実務指導」といったもののより積極的な設置も考えていく必要があるのではないかと思われる。
        尚、いずれにしても、こういった研修・研究には少人数での指導体制が不可欠であり、神戸大学において , 過去から実践されている " ゼミ " を中心とした少人数での教育体制への注力は , 従来以上にその必要性が増してくるものと思われる。
        法科大学院の設置に伴い、「法学部」の在り方、教育内容というものは、再検討を迫られざるを得ないものと思われる。しかし、法科大学院が、法曹資格者の育成機関と考えるならば、法学部に対する社会的ニーズが必ずしも劇的に変わるものとも思われない。従来企業が法学部卒業生に期待していた資質というものについては、上記のとおり必ずしも法律の専門知識のみに留まらなかったものと思われ、むしろ理解力、読解力といった基礎的な能力とともに、リーガルマインドに裏付けられた法律知識により、高度な判断力、分析力を持つ受容性の高い人材が求められていたものである。従って、今後の法学部においても、決して「法科大学院」のミニチュアと化すことなく、幅広い人材育成のための教育を目指すことを期待する。

       

    II -4 神戸大学大学院法学研究科・法学部 外部評価報告書
      浜田 道代  (名古屋大学大学院法学研究科教授)

    1. 自己評価・外部評価について

      ○神戸大学大学院法学研究科・法学部におかれては「自己評価報告書」を、法学部自己評価報告書から通算して 4 号まで、途切れることなく定期的に 3 年ごとに刊行してこられたことに加えて、今回は自主 的に外部評価にも取り組まれたことに対し、敬意を表する。

      ○「ファカルティレポート・自己評価報告書」にあっては、 I から IX までの項目に 3 分の 1 強の頁を割いて、全般的な教育・研究活動の報告がなされており、その後 X の項目に 3 分の 2 弱の頁を割いて、教官個人の研究・教育活動の報告がなされている。
         X の教官個人別報告の部分は、それぞれ真摯に自らの研究教育活動を振り返り、誠実に報告しようとする姿勢が貫かれているように見受けられる。各人の個性が自ずからにじみ出ているあたりを興味深く拝読すると共に、全体としての研究活動の活発な状況が偲ばれ、圧倒される感がした。
        これに対し I から IX までの、全般的な教育・研究活動の報告の部分は、現状を報告し関連情報を資料として公開しているという点では一定の意義が認められるものの、教育・研究機関の自己評価報告書としては、さらに一歩踏み込んだ叙述が望まれるところである。
        とりわけ、「 V 共同研究」「 VI 研究発表」「 VII 国際交流」「 VIII 大学院生・研究生」および「 IX 博士の学位の授与」の部分は、自己評価の報告ではなくて、単なる資料の提示に止まっている。また、施設に関しては、「 IV 研究施設」について一通りの説明がなされているのみである。「教育施設」の現状に至っては、報告書の対象として取り上げられてさえいない。
        教育・研究活動の現状の報告は、確かに大学の自己評価の目的の一つではある。しかし、自己点検・自己評価を大学改革の契機として活かし、教育・研究活動の一層の充実に役立たせるためには、それだけでは物足りない。「神戸大学大学院法学研究科・法学部」は高等教育・研究機関として何を目指しており、何を行って、何を行わなかったか。それに対する組織体としての自己評価はどのようなものか。改善を図るべき課題は、どこに残されているか。今後の改善策としては、どのような方向を追求し、何時までにどこまでを達成しようとしているのか。次号からは、こういった問題にまで踏み込んだ報告書が出されることを期待したい。

      ○今回の外部評価の進め方としては、ファカルティレポートを含む詳細な資料の提供を受けた上で、外部評価委員会が開催された。外部評価委員会の当日は、評価委員会の委員の方々から神戸大学大学院法学研究科・法学部の現状に関する丁寧な説明を受けた。また、施設見学や質疑応答・意見交換の機会が与えられた。さらに、評価委員会の当日の発言記録が詳細に再現されて、評価委員に配布されたことも、評価報告書を取りまとめる上で役に立った。自主的に取り組まれた今回の外部評価において、評価のための情報の提供につき以上のような配慮が十分になされたことについても、ここで高く評価したい。
        もっとも、外部評価や第三者評価を日本の大学の風土に今後しっかりと根付かせていく上で、評価委員がどのように情報を蒐集し、評価を下すことにしていくのがよいのかについては、一般論としてではあるが今回の経験を通じて、さらに工夫していく余地があるかもしれないという印象を受けた。例えば、今回のような外部評価委員会を開催し、その後評価報告書を各人が暫定的に取り纏めた段階で、次には評価委員のイニシャティブで日時を設定しての授業参観、学生との意見交換、大学教職員からの報告の聴取等々の機会を設けるべく、第 2 回目の外部評価委員会を開催することが考えられうるのではないか。また今回も、評価を受ける側の当事者が退席した状況で評価委員が相互に意見交換をなす機会を設ける予定であったところ、時間の都合で省略することになったが、以上のような第 2 回目の外部評価委員会を開催した折りには、評価委員間で意見を交換する機会を設けることができるであろう。それにより外部評価委員同士で評価の摺り合わせを行う方が、客観的かつ包括的な評価を最終的な報告書に反映させていくのに役立つように思われる。


    2. 研究活動について

      ○神戸大学法学部は、昭和 55 年の大講座制移行の改革を契機として一気に充実の度を増した体制でもって、その後の研究・教育活動を精力的に展開している。とりわけ、優れた能力に恵まれた教官が多数存在し、それぞれ意欲的にエネルギッシュに研究活動を繰り広げている様子は、壮観でさえある。それぞれの教官の研究活動の充実という点で、全国的に見ても抜きんでている。
        このように旺盛な研究活動が繰り広げられていることは、研究に勤しんでいる教官一人ひとりの努力の産物であるとともに、学生の定員数に比較して多くの講座数が保障されていること、教官の人事構成につき年齢的にバランスがとれていること、教官の出身大学に関しても自大学出身者に偏ったり特定の一大学に偏ったりすることがないこと等、様々な要因が相俟ってのことと思われる。これらの要因の一つひとつもまた、過去から現在に至るまで、神戸大学大学院法学研究科・法学部として積み重ねられてきた努力の成果であり、いずれの側面からも高く評価されるべきであろう。

    3. 教育活動について

      ○教育活動もまた、個々の授業に関しては、おそらく熱心に繰り広げられているものと推察する。このことは、「シラバス」においてほとんどの授業につき充実した記載がなされているところからも伺い知ることができる。

      ○しかし、今回手にした冊子等の資料を見る限りにおいては、教育活動に関しては改善の余地がまだ残されているという印象を受けた。まず第一に、カリキュラムが十分に学生の立場に立って組み立てられたものであるかにつき、いささかの疑問を抱く。このことは、 1 年次 2 年次の学生を対象とする部分について、とりわけそうである。
        例えば、 3/4 年生対象のゼミは確かに十分に開講されているように見受けられる。神戸大学法学部案内 9 頁によれば、 3/4 年生を対象に 2001 年度に 26 のゼミが開講されているとのことであるから、入学定員が 220 名であることを考えると、仮にほぼ全員の学生が履修を希望するとしても、クラスの規模は平均 17 名前後かと推察する。これに対し、 1 年生対象の基礎ゼミは、前期のみであり、かつ 8 のゼミしか開講されていない。仮に入学者の全員が受講を希望すれば、クラス規模は平均 27 から 28 名ほどになるものと思われる。また 2 年生対象のゼミは、 2002 年度に初めて開設されたということであるが、平成 14 年度の授業要覧によれば、開講数は前期後期それぞれ 3 つずつに止まっている。
        少人数教育の必要性は、むしろ入学直後の高校教育から大学教育への転換段階において最も高いのではないか。また、ゼミ形式の授業を受ける機会は、 4 年間にわたって十分に保障されることが望ましい。このところ年毎に 1/2 年生対象のゼミの充実が図られてきているようであるので、今後とも一層の改善が図られることを期待したい。

      ○第 2 に、教育の理念や目標、その内容や具体的なカリキュラム、学習の姿勢・方法等を学生に向かって語りかけるという点においても、必ずしも十分でないように見受けられた。例えば、「学生便覧」は、学生が知っておくべき規則や関連するデータを集めただけのものに過ぎない。カリキュラムの全容を説明し、その理念を説き、学習の指針を示す叙述は、「学生便覧」にも「シラバス」にも見られない。おそらくは学生向けのガイダンスにおいて口頭で、あるいは他の資料を用いながらこの種の説明がなされているものと推察する。しかし教育に関する情報の伝達が学生にとっては最重要の事項であることを考えると、これらの最も基本的な学生向け冊子においてこそ、そのような記述が求められよう。
        これに対し、博士課程前期課程の学生を対象に取り纏められている「学生の手引き」は、項目立てにおいても叙述の内容においても、学生の立場によく配慮がなされている。学部学生向けの冊子よりも、遙かに親切であるという印象を受けた。
        ちなみに、「法学部案内」と「法学研究科の案内」を比較しても、後者の方が学習のイメージを学生によく伝える内容となっているように思われる。

      ○法学研究科に関しては、とりわけ前期課程につき「体系的なカリキュラム」の充実に努めてきたということであり、高く評価できる。もっとも、「当分の間開講せず」等の記述が散見される点が気になった。

      ○近年になって授業評価に着手したり、あるいは卒業予定者を対象とするアンケートを行うなど、学生の率直な意見に耳を傾けようとしていることは、評価に値する。もっとも近年は、とりわけ私学を含めると、日本の大学においても授業評価等によって学生の反応を知る努力は相当に広く行き渡ってきている。神戸大学法学研究科・法学部においては、今後急速に授業評価の充実の度を増していくことによって、ややスタートが遅かったことを挽回するほどの成果を上げていかれることを期待する。

      ○ファカルティレポートの「教官個人の研究・教育活動報告」においては、研究の報告がおしなべて充実しているのに比較して、教育活動の報告は、担当授業の羅列に過ぎないものが大半である。しかし、中には生き生きとした叙述がなされているものがあり、それを読むことによって授業に関する多くの示唆が得られる思いがした。ファカルティ・デベロップメントをどのように取り入れていくかは、今後の日本の大学教育における大きな課題であろうが、各人がどのような点で工夫を凝らしながら教育を行っており、どのような点で成果が得られ、どのような点で悩んでいるかを互いにレポートしていくだけでも、大きな手がかりになるのではないかという感想を抱いた次第である。

    4. 施設について

      ○施設は、快適な教育研究環境というにほど遠い状況にある。そのことが内部の教職員によって強く認識されていない様子である点に、最大の問題があるように思われた。

      ○キャンパス全体の雰囲気は、学問の府としての落ち着きが感じられ、他の国立大学に比べればまだ良好な方であるという印象を受けた。それぞれの建物の外壁が統一の色合いのタイルで覆われていることがそれに大いに役立っているように思われたところ、タイル張りである点に関しては、建設当時に神戸大学が寄付を募って手当てをしたとの説明を聞き、先人たちの自助努力による遺産の大きさに感じ入った。
        しかし、建物の内部に足を踏み入れると、いずこも同じ日本の国立大学の悲哀を強く感じる。建物自体が古くて狭隘であることに加えて、廊下や階段に使われてもいない机や椅子が放置されていたり、掃除が行き届いていなかったりしており、維持管理という点でも問題が多々あるように見受けられた。また、情報化への対応についても、学生・大学院生から見た情報設備等の使い勝手は、必ずしも高水準ではないように見受けられた。
        近年は日本においても私立大学を中心に、教育研究環境の大幅な改善が図られてきている。大学としての使命をよりよく果たすためにも、国立大学の教職員が施設の貧困さに慣れてしまったり諦めてしまったりしないで、最大限改善に務めることが必要であろう。

    5. 法科大学院への取り組みについて

      ○法科大学院におけるカリキュラムについて良く検討を進められてきていることに加えて、ホームページも活用しつつ、いち早く広く全国に知らせていこうという姿勢をとられている点が素晴らしい。今後とも、法科大学院設置の全国的な動きの中で、引き続きリーダーシップを発揮していかれることを期待したい。

    II -5 神戸大学大学院法学研究科・法学部 外部評価報告書
      水野 武夫 (弁護士・前大阪弁護士会会長)

    1. はじめに

        神戸大学が、外部評価について、自らこのような取組みを始められたことについては、高く評価すべきものと思う。
        しかしながら、このような短時間の説明と見学だけで正当な評価をするというのは、非常に無理なことであると思われる。とりわけ小生のように大学人でない者にとっては、これだけで的確な指摘をすることは困難である。外部評価により実質的な大学改革のヒントでも得ようというのであれば、その方法についてはもっと工夫が必要であろう。
        したがって、このメモも、ピントはずれの部分が多いと思われることをあらかじめお断りしておきたい。

    2. 教員の陣容について

        教員の陣容は、非常に充実しているものと思われる。
        しかし、教員の出身大学を見ると、東大が 41% 、京大が 30% と、合計 71% を占めており、また、公法、刑事法、商事法では、神戸大学出身者以外はほぼ全員が東大であるし、民事法では 9 人中 6 人が京大であるなど、分野ごとに一部の大学に集中しており、偏りがあると思われる。私学出身者は 3 名しかおらず、関西の私学出身者が一人もいないというのも、不思議な気がする。また、女性の教員は、 58 名中 1 名しかいないのも問題である。
        教員が特定の傾向に集中せずバラエティーに富んでいるほうが、大学にいきいきとした活力が生れるのではなかろうか。そして、そのような人事は、意識して行われなければ、従前のように、同じ大学の出身者を指名したり、男性を採用することになって行くことになるものと思われる。教員の公募が行われたことがあったのだろうか。

    3. 学生による授業評価について

        13 年度後期から、学生による授業評価アンケートを実施したことは評価できるが、これまでそのような取組みが行われてこなかったことが問題であろう。
        今回の評価の結果を見ると、全体として、やや評価が低いのではないかという印象である。現に、卒業予定者からのアンケートでは、神戸大学法学部は良い大学でしたかとの質問に対し、非常に良い 17% 、まあ良い 51%(合計 68%) であるのに対し、良い授業の割合では、 9 割以上が 4% 、 7 割以上が 18%(合計 22%) と、明らかに開きがある (昼間主コース) 。言うまでもなく、大学の主たる役割は授業にあるから、もう少し、学生から高い評価がされるよう、教育者としての努力が必要である。
        この評価の結果は、教授会には公表されているが、学生や外部には公表されていない。学生等への公表は、人気取りになって弊害が生じるという理由かもしれないが、もはや今日においては、これを公表し、全学的な授業改善に生かす方策を考えるべきではなかろうか。
        このような学生による授業評価は今年が始めてのことのようであるが、次年度以降は、評価の上昇が見られるか否かを検証していく必要があろう。
       

    4. 施設について

        施設については、国立大学の宿命なのか、必ずしも十分とはいえないようである。
        図書館なども、近代的なものとはいえず、利用しやすく便利であるとは思われなかった。教室や演習室は他学部と共通で使用しており、問題ないとの説明であったが、大学院生の研究室などは、十分なものとは思われない。社会人コース、専修コースの学生についても専用の机が与えられていないのは問題であるし、まして研究者コースの学生ですら専用の机を与えられていないというのは大いに問題である。この点について、もっと強い問題意識があって然るべきではないかと思う。
        また、大学院生の研究室の廊下などには、殆ど利用価値のない古い雑誌や備品が雑然と置かれており、施設管理が極めて不十分だと思われた。管理責任者、すなわち、不要なものを捨てて環境を良くする責任者は誰なのか、その責任者にそのような意識があるのか、大学の機関でそのようなことが問題とされたことはあったのかが、検証されるべきであろう。このような点が改善されれば、予算がなくても、もっと研究環境が良くなるのではないかと思われる。
        学生が教授と懇談したり学生同士で議論したりする場所が、十分確保されているようには思われなかった。
        卒業予定者のアンケートをみても、教室 ・ 演習室に、非常に満足 2% 、まあ満足 12%(合計 14%) 、図書室・自習室に、非常に満足 8% 、まあ満足 23%(合計 21%) であり (昼間主コース) 、良い大学かという質問に対する回答との間に大きな乖離がある。施設改善の必要性は大であると思われる。

    5. 大学院の社会人コースについて

        大学院に社会人コースをいち早く導入されたことについては、時代の要請を先取りされたものとして高く評価する。
        社会人コースは、実務経験者に対する応用 ・ 実践的な能力の養成と、リフレッシュ教育を目的とすると説明されている。社会経験を積んだあと再び教育を受けたいと思う社会人は、大学教員による理論的に高度な授業も求めているかもしれないが、多くは、実務に役立つ高度な知識を得、実務能力に磨きかける教育を求めているのではなかろうか。
        その観点から、社会人コースの講義と演習内容を見てみると、果たして社会人コースに入学してくる学生のニーズに応えるものとなっているのか疑問が残る。教育担当者も、その殆どが本学の教員であり、実務家は一人だけである。しかも、その実務家による講義は学生に評判が良いというのであれば、学生のニーズもそこにあるというべきであり、実務家による実務に則した教育科目をもっと増やすべきではなかろうか。

    6. 法科大学院構想について

        法科大学院については、いち早くその立ち上げに着手され、また、カリキュラムも作成されて公開されるなど、その積極姿勢は評価される。より多くの専任教員を法科大学院に配置するというのも、その積極性を表すものである。また、 1 学年の定員を 100 名とし法学未修者を 30 名とするが、将来は出身学部を問わずすべての者を 3 年間の教育とするという方向で考えるべきだという説明にも共感を覚える。
        そこで、法科大学院設置後の法学部の在り方が問題になるが、その点についての説明は聞けなかった。この問題は、全国の大学に共通の問題であるが、神戸大学法学部としても、これをどのように考えるかについて、教員間の議論と、これにつき他の大学をリードする積極的な提言を期待したいと思う。
        法科大学院設置後の法学研究科との関係については、法科大学院を経た者が後期課程に入って研究者になるという構想にも賛成できる。また、社会人コースとの関係については、社会人教育の重要性に鑑みこれを維持するという構想が述べられたが、これにも賛同できる。現役の法曹の再教育にも対応したいとの構想についても、大賛成である。
        もっとも、その場合には、教員の大幅な増員と質の向上が必要になることはいうまでもないが、その点につきどのように考えておられるのか、その見通し等につき説明が欲しかったと思う。

      II -6 神戸大学大学院法学研究科・法学部 外部評価報告書
      村松 岐夫 (京都大学大学院法学研究科教授)

      現在、法学部系の学部においては法科大学院の設置に向けて準備が行われている。また「独法化」が進行している。このような環境における大学の外部評価は、日常的な活動の評価とは異なる面があるように思う。また、私の場合、関西にある国立大学の教授であるという同じ環境にある者の視点からの議論にならざるをえない。

    1. 国立大学に共通するかも知れない点についての印象

      (1) 建物施設に関して他の評価委員 (戸松教授) からの指摘があったが、この評価委員からの指摘は、自分の所属する大学の施設への指摘としても妥当すると感じ、忸怩たるものがある。常々そう感じていたことについてやっぱりそうかという感じである。京都大学の新入生の中には、京都大学法学部は廃墟で講義をしているといった者があるという。ある京都在住で大阪大学に入学した女子学生は、京大に行きたかったけれど、京大はトイレが汚いからいやだった、と指導教授に語ったという。国立大学の施設は全学レベルの予算マターでもあり、国立大学の教員の個々人や教授会が自由な発想で十分な関心を持ってきたとは言えない。建替の時期がくれば、最小限の要求はするが、それ以上のものではなかった。しかし、仮に教授会にこの問題を検討する権限が完全に任されていたとしてもやはり私学管理者と同じようには時間を使って検討しなかったようにも思う。それは、従来、学生が集う場など他の点でも学生の環境に配慮してきていない点に表れている。学長などの教員出身の管理者は、施設に強い関心を持ってきたが、それでも自分の主要なポリシーとはしなかった。施設に関しては、学長の関心事項ではあるが、予算は事務当局に委ねられてきたのである。「大学法人」以後の施設管理がどのように行われるのかは十分に議論されるべきである。先の評価委員の指摘は、国立大学の「施設」の管理責任が明らかでないことを示すものである。

      (2) 研究科の組織は法律学系の諸専攻と政治社会科学 1 専攻に分けられている。カリキュラムと関連 の文章を見るだけでは、政治社会科学専攻の中身とイメージが今ひとつ明確にならなかった。京 都大学においても法学研究科に 4 専攻をおきこれに学生定員も配する制度がとられているが、こ のような 4 専攻の制度が何を意味するかを説明する文章は存在しない。予算措置上、形式的に存 在する制度が、カリキュラムにも顔を出しているという感じになる。「専攻」であることがどの 程度重要なのかを知りたいと思う大学院生その他の関係者は、先輩や周囲の言動を見聞きして、 非公式に理解するのであろう。したがって、研究科は、「専攻」その他の制度とはさして関係な く単位の取得と研究を行い良い成果をあげている、ということであろう。京都大学についても同 じことが言える。しかし、他大学や卒業生や外国人は、書かかれていることから理解しようとす る。特に、外国人が留学先を選ぶときに手がかりになるのは冊子によるカリキュラムや研究・教 育組織の説明である。従来の大学が“閉じていた " というときこのようなことよりも本質的なこ とを指摘しているのであろうが、このような点にも現れていると感じた次第である。

    2. 神戸大学法学研究科の印象

      (1) 前期を夏休みに入る前に試験も含めて終了するのは、教育によい効果があるものと推測される。 4 月入学で、上旬に講義を開始するがすぐに 5 月連休に入る。その後、「5 月半分 +6 月 +7 月上旬ま で」講義して休みに入り、「9 月 (残りの講義 + 試験)」のスケデュールでは、教育上の効率が悪 かったように思う。また外国からの留学者の中にも、これまで疑問を投げかける者がいた。教育 は個人の教授の活動であるが、制度が行うものでもある。 7 月に期末試験を含む前期の全体を終 了するというアイディアは現在大学に課せられている学年暦の枠の中では大変によいアイディア である。これも施設が可能にしたとのことであるが、施設が整えばやれることがあるということ は大切である。

      (2) 種々の教育方法の工夫が採用されているように思われる。たとえば、専門基礎を学部一回生に下ろしていることである。専門的知識は広い教養の基礎の上に確立するのかも知れないが、各学生が自覚をもつためには早くからある程度の方向性を与えておく必要がある。 "early exposure, late specialization" は適切な方針のように見える。しかし、学部教育で注目したいのは法科大学院がおかれる後の学部のカリキュラムである。つまり、法科大学院については必要なカリキュラムに関する深い検討があるが、前段階の学部教育は如何にあるべきかが今後重要なテーマになるように思われる。

      (3) 従来、法学部が育成し社会に送り出してきた人材は、法律家よりも、企業人や公務員の方が多かった。政治学者もここから輩出された。法学研究科は、法学の名前で学部生を入学させ法科大学院の経営をすると同時に、従来どおり法曹以外の領域への人材提供を期待されるのではなかろうか。法科大学院へ入学しない法学部生、法科大学院に入学しないが、修士号をえて社会人 (公務員、企業) になるコースをとりたい学生のニーズを受け止めるかどうかと言うことが検討課題としてあるのではなかろうか。文部科学省では、公共政策系大学院の構想を提示していく計画をもっているが、このような構想が提供されたときにどうするのか。特に政治学系がどう対応するのか、について大きな関心を持つ。アメリカの大学を見ると、政治学者が「実務家養成」に大きく貢献しているとも思われないが、他方、政治学系の知識 (種々の policy process に関する知識・国際システムに関する知識・行政活動に関する知識) の有用性の認識も深くなっている。アメリカでも、公共政策系・行政学系は公務員 (ことに 州・地方の公務員) 養成に貢献している。神戸大学のようなリサーチ大学は研究を重視すべきであろうが、大学院レベルの職業関連教育のニーズにこれから政治学がどう応えるかに関心を持った。


      (4) 神戸大学の大きな特徴は夜間主をもっていることである。これが社会人教育ニーズに対応してきたし、今後も期待は続くと思われる。しかしながら、昭和 20 年代に働きながら学ぶ学生のために考案された制度がいまどのような役割を果たしているのか (在学生の性格、卒業生の就職先) についてより詳しく知ってみたいと感じた。

      (5) ファカルティ・ディベロップメントの一環として教育評価を実施していることは先端的である。学部生の教育評価のみならず卒業生も対象としている点が面白い。卒業生は回答において自由があるし人の活動を比較の目で見るようになっている。ただし、自分の人生を自己正当化するので必ずしも客観的とはいえない。データの読み方は難しい。しかし、この種のアンケート調査を受け入れる教授会は先端的である。

    3. その他のコメント (政治学を中心に)

        人的リソースに余力を感じた。この人的リソースによって法科大学院の設置もかなり余裕を持って計画されているという印象である。しかし、政治学者としても 1 つのコメントをしたい。
        政治学は、法科大学院構想の提案によって、その制度的基礎を問われている。これまでは法律学教育の補完的役割を果たしてきたのであろうと思う。しかし、幸いなことに、法律の名前で集まった若者の中から政治学に関心を持つものが自然に生まれ、学問の継承者がでた (法律学が自分に合わないと感じる学生への“救済ルート " でもあった) 。今後もこの方式が許されるのか。それとも政治学はみずからより前面にでて、社会との接点を探すのか。ある意味で岐路に立っている。アメリカのシステムが許されるならば、政治学は大学院レベルの職業人教育とは一線を画してリベラルアーツ教育の一環となりきって、法律学とは別の道を歩むこともあり得る。しかし、「法学部」という効率的に優秀な若者を集める伝統があるために、法科大学院が法学部を手放すことも考えにくい。そうであれば「法学部」の名前で政治学中心のカリキュラムが組まれることはないであろう。政治学の制度選択は、法科大学院の一部としてその中に組み込まれて補完的な教育を続けるのか、公共政策系大学院をつくるのか、あるいは政治学が学部レベルでリベラルアーツの一部となる時を待つかの選択になるのではなかろうか。
       


  3. 現状の説明及び質疑応答要旨
    1. 法学研究科・法学部の現状説明

        平成 14 年 6 月 29 日に開催された外部評価委員会 (午前の部) において、本研究科・学部より、外部評価委員に対して教育・研究活動の現状に関する説明を行った。
        以下は、当日の録音記録をもとに、評価委員会が資料として編集したものである。

        会  場 :
          新神戸オリエンタルホテル
        出 席 者 :
          (評価委員) 戸松秀典、中尾誠、浜田道代、水野武夫、村松岐夫
          (神戸大学) 磯村保、吉川元、丸山英二、井上典之、月村太郎、中野俊一郎、瀧澤栄治

      ◇ 説明内容 < 司会 吉川評価委員長 >
      1 実施の趣旨及び現状と課題の概略 磯村研究科長
      2 教育活動の現状に関する説明
      (1) 大学院における教育活動
       a. 各コースの教育目標と実施状況
      学生受入方針、入試方法及びコースの目的 月村教務委員
      教育内容及び教育方法 月村教務委員
      成績評価 月村教務委員
      教育環境 中野学生委員
      入学及び修了状況 中野学生委員
      教育内容・方法の改善のためのシステム 瀧澤評価委員会幹事
       b. 法学研究科における教育活動の改革
      大学院教育の改革 月村教務委員
      法科大学院の設置計画 磯村研究科長
      (2) 学部における教育活動
       a. 各コースの教育目標と実施状況
      学生の受入 井上教務委員
      教育内容・方法、成績評価 井上教務委員
      学習支援 中野学生委員
      卒業後の進路 中野学生委員
      教育内容・方法の改善のためのシステム 瀧澤評価委員会幹事
       b. 法学部における教育活動の改革
      昼夜開講制 磯村研究科長
      法科大学院設置後の学部教育 磯村研究科長
      3 研究活動及び社会的活動に関する説明
      (1) 所属教官の公表された著作、論文等 瀧澤評価委員会幹事
      (2) 内外での学会における開催、企画、司会、報告等の活動状況 瀧澤評価委員会幹事
       

       ◇ 

      1-1 実施の趣旨説明・現状の課題と概略

      ●実施の趣旨
      【磯村】神戸大学法学部・法学研究科は自己点検評価につきましては、 3 年に 1 回ファカルティレポートを公表して、かなり早い段階から実施しておりましたが、これまで外部の方々から直接ご批判ご意見をいただく機会を設けることができておりませんでした。今年度、教育分野につきまして、大学評価・学位授与機構による評価の対象機関として神戸大学法学研究科・法学部が選ばれておりますので、それに対応する必要がございますけれども、この評価は、それぞれの大学がどういう目的を設定し、それがどのように達成されているかという観点からの評価ということになろうかと思います。今回は、もう少し広い見地で、また研究・教育を含めて全体的に法学研究科・法学部についてのご評価をいただければと考えております。

      ●現状と課題の概略
      【磯村】現状と課題につき、具体的個別的な問題点に関しましては、それぞれの学部委員から説明があろうかと思いますので、少し一般的に申し上げますと、現在、法科大学院の設置をめぐる状況の中で、従来の法学部教育のあり方あるいは法学部自体のあり方に対して社会の眼が非常に厳しくなっております。それに加えて、平成 16 年度に予定されております独立行政法人化の問題の中で、それぞれの大学、あるいはそれぞれの学部・研究科がどういう特色、個性を持つかということが問われている状況にあるかと思います。法科大学院が設置されるとすると、従来の法学部のあり方をどうするかということが、必然的に問われることになりますし、研究者養成の体制をどうするかという意味で法学研究科の位置づけもなかなか難しくなってまいります。さらに、これまでは私どもは、教育システムといういわばソフトウェアーの問題については人的にもずいぶん整備を図ってまいりましたけれども、学生が増え、とりわけ大学院生が増える中で、施設をどうするかという、入れ物の方の対応というものが非常に遅れておりまして、多数の大学院生をかかえて十分な施設をどのようにして提供することができるかを考えることが喫緊の課題となっているかと思います。そういう点も含めて、是非ご意見を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

      1-2 教育活動の現状に関する説明

      1. 大学院における教育活動

        a. 各コースの教育目標と実施状況
        ●学生受入方針、入試方法及びコースの目的について
        【月村】前期課程には 3 つのコースがあり、研究者コース、専修コース、社会人コースとございます。研究者コースにつきましては、旧来の大学院で行われてきた教育・研究とほぼ同じと考えておりますが、目的は次世代の研究者及び教育者の養成というところでございまして、やはり研究能力、教育能力というものを養成していくというところでございます。続いて専修コースでございますが、目的といたしまして、学部段階よりもう 1 ランク上の法学・政治学の知識の会得、あるいは各種の能力の涵養ということを目的としております。従いまして、両コースやはり学力を入試において問うことが必要となりますので、原則といたしまして筆答試験及び口頭試験という形で入試を行っております。例外として内部選抜がございまして、神戸大学法学部内部から進学する場合、一定の成績を条件としまして口頭試験のみということでございます。続いて前期課程の社会人コースでございますけれども、こちらは目的としまして、主に実務経験者に対する応用・実践的な能力の養成、それに加えまして第 2 の目的といたしまして、いわゆるリフレッシュ教育というものを目的としております。従いまして、学力も確かに重要ではございますが、それに加えて実務経験、すなわち社会経験、さらには大学院において研究を行うという意思も重視しようということで、口頭試験だけを課す特別選抜のみで社会人コースは入試を行っております。
         続きまして後期課程でございますけれども、こちらは 2 つのコースがございまして、研究者コースと高度専門職業人コースの 2 つのコースがございます。研究者コースにつきましては、目的はやはり前期課程の研究者コースで深めました研究対象に対する各種の能力・知識をさらに深める、さらに自らが会得した学問上の知識あるいは各種の能力を学生にいかに伝達するかという能力の養成を目的としております。また高度専門職業人コース、これは主に前期課程の社会人コースに対応しているものでございますが、こちらはやはり前期課程で深めた各種の能力をさらに深めるということを目的としております。

        ●教育内容及び教育方法について
        【月村】前期課程につきましては、 3 つのコースともいずれも 30 単位を修了要件といたしております。教育方法につきましては、講義及び演習、研究指導、論文作成指導等とお手元のご案内〔実施概要 4 頁〕には記述しておりますが、講義とそれ以外とに、原則として分けてよろしかろうと思います。講義につきましては、また後でお話をいたしますが、演習は原則として論文指導であり、やはり大学院に入ってきた学生の最終的な成果物ともいえる修士論文あるいはまたそれに相当するもの、法学研究科ではリサーチ・ペーパーといっておりますけれども、それを作成するに際して、教官の側で指導していく、あるいはそれに関連する研究について指導していくという形で行うのが演習でございます。これは非常に各教官の自主性に任されておりまして、非常に多様なやり方で行われておりますので、時間割表には特に掲載されておりません。研究者コースの場合には、原則として、この演習から 16 単位を取ることが必要となっておりまして、その他講義などで 14 単位以上の履修が必要となっております。お手元の学生便覧をご覧いただきたいと思います。学生便覧の 97 頁をお開け下さい。授業科目及び単位数という別表が並んでおります。別表の第 1 が前期課程に対応しているものでございまして、研究者コースにつきましては、演習 16 単位に加えて、この別表 (イ) に載っている特殊講義 26 科目 (あるいは 1 つの科目で複数の講義が開かれている可能性もございますので、実質的にはもう少し増えるかと思います) 、及び外国文献研究をあわせて 14 単位以上、すなわち 7 科目以上履修することが、原則として、要件となっております。続きまして前期課程専修コースにつきましては、演習は 8 単位、そして講義他で 22 単位以上を取るということが、定められております。専修コースにつきましては、学生便覧 98 頁別表の (ハ) に載っております。各専攻あわせて特殊講義が 15 科目あります。但し、この場合隔年開講もございますので、どのような実態かということは、シラバスを後ほどご覧いただければと思います。ここから 22 単位すなわち 11 科目以上を履修することが必要となるわけではございますが、ただ学生のニーズに必ずしも対応していない場合もあろうかと思いますし、また場合によると法学部出身者以外の場合もたぶんあろうかと思いますので、そうしたことをふまえまして、 98 頁の別表 (ニ) にございます特別特殊講義というもの、これは学部の開講科目でございますが、それを一定単位以内履修することが可能となっております。ただここで載っております単位数は、大学院の場合は半分ということで計算いたしております。続いて前期課程社会人コースでございますが、こちらは原則として、演習 8 単位、そして講義他 22 単位以上ということになっております。社会人コースにつきましては、また 1 枚戻っていただきまして 97 頁の別表の (ロ) にございます。 3 専攻あわせまして特殊講義 28 科目ございます。これもまた隔年開講ございますのでシラバス等々で後ほどご確認いただければと思います。こちらから 22 単位すなわち 11 科目以上を履修することが可能となっております。ただ特殊講義の開講科目をご覧いただきますと、かなり法政策学中心ということもございまして、やはりそういったもの以外に研究を行いたい学生が入ってくる、広い意味での政治学関連の研究というものを志す者もございますので、それにつきましては今申し上げました履修の要件を緩和いたしまして、先ほど申し上げた 22 単位ではなくて 4 単位以上という形にしております。それ以外の、すなわち差し引き 18 単位につきましては専修コースの特殊講義等々から補充することが可能であるということでございます。また社会人コースにつきましては、第 2 演習という制度を設けております。第 2 演習とは、すなわち修士論文あるいはリサーチペーパーとは別に、研究論文として重要な論点を 1 年間でまとめるという制度を作っております。これで一応 8 単位 1 年間で出るということで、社会人の学生に対して対処しているということでございます。また後期課程でございますが、研究者コース及び高度専門職業人コースそれぞれ便覧の 99 頁に別表の第 2 というのがございます。別表第 2 の (イ) または (ロ) でございますが、研究者コースにつきましては別表の (イ) から、高度専門職業人コースにつきましては別表第 2 の (イ) または (ロ) から 4 単位 2 科目以上を取るということで、講義はその形でございますが、それに加えて演習が 16 単位ということで、あわせて 20 単位が後期課程の修了要件となっております。学生につきまして、特に新入生に対してこうした履修のオリエンテーションが必要であるということでございまして、だいたい 3 月の末から 4 月のはじめにかけましてオリエンテーションを開いております。その際に、特に前期課程の学生につきましては、こうした「神戸大学大学院法学研究科 博士前期課程 学生の手引き」というものを彼らに配布いたしまして、これをもとに説明することで彼らの履修上の注意というものを喚起するということをいたしております。

        ●成績評価について
        【月村】大学院の教育の、授業に対する学生の単位の評価ということでございますが、まず講義につきましては、やはり非常に個別・多様であるということで現時点では各教官に委ねられております。また事前に学生に評価基準を周知するか否かにつきましては、現在その実態についてちょうどアンケートを始めるところでございます。さらに、演習につきましては、一層、先ほど申しましたように、開く形態も多様でございますので、普遍的な基準を設定するのは困難であろうということで、これまた各教官に委ねられているというのが現状でございます。

        ●教育環境について
        〔情報処理施設・設備〕
        【中野】まずは学生の情報環境でございます。法学部といたしましては、法学部学舎 (第二学舎) の 2 階に大学院生用の情報室を 1 つ設けております。こちらに 14 台パソコンを配備いたしまして、暗証番号で常時入室できるようにいたしております。このほか、ファカルティレポート 39 頁をご覧いただきますと、法政情報室という項目がございます。元来は教官用のパソコン室として設けられたものであったのですが、教官の方は研究室の方にパソコンの配備がすでに終わっておりますので、現在では大学院の方にも広く利用いただいているということでございます。こちらには 10 台パソコンがございまして、利用可能なデータベースとしては、 Lexis あるいは Lex DB 、日経テレコム、判例体系また現行法規等でございます。学生のパソコン利用に関する目下の課題は、院生の研究室でも院生個人のパソコンで情報検索できるようにするということでございます。院生さんの方からかなりの要望がございます。すでに LAN の配線が大学院研究室の前まできておりますので、現在でも技術的にできないということはないのですが、来年法学部学舎の全面改装を予定しております。その折りにこの院生室につきましても、 OA フロアーにするということが予定されておりますので、これを待って整備することを我々としては考えているわけでございます。同じパソコンの問題ですので、学部学生の情報環境についても、ここでお話をさせていただきたいと思います。六甲台の図書館の方には、学生が情報検索に使えるパソコンが 15 台ほど配備されていますが、経済、経営及び法学部の学部学生及び大学院生が共通に利用できる、そういうメインの情報検索室といたしまして、第 3 学舎の 2 階に電算機室を置いております。こちらには助手が 3 名配置されておりまして、 3 つの部屋に 90 台のパソコンが置かれております。朝の 9 時から夜の 8 時 30 分まで、学生が自由に入ってパソコンを使って情報検索できます。本日お見せしたかったのですが、土曜日でございますので、残念ながらお見せできません。
        〔院生室〕
         次に院生室についてご説明いたします。まずは研究者コースの学生でございますが、これにつきましてはやはりかなり長い時間研究するということで、各自に専用の机を与えるということでこれまでやってまいりました。しかしながら、年々院生数が増加し、スペース不足がかなり深刻化いたしまして、ついに今年、机が不足する、そして一部の新入生につきましては、残念ながら机の共有をお願いするという事態に至っております。午後ご覧いただくことにしておりますが、建物自体かなり老朽化いたしておりまして、十分な環境を提供できていると我々は考えておりませんが、先ほど申し上げました、来年度に予定されておる法学部学舎の全面改装に加えまして、平成 17 年度には新しい総合研究棟、第 2 総合研究棟と呼んでおりますが、これが完成予定でございます。こちらにも新しい院生室が設けられる予定でございますので、この段階になれば問題は解消されると考えております。では、社会人コースと専修コースはどうかと申しますと、若干研究のスタイルが研究者コースの場合とは違いますので、社会人、専修につきましては、一部を除き、基本的には自由席制にいたしております。こちらの方は別の建物で、かなり新しく、先ほど申し上げましたパソコンの接続問題を除けば、おそらく大きな問題はないだろうと考えております。
        〔ティーチング・アシスタント (TA) 制度〕
         次に TA につきまして、一言申し上げます。法学研究科学生の教育面での指導及び経済的な面で若干の援助になるということで、 TA を活用いたしております。本年度は、前年度の予算配分額に基づきまして、 2 単位科目に直しますと約 40 名の TA を募集する予定でございます。博士課程の学生を中心にしておりますが、修士課程でも優秀な者であれば採用しておりますし、あるいは外国人留学生を採用した例もございます。
        〔院生の研究発表〕
         次に研究発表の場はどうかということでございます。研究者コースの方には『六甲台論集・法学政治学篇』という紀要がございます。これは年 3 回発行されております。また社会人コース学生が組織いたします法政策研究会というところでは、毎年研究活動の一環としてシンポジウムを開催いたしまして、『法政策学の試み 法政策研究』と題した研究書を刊行しております。昨年はその第 4 集が出版されました。また、大学院生の論文でも、特に水準が高ければ、審査の上、『神戸法学雑誌』あるいは『神戸法学年報』、『Kobe University Law Review』等に掲載を認めるようにいたしております。
         〔経済的支援〕
         続いて学生に対する経済的支援の状況についても、ご説明したいと思います。本日お配りしました、「学生委員説明用 当日配布資料」をご覧下さい。まずは授業料免除からでございます。当日配付資料の一番上に「授業料免除 (平成 13 年度)」の表がございますので、ご覧下さい。授業料免除につきましては、授業料収入予定額の 5.3% の枠内で学内決定ができる、そこからもれた者に対しては、本省の方に超過免除申請をするという形でございます。ただ、近年はご存じの通り国の歳出削減という影響で超過免除申請がきわめて難しくなっております。例えば、ここにはあげておりませんが、平成 11 年度前期ですと、 154 名の申請に対して、 124 名、つまり 80% について免除が認められていたわけでありますが、この表にあげた平成 13 年度前期の場合ですと、 134 名の申請に対して免除者 82 名ということですので、約 60% と、かなり免除率が低下しているという問題がございます。次に育英会の奨学金についてご説明申し上げます。同じ「当日配付資料」の 2 段目をご覧下さい。日本人学生の場合、奨学金の中心は育英会ということになるわけですが、これには 2 種類ございまして、無利子の貸与である第 1 種の希望が大変多ございます。この表をご覧いただきますと、博士の後期学生あるいは博士前期の学生につきましては、ほぼ満足のいく数字、すなわち後期は 3 人中 3 人、前期であれば 19 人中 17 人が決定を受けておりますので、満足いくところかと思うのですが、学部生の場合、この第 1 種の採用決定者は半分弱にとどまっております。しかしながら、その横の「きぼう 21 採用決定者」というところを見ていただきますと、これは有利子なので学生にとってはあまり有利ではないのですが、ほぼ、申請すればほとんど認められるという状況でございますので、そこを含めれば、学部生についても大きな問題はないと考えております。その他にも学部生の場合、例えば三木記念会、竹中育英会、大阪府育英会等々、各種の奨学金を受給しております。これらの内容につきましては、ファカルティレポートの 28 頁に記載がありますので、もしお時間がありましたら後でご覧いただきたいと思います。育英会からの奨学金が貸与されるまで少し時間がかかることがございますので、その間生活できない者に対してはどうするかと申しますと、神戸大学生協から学資金として給付額と同額を借り受けるという制度がございます。
        〔留学生に対する支援〕
         次に、留学生の支援についてもご説明申し上げます。同じ表の 3 段目「留学生の奨学金受給状況」という表をご覧下さい。これは平成 13 年度に限っての表でございますが、これを見ていただきますと、特に学部の留学生の場合は、 10 人中 6 名が国費の留学生、そして 4 名は何らかの形で奨学金を受給しているおりますので、ほぼ 100% が何らかの経済的支援を受けられているということになります。博士前期につきましても、受給があるかないかという点だけ見れば、ほぼ満足のいく数ではございます。すなわち 18 名中 2 人が国費、そして 13 名が受けておりますので、あるなしという点では問題ないわけですが、しかし奨学金の内容によってはもちろん給付額の非常に少ないものもございますので、私費留学生に中には場合によってアルバイトに頼らざるを得ない者がいることも事実でございます。また研究生の場合には奨学金の取得がきわめて難しいことがこの表から読みとれますし、また博士後期課程の学生の受給率がかなり低い、これも特徴的でありますが、後期課程の学生につきましては、 OD になってしまうと給付をうち切られるという問題がございますので、それで説明がつくということかと思います。但し、より早い段階で博士号を取得できるように研究科全体で取組を要するところかと思います。

        ●入学及び修了状況について
        〔入学状況〕
        【中野】大学院の入学者の状況につきましては、「学生便覧」の 175 頁に表がございますので、ご覧下さい。平成 12 年度から、大学院部局化いたしました関係で、若干表の下の方が見にくくなっておりますけれども、例えば平成 13 年度をご覧いただきますと、一般が 35 名、外国人特別学生が 10 名、社会人特別選抜でさらに 25 名、合計 70 名が前期課程に入学しております。またその右側をご覧いただきますと、後期課程の方には内部進学者が 11 名、編入学が 4 名、さらに外国人が 1 名という入学者状況になっております。というわけで、前期課程においては社会人、また後期課程では外部からの編入あるいは外国人の特別学生を多く受け入れているということが 1 つの特徴といえるかと思います。また、留学生の受入状況につきましては、本日配布いたしました「法学研究科の評価のための資料」をご覧いただきますと、その一番下に過去 15 年間の留学生受入状況が一覧表の形で出ておりますので、ご覧いただければと思います。かなり数多く受け入れているのではないかと考えております。
        〔修了状況〕
         続きまして、大学院修了者の状況についてご説明申し上げます。大学院の修了者につきましては、先ほどご覧いただきました「学生便覧」 177 頁にその数があがっております。また、論文のテーマなど、より詳しくは「ファカルティレポート」の 60 頁以下を後ほどご参照いただければと思います。数だけ申し上げますと、前期課程では、平成 6 年以降に絞ってみると、毎年 50 名前後の修了者を輩出いたしております。そして博士後期課程の修了者につきましては、「法学研究科の評価のための資料」に博士号の授与件数を表にいたしております。この一番上の表をご覧いただきますと、過去 15 年間どれだけの数を出してきたかをご覧いただくことができます。例えば平成 10 年度ですと、博士 9 名、論文博士 4 名を出しております。近年では毎年相当数博士号を出しております結果、博士課程で博士論文を書くのは当然のことだと、教官、学生の意識が徐々に変わりつつありますので、今後この傾向はおそらく強まるのではないかと考えております。もちろん研究科といたしましては、量だけではなくて質的にも相当水準のものを出しておると自負しておるというわけでございまして、それは本研究科の方で毎年コンスタントに研究者を輩出してきたということに現れているのではないかと考えております。その 1 つの資料として同じ「法学研究科の評価のための資料」の 2 段目、大学院生の就職状況 (過去 15 年) というものをあげておきました。これで、過去 15 年間にどういう大学に研究者を出してきたかをあげております。ただ、いわゆる OD 問題が解決したというわけではまったくございません。 1 つ数字をあげさせていただきますと、平成 14 年度の場合、 57 名が OD として後期課程 3 年次に在籍しているという状況でございます。
         
        ●教育内容・方法の改善のためのシステムについて
        【瀧澤】大学院教育の改善のための体制について、簡単に説明させていただきます。平成 3 年に自己評価委員会が設置されました。この委員会は、まずは、いわゆる自己評価報告書の作成を目的として設立され、 1 年後の平成 4 年に、本日委員の皆様方にお配りしております「ファカルティレポート」の第 1 号が出されたわけでございます。以後 3 年ごとにこれを作成、公表しております。この報告書の中には、組織全体としての教育活動についての評価報告、それから各教官個人の教育活動についての評価報告というものを載せております。それから、もう 1 つの活動といたしまして、どのような教育が実際に実施されているのか、こういった状況を的確に把握するということが必要ということで、昨年度、平成 13 年度の後期からでありますが、社会人あるいは専修コース向けの、履修者の比較的多い講義 (例えば 20 名から 30 名程度) につきまして、授業評価アンケートを実施しております。本日資料の方は添えておりませんけれども、教育内容・方法、授業の進度とか理解のし易さ等について調査を実施しているわけです。さらに、大学院教育の全体、具体的な講義や論文指導や、施設や奨学金といった内容につきまして、現在大学院に在籍している院生、それから、遡って 3 年ではありますが、修了者に対して、アンケート調査を今実施しているところでございます。実際のところ回収率はそれほど良くはありませんが、こういう形で実施状況の把握に努めようということが、始まったということでございます。もちろん、このような調査、データを得て、それからこれを分析しながら問題点を把握し、そしてそれを改善の取組へとつなげていくということが必要かと思うのですが、現在のところ、アンケート調査、現状の把握というところで、これをいかにこちらとして受け止めて、教育の質の改善に努めていくかということは、なお今後の課題として残されているということでございます。

        b.  法学研究科における教育活動の改革
        ●大学院教育の改革について
        【月村】神戸大学大学院法学研究科では、平成 4 年度からそれまでの既設の私法専攻、公法専攻に加えまして、基本的に実務家に対応する法政策専攻という専攻を設置いたしました。そして平成 12 年度から大学院重点化に伴いまして、専攻の構成を抜本的に変更いたしました。すなわち、経済関係法専攻、公共関係法専攻、そして政治社会科学専攻の 3 専攻でございます。そして前期課程につきましては、先ほど申し上げました 3 つのコース、研究者コース、専修コース、社会人コース、後期課程につきましては研究者コース、高度専門職業人コースの 2 コースを設置しているところでございます。前期課程の社会人コース及び後期課程の高度専門職業人コースは、法政策専攻に基本的に対応しておりますが、ただ、先ほど申し上げましたように、法政策学以外の研究志望者も入ってくるということで、社会人コースにつきましては、前に申し上げましたような履修要件の緩和もしているというところでございます。


        ●法科大学院の設置計画について
        【磯村】法科大学院の問題については、全国的な課題として平成 16 年からスタートできるかどうかも含めて、少し不確定的な要素が出てまいっておりますが、本研究科としても平成 16 年度設置を目指して準備を進めている段階にございます。現時点では 1 学年 100 名、 3 学年 300 名を総定員とする法科大学院を設置する計画を立てております。これによると、専任教員は現在検討されている設置基準では、学生と専任教員の比率が 15 対 1 とされていますので、 20 名の専任教員が必要ということになるのですが、本研究科の場合には、総定員数が比較的多いこともあり、設置基準で必要な数より多くの専任教員を法科大学院の方に配置して、できるだけ実質的な意味でも少人数教育を重視した教育を行いたいというように考えております。ただ、法科大学院をどのような組織として設置するか、従来の法学研究科の中に独立した専攻として法科大学院を作るのか、あるいは法学研究科と切り離した形で独立の研究科にするかという困難な問題があり、その点が少し、今後の計画にも影響を及ぼすところがございます。
         1 学年 100 名のうち、当初はいわゆる未修者、つまり法学の能力を前提としない枠で入ってくる 3 年コース履修者を 30 名、法学の基礎的能力を備えた、 2 年コースの法学既修者 70 名で、スタートしたいというように考えておりますが、中期的には、むしろその数字が逆転し、将来的には出身学部を問わず、すべての者が法科大学院において 3 年間の法曹養成専門教育を受けるという方向を目指すべきであると考えております。ただそうすると、法学部教育との重複が生じないかという問題が生ずることになり、法学部教育をどうするかという問題があらためて問われるということになるのだろうと思います。
         法科大学院におけるカリキュラムの内容については、本年 4 月の教授会で決定をいたしまして、対外的にもホームページで公表させていただいております。いろんな形でご意見を賜っているところでありますし、特に司法研修所の前期修習がどうなるかということとの関係で、実務教育をどうするかなど、なお流動的な部分があるかと思います。研究科の内部では、授業科目の決定だけではなくて、各科目についてシラバスをどうするか、あるいは授業モデル案をどうするかというようなことについて、各関係講座に今資料の提出をお願いしている段階にございます。研究者の教員については、定員充足も比較的順調に進んでいるかと思いますが、実務家教員をどう確保するかということについては、特に国立大学については今勤務条件や兼業禁止等の問題もございまして、なかなか難しい状況でございます。細かい点はいろいろとございますけれども、大まかな概要としては以上の通りでございます。

      2. 学部における教育活動

        a. 各コースにおける教育目標と実施状況
        ●学生の受入について
        〔昼間主コース〕
        【井上】学生受入方針、いわゆるアドミッション・ポリシーといったものにつきまして、お手元の「2002 年法学部案内」の中には直接には載せておりませんが、来年度の募集要項等にはアドミッション・ポリシーが載るよう、全学レベルで検討しております。その関係で、昨年度より学部全体におけるアドミッション・ポリシー並びに入学試験とそれとの整合性といった問題について検討を加えて、現在報告書を作成いたしております。そこではまず、幅広く法学・政治学的素養を備え、高度な専門的養成に即応しうるような人材並びに国際的な領域において法学・政治学的知識を活かし活動しうる人材の育成を目的とするという法学部の教育理念を打ち立てました。それに対応して、アドミッション・ポリシーは、専門教育に順応できるだけの一般的教養知識・思考能力を有する人材の確保であるとし、具体的には、社会科学特有の一般的教養知識を有することを前提に、日本語文章読解・表現能力、外国語の一般的知識、論理的かつ数理的思考能力を重視した人材の受入を基本理念として掲げております。選抜方針、選抜方法といたしましては、「ファカルティレポート」の 13 頁をご覧いただきたいと思います。本学部は、昼間主、夜間主の 2 つのコースに分かれ、それぞれに入試制度を設けております。昼間主コースにおいては、一般選抜といたしまして前期日程、後期日程という形の個別入試 + センター入試という、どこの大学にも見られる試験をやっております。昼間主コースにつきましては、前期日程が定員 150 名、後期日程が定員 70 名で、おおよそ 2 対 1 の比率で前期と後期の人数振り分けを行っております。本年度前期日程合格者は 154 名、辞退者が 5 名、マイナス 1 名欠員で、追加合格 1 名を出しております。後期日程の合格者が 74 名、辞退者が 9 名、欠員が 5 名出ております。この 5 名につきましても、追加合格者を出して、総定員 220 名にぴったり合うような形で今年の入学試験も無事終了することができました。さらに外国人特別選抜として、留学生につきましては、一定の資格を持っているということだけではなくて、日本語能力につきましての日本語能力検定試験、私費留学生につきましての統一テストを受けていただきまして、それの 250 点という基準、日本語能力につきましては 1 級という基準を定めまして、それをクリアーしている学生について日本語の作文並びに学習意欲等を検討するための面接といった試験を行って、選抜いたしております。本年度は 5 名、外国人留学生が入学しております。そのうちの 2 名が国費留学生、 1 名がタイの政府奨学金による派遣留学生になっております。
        〔夜間主コース一般選抜〕
         次に夜間主コースの説明に移ります。夜間主コースも同じように前期日程 10 名、後期日程 5 名という形で、総定員 40 名のうちの 15 名につきまして一般選抜で入学者の選抜を行っております。夜間主コースの方は、昼間主コースとは違いまして、理科を除く 4 教科で、数学が 2 科目の 4 教科 5 科目の入学試験を受けていただきまして、前期日程につきましては日本語読解能力を判定するための国語の個別入試を課し、後期記日程に関しましては特に個別入試を課さず、センター入試の得点だけで合否を判定するという入試制度を採用しております。
        〔夜間主コース特別選抜〕
         さらに、夜間主コースは、社会人のリフレッシュ教育あるいは再教育というもの、あるいは労働と勉学を並立させようという目的で設置されております関係上、それ以外の様々な入学制度、特別選抜制度というものを採用しております。夜間主コースに関しましては、まず定員 15 名の、高等学校長の推薦並びに調査書の評定が 4.0 以上で在学中に定職に就いて勉学する者という出願資格を設けた、推薦入試を行っております。センター試験において少なくとも 1 教科受験して、あとは面接試験で勉学と労働との並立可能性、勉学能力、思考能力を問うという形で行っております。さらに現在すでに働いている方には、社会人特別選抜という入学試験を設けておりまして、入学時に満 23 歳以上になる者で、社会人としての経験を 5 年以上有している者を対象とした特別選抜です。これはまさに社会科学の分野で特に重要ではないかと思われる社会経験を持っている社会人を受け入れるための選抜方法でありまして、少なくとも社会経験を活かして法学部においてどのような観点から専門科目を履修しようとしているのかということにつきまして、本人におよそ 800 字の志望理由書を書いてもらい、その上で専門科目履修のための語学につきまして一般教養知識を持っているかどうかを判定するために、英語の筆記試験を課し、さらにその志望理由書、修学意欲等を判定するための面接を行って、総合的に合否の判定を下す選抜方法を行っております。
        〔3 年次編入学〕
         これ以外にも、昼間主コース 20 名、夜間主コース 20 名の 3 年次編入学入試をやっております。これは、少なくとも他の専攻あるいは他の大学での専門科目の履修を修了した人であっても、神戸大学法学部において受け入れるという方針のもとに、各コース 20 名ずつの定員で入試制度が設置されております。一般教養科目についての試験、並びに法学の基礎的な知識を持っているかどうかという一般的な法学についての試験、さらに英語という 3 科目で入試を行っております。例年、特に法学部は大学の中でも編入学試験の受験者数が多く、定員 20 名のところ 300 人近くが出願しておりまして、編入学試験のために大教室を 1 つ必ず空けなければならない事態になっております。

        ●教育内容・方法、成績評価について
        〔卒業要件単位数、キャップ制の導入〕
        【井上】次に教育内容についてです。カリキュラムをまずご説明させていただきたいと思います。学生便覧の 62 頁をご覧いただきたいと思います。細かく説明していきますと大変ですので、簡単に概略だけ説明させていただきます。まず、 62 頁は、いわゆる専門科目を除きます、全学共通科目についてのカリキュラム一覧となっています。 2001 年度入学生からキャップ制が神戸大学においても導入されておりまして、 1 学年に登録できます総単位数が 45 単位になっています。それ以前、 2000 年度入学生まではキャップ制が導入されておりませんでした。その関係でカリキュラムの全面改正が 2001 年度に行われました。 2000 年度入学生、現在の 3 回生までは、この全学共通科目といわれておりますものが 39 単位、法学部専門科目が 104 単位、合計 143 単位が卒業要件単位数です。ところが、キャップ制を導入するとなると、 143 単位では卒業するのがかなり厳しくなってしまいます。神戸大学法学部では、各講義科目の成績評価について、何名の学生が各講義科目を受講し、何名が試験を受け、合格者は何名で、優・良・可の成績評価基準が各何パーセント、何人いるか、不合格者が何人いるかという、各授業科目ごとの合格率、言い換えますと、単位取得率というものを調べております。 2000 年度の、いわゆるキャップ制のついていない学生に関しまして、その平均合格率がおよそ 7 割となっています。そこで、各年度 45 単位を上限とするキャップ制を導入しますと、 4 年間で 180 単位までしか登録できない。もしそのうちの 7 割しか合格しないとするならば、平均的な取得単位総数は 180 単位の 7 割、つまり 126 単位となり、卒業要件単位数である 143 単位にとどきません。従って総単位数を減らしていく必要があろうという観点から、 2001 年度キャップ制導入に伴いまして、総単位数は全学共通科目が 31 単位、法学部専門科目が 100 単位の合計 131 単位になっております。以上は昼間主コースです。夜間主コースは別になりますので、後でご説明させていただきます。


        〔履修コース制〕
         専門科目について 64 、 65 頁をご覧いただきたいと思います。法学部専門科目につきましては、履修コース制というものをとっております。この履修コースは、司法・行政・政治・産業・国際という 5 つのコースに分かれておりまして、基本的には、司法コースは将来法曹関係に進みたいと思う学生のコースとなっております。行政コースはいわゆる公務員を志望する学生のコースとなっております。政治、国際コースはどちらかというとマスコミ、あるいはその他一般の商社等も含めた企業に進みたい、あるいは政治につきましては将来政治的な方向へ進みたい、あるいは公務員になりたいと思う学生がこのコースをとっている場合もあります。産業コースは、専ら一般企業へ就職することを念頭においているコースとなっております。特に政治・産業・国際の 3 コースにおきましては、将来法曹あるいは公務員といったようなところへ行くのではなく、一般企業あるいはマスコミ関係へ行く可能性が高いという観点から、法学部専門科目だけでなく、経済学部、経営学部という、社会科学系の他学部の科目を最低限 12 単位、履修しなければならないという要件を課しております。ただ、特定の科目を必修科目にしてしまいますと、その科目に学生が集中しますし、また、その単位を落としただけで卒業できなくなるということになってしまいますので、神戸大学法学部におきましては、授業科目群という、それぞれの授業科目を専攻に応じた大きな枠組みでとらえまして、その中からいくつかの単位をそれぞれのコースで選択必修として取得してもらうという形をとっています。私の専門の、公法を例にとりますと、憲法 I 、 II 、 III 、行政法 I 、 II 、地方自治法、租税法という科目の中から、例えば司法コースでしたら 8 単位、行政コースでしたら 10 単位、政治は 4 単位、産業は 8 単位、国際は 4 単位を、各コースの選択必修単位数として取ることになります。この要件を満たした上で、卒業するための総単位数 100 単位を取得してもらうという形をとっております。
        〔他学部科目の履修〕
         さらに、このコース全体を通しまして、学生便覧 74 頁以下に載っております経済学部・経営学部の科目、さらに昼間主コースに関しましては文学部の科目に関しましても、他学部専門科目として法学部の卒業単位に認定できることにしております。これは総単位数 20 単位までですが、 100 単位中の 20 単位、つまり 20% までは他学部科目で埋めてもらってもかまわないという仕組みをとっております。
        〔時間割の編成〕
         カリキュラムの時間割表をご覧下さい。神戸大学法学部は完全ゼメスター制、前期後期分離制になっておりまして、通年で行っておりますのはいわゆる 3,4 年次の演習だけになっております。それ以外はすべて半期制、ゼメスター制となっています。 4 単位科目につきましては、連続科目、連続時間帯でやるのではなくて、それぞれの時間、 1 コマづつ分けて別の曜日に振り分けるという形態をとっております。今年度、平成 14 年度の前期時間割表をご覧いただきたいと思います。 02 生というのが 1 年生になっております。 93 から 01 生というのが 2 回生以上の科目になっております。見ていただきますと、例えば、月曜日の 1 限には英米法・行政法 I ・日本政治史という科目が入っております。これらの科目が実は木曜日の 1 限にも同じように対応して入っております。この 2 コマを取って初めて、講義が 4 単位として成り立つということで、どちらか一方だけではなく、月曜日の 1 限に英米法を履修するのであるならば、木曜日の 1 限も必ず英米法を履修しなければならないという形で、 1 つの科目が 1 週間のうちに 2 コマ入るという時間割を組んでおります。もし、英米法・行政法 I ・日本政治史の 3 科目が同じ月曜日の 1 限に入っているけれども、もう 1 コマがそれぞればらばらの時間に入ってしまいますと、学生は取る科目の数がきわめて限定されてしまう。キャップ制がついてきますので、さらに限定されてしまい、非常に困ることになります。そこで、原則として、同じ 1 つのコマで開講されている複数の講義は、もう 1 つのコマに入れるときにも必ず同じコマの中に入れるという形で組み合わせるという方法をとっております。
         さらに、例えば英米法・行政学・日本政治史のそれを見ていただきますと、 2 年生配当科目、 3 年生配当科目、あるいは 2 ・ 3 ・ 4 年生配当科目というように、年次配当が指定されおります。各授業科目について、配当されている年次が重ならないようにすると同時に、もしどうしても重なるときには、法律系と政治系は重ねるけれども、法律系を 2 つ同時には重ねないといったことを考慮しながら、現在時間割を作っております。
         以上は講義科目の問題です。演習につきましては、 1 年次のときに基礎ゼミという少人数教育が前期に 2 単位で開講されております。さらに 2 年生におきましては、今年度 01 年度生から 2 年ゼミというものが開講されております。 2 年ゼミは、前期後期両方開講されておりまして、学生は前期に取るか後期に取るかを選択する方式で、開講しております。 3 回生、 4 回生には、演習という通常のゼミが通年で開講されております。夜間主コースにつきましては 67 頁以下に科目及び単位数が示されております。夜間主コースの場合には、昼間主コースとは若干異なり、全学共通科目につきまして、総単位数で 30 単位、専門科目では 96 単位、合計 126 単位を取ってもらうことになっております。但し、夜間主コースの場合、いろいろな制約がありますので、外国語につきまして、英語は取っていただきますが、法学部の専門科目 2 科目を余分に取ったときには、第 2 外国語を選択しなくてもいいという仕組みをとっております、といいますのも、全学共通科目は大学教育センターという、専門科目とは違う場所で開講されている関係から、もし一回落としてしまうと、 2 年生にもう一度語学を取りに大教センターに行かなければならない。ところが、他方で 2 年生からはもう専門科目が積極的に展開されることになって、不都合がある。さらに、教室等の関係及び担当教官の関係で、学生数の制限の問題もありますので、専門科目の方で 2 科目余分に取ってもらったならば、それで卒業要件の方に参入するという形をとっております。
        〔成績評価等〕
         さらに成績評価につきまして、成績評価基準というのが学生便覧の 83 頁に載っております。さらに同じ 83 頁に成績優秀学生につきましてのキャップ制緩和措置というのも載っております。また、 84 頁を見ていただきますと、早期卒業、いわゆる 3 年次での卒業の制度を作っておりまして、この 3 年次卒業につきましての基準というのも載っております。
        〔科目展開と担当教官〕
         講義の科目展開に関しましては、それぞれ対応する教官構成というリストがありますので、ご覧いただきましたら分かる通り、先ほど述べました学生便覧に開講されております法学部専門科目、これにはすべて法学部の選任教員が対応できる体制を現在はとっておりまして、その関係で講義というものは、支障なく進んでいるという形になります。

        ●学習支援について
        〔1,2 年生〕
        【中野】まずは 1,2 年生に対する学習支援でございますが、 4 月に新入生、 2 年生、そして 3 年次の編入生に対して、個別にオリエンテーションをいたしております。学習生活面及び履修上の問題点につきまして、情報提供をしておりますが、特に 2 年生につきましては専門の教育が本格化することもあり、また単位取得のルールが先ほどご説明ありました通り、非常にややこしくなっておりますし、そして 3 年次より履修コース制が始まりますので、これらについては、特に丁寧にオリエンテーションをしているということでございます。法学部では特にクラス制というのはとっておりませんが、 1 年生前期に基礎ゼミという科目を設けており、ほとんどの学生がこの基礎ゼミを履修しております。ここでは教官 1 名に対し学生 30 名以下という制度にしておりますので、事実上は単なる専門教育の導入というだけにはとどまらず、個別的な学生の指導や相談の場になっています。 2 年ゼミもそういう役割を少し果たしますが、むしろ、 2 年ゼミの場合には、 3, 4 年生での専門教育への橋渡し的な役割が強くなります。続きまして、留学生に対する学習支援であります。留学生につきましては 1 年ゼミ、基礎ゼミの担当教官がアドバイザーになるということが多いわけですが、特に留学生の場合には、最初日本での生活になじむまで困難が大きいということで、 1 年次に適当な日本人学生をチューターとしてつけるようにしております。その他留学生支援の組織として、留学生センターがあり、その中には留学生相談室がございます。しかし法学部といたしましては、より緊密に留学生をサポートする環境を整えるために、独自に留学生担当講師というポストを 2 つ設けまして、大学院で留学生向けの概論講義を行うとともに、学部内で留学生相談室という部屋を設けまして、随時留学生から相談を受けることにしております。
        〔3,4 年生〕
        3,4 年生につきましては、古くからの伝統で、本学の場合、 3, 4 年もち上がりのゼミが未だにほとんどでございます。その中では 2 年間 1 人の教官が個別指導を行う、またゼミ旅行などをするということで貴重な人間関係形成の場となっているわけですが、教官は学習面、生活面全般に渡ってゼミ生の相談に応じる、あるいはゼミによっては独自の OB 組織がありまして、就職の際にそのネットワークを使うものも少なくないということであります。その他一般的な学生支援態勢について述べますと、まず学生の自習室がございます。学生の自習のためのスペースといたしまして、法学部の学舎 3 階に学生の自習室を設けまして、開放しておるわけですが、狭い・暗い・汚いというわけで評判が若干悪うございます。それで図書館の閲覧室を利用する学生が多いわけです。この点、卒業予定者に対するアンケートの中でも、かなり学生から厳しい評価が出ておるところであります。また、もう 1 つ問題点をあげますと、法学部学舎の中に学生が授業の後集まって雑談したり、討論するというような学生のためのアメニティのためのスペースがないということがございます。学生諸君としては国際協力研究科の談話スペースを使ってみたり、あるいは生協食堂、生協の屋外のテーブルなどを適宜利用するわけですが、生協は特に手狭なうえ老朽化しているという問題点がございます。但し、平成 15 年に正門横に新しい総合研究棟ができ、そちらに新しい食堂ができますので、アメニティのスペースもそちらの方でまかなえるという予定であります。
        〔学生寮〕
        学生寮につきましてはファカルティレポートの 28 頁に簡単な説明がございますのでご参照下さい。ここにはあがっておりませんが、住吉等の 4 つの寮のほかに、留学生用の宿舎としてインターナショナルレジデンスというものが別にございまして、 100 名少々の留学生を収容しております。さらに、セクシャルハラスメントに対する取組についても一言いたしますと、全学的な組織として神戸大学セクハラ防止委員会を設けまして、法学部でも 4 名の教官を相談窓口としてガイダンス・パンフレット・ポスター等々で学生に周知せしめ、被害の早期発見、予防に努めておるところであります。司法試験関係についてもご説明いたしますと、これについては法学部案内の 14 頁に簡単な説明がございます。 OB の法曹が組織いたします凌霜法曹会という団体が、司法試験の論文試験のための答案練習会、これを凌霜雄法会と申しますが、これを毎年行っております。年に 15 回程度の答案練習を行い、会費制ですが、他大学の学生にも開かれたものになっております。法学部としてもこれを全面的にサポートしておりまして、事務作業、あるいは場所の提供のほか、法学部の教官が、出題、採点、講評を行うといった形で協力いたしております。さらに、同じ法学部案内 14 頁に説明がございますが、法律相談部という課外活動団体がございます。これは古いものでございまして、名誉教授クラスの OB もおるようなクラブでありますが、毎週土曜日に法律相談を行っております。夏には移動法律相談を 1 週間行いまして、これには法学部の教官も参加しております。

        ●卒業後の進路について
        【中野】次に卒業後の進路についてもご説明申し上げます。卒業者の数あるいは入学者の数などは、「学生便覧」 173 頁、 176 頁にあげておりますが、ここではむしろこれは使わずに、私が本日お配りいたしました学生委員説明用当日配布資料をご覧いただきたいと思います。この一番下をご覧いただきますと、入学卒業の状況、 3 年次編入、第二課程を除くという表がございます。なぜこれを作ったかと申しますと、あまり胸を張っていえる話ではないのですが、当学部の留年者の状況について若干ご説明したいと思ったからでございます。すなわち、この一番下の表をご覧いただきますと、平成 10 年度の入学者、昼間主の場合 233 名という数字がございます。平成 13 年度の卒業者がその右にございまして、 208 という数字がございます。そうするとあまり変わらないではないかということになるわけですが、その横にカッコ書きで、うち平成 10 年度入学者の数を書きこんでみました。そうすると、平成 10 年度に 233 人入学したもののうち、その 4 年後平成 13 年度の卒業者として出てくるものは、わずか 134 名しかいない、残り 100 名は 4 年間では卒業できなかったという数字になるわけでございます。これはパーセンテージにいたしますと 58% ということになります。この表には掲げておりませんが、平成 8 年度は 61% 、平成 9 年度は 63% となっておりますので、 4 年で卒業するものの割合はだいたい毎年 6 割にとどまっているということになります。夜間主コースでもほぼ同様の傾向が見て取れるわけでございますが、しかしおそらく、昼間主コースの場合と夜間主コースの場合とでは理由は同じではないと我々は考えております。すなわち、夜間主コースの場合、学力的な問題、あるいは通学上の困難等もありまして、所定の期間内に単位をそろえることに困難がある。これに対しまして、昼間主コースの場合には、司法試験をはじめとする資格試験の受験者が意図的に休学する、あるいは留年するということが多いことによるというように思われます。最後に、卒業後の進路についても一言させていただきます。司法試験の合格者につきましては、「法学部案内」 14 頁に表をあげてございます。左の上の表をご覧いただきますと、司法試験の合格者数が出てまいります。かつては司法試験委員の数が合格者の数をうわまわると全国的に陰口をたたかれておったわけですが、最近では担当教官の強いサポートもございまして、合格者が徐々に増える傾向にございます。企業、官公庁への就職者数、あるいは大学院の進学者数等につきましては、同じ冊子の 16 頁に先輩の進路ですという形で、数があげられております。より詳しい個別企業の名前等はファカルティレポートの中にもございますので、ご参照いただきたいと思います。従来より、金融保険等へは就職者が多かったわけですが、近年の傾向としては、重厚長大産業を嫌って、それに代わってマスコミ、情報通信、 IT 、ソフト関連業種への就職者が増加しております。また公務員志望者が多いということも、昔ながらの当学部の特色かといえようかと思います。就職状況は従来より必ずしも悪くはありませんでしたので、特に学部としては特別なガイダンス等はいたしておりません。必要に応じて、全学の就職ガイダンスに参加するようにさせております。全学の就職ガイダンスは 3 年後期 10 月から始まり、公務員、民間等に分けて昨年度は 8 回行われました。内容としては、公務員試験の試験担当官による説明でありますとか、あるいは模擬面接による面接指導、講演会、あるいは 4 回生による体験報告、各企業採用担当者による説明等々でございました。以上でございます。

        ●教育内容・方法の改善のためのシステムについて)
        【瀧澤】ここでは、 1 つは、今日資料としてお配りいたしました、法学部の「授業評価アンケート」の実施状況について、簡単に説明させていただきたいと思います。平成 13 年度後期の授業から行っており、今後も前期、後期、毎年実施する予定にしております。お手元に「授業評価アンケート授業別結果一覧」という A3 の資料がございます。それから、アンケートの項目内容ということで 2 つ資料を付けております。アンケートでは、授業の内容・方法等について、つまり話し方、授業の進度はどうであったのか、教官の熱意は感じられたかといった項目について、調査をし、その結果につきましては、担当教官には、個別に、自由記述欄も含めまして、すべてのデータを通知しております。さらに教授会におきまして、本日の配付資料では左端が空白になっておりますが、実際にはここに具体的な授業科目名がついておりまして、それを教授会限りということで全員に知らせております。調査結果の取り扱いとして、外部に対しては特定の科目名を載せた形では利用しないという段階にとどまっておりますので、本日は左端を消させていただいて、お配りしているわけでございます。また、学生に対する結果の公表ということもいたしておりません。こういう全体的な表を教授会で各教官に配り、またそれぞれの細かな項目のデータについては各教官に知らせるというのが、現在のところでございます。これについては、徐々に、実績を重ねて、教官の了解を求めながら、外部にも公表していきたいと考えております。
         それから、もう 1 つは、「卒業予定者を対象としたアンケート」であります。これも資料としてお配りしております。 A4 の横書きのものです。これは、昼間主コース及び夜間主コースの学生を対象として、平成 13 年度末、ですから今年の 3 月に行ったものです。対象学生全体の約半分から、アンケートを回収することができました。これは、卒業する人たちが 4 年間に受けた教育の内容 (全体として大学が良かったのかどうか、あるいは良い授業があったのか) 、教育施設について、どれだけ満足したのかといったことを尋ねた調査であります。、例えば施設については、これは午後からご覧になっていただきますけれども、あまりよい結果が出ておりません。しかし、例えば単位認定は適切であったかとか、優・良・可について学生は納得しているかどうかということについては、比較的良い結果が出ております。こういう形でデータを集めながら、学務教務委員会等で授業改善を検討するための資料を、評価委員会として現在作っているというところでございます。

        b. 法学部における教育活動の改革
        ●昼夜開講制について
        【磯村】昼夜開講制の点については、先ほどちょっと夜間主コースというお話がございましたけれども、昭和 30 年に第二課程を法学部に開設いたしまして、夜間の学生に対して教育の場を提供してまいりましたが、平成 6 年の 4 月にこれを昼夜開講制という形にあらためております。第二課程との最大の相違点は、第二課程が夜間に開講される科目の単位だけで卒業単位をすべてそろえる必要があるのに対して、昼夜開講制というのは、とりわけ夜間の学生が昼間開講科目の単位も取って修了することができるという点にあります。夜間主コースを持つ多くの大学では、卒業要件に算入できる昼夜開講科目の単位数は 30 単位程度までということなんですけど、本学では、 48 単位まで算入可能としており、幅広く昼夜開講科目の履修が認められ、実際にも多数の夜間主コース学生が昼間の授業を履修しております。ただ、他方で夜間主コースの趣旨と夜間主コース学生のミスマッチの問題が出てまいりまして、当初は、まさに本来大学で勉強したいけれども、経済的あるいは社会的な事情で昼間の授業を履修することができないということであったわけですが、現在の夜間主コースの入学志願者については、むしろより合格しやすいので受験するという傾向が強くなってきております。併願大学を見ても、他の併願大学は昼間の大学であるというケースが多くなっておりまして、昼夜開講制のあり方についても、再検討する必要が生じているというのが現状でございます。

        ●法科大学院設置後の学部教育について
        【磯村】もう 1 つは、法科大学院設置後の学部教育に関わる点ですが、先ほども申し上げましたように、法科大学院が設置されると、いわゆる法曹養成のための法学専門教育というのは、そこで完結的に行われるということになります。もちろんその場合でも、いわゆる法学既修者枠は、法学の基礎的な力が備わっているということでありますので、法学既修者として法科大学院の進学を目指す者との関係では、法学部教育が依然として一定の役割を果たすということになるかと思います。しかし、従来から法学部教育については、帯に短したすきに長しといことがよくいわれておりますように、一般企業に就職するような学生にとっては、必ずしも必要でないような技術的な部分の説明があり、他方で専門教育という面からいうと、また十分ではないというところがあったかというように認識しております。そこで今後の法学部教育のあり方としては、主要なユーザーである、社会に出て実践的な活動の中で法学部で学んだ知識を活かすという学生諸君のための学部教育がどうあるべきかということをまず考え、法律学が社会の中でどういう意味を持っているかというようなことに焦点を当てたような授業を行ったり、あるいは法学部から法科大学院に進学する者についても、法律漬けではあまり適当ではないということになりますので、政治・国際分野の科目、さらには経済学、経営学の分野も含めて、社会科学の分野について学部段階で広く素養を身に付けるというような学部教育改革というようなことも必要ではないかということで、今検討を進めているところであります。長期的に法学部教育がどうなっていくか、アメリカ型のようにそもそもカレッジのレベルでは法学部はなくなっていくのかは、よく分かりませんが、全体の動きを見ながら、学部教育のあり方について、再検討を行っております。かなり固まっているものとして、大学 1 年次において、高校から大学への転換教育を重視しようと考えております。そこでは、転換教育のための授業を 1 クラス 50 人ぐらいで行い、いろんな角度から扱えるような共通のテーマを取り上げて、事前準備に基づいて討論をし、また、ペーパーを出させて、それをチェックするというような形で、現在各方面で指摘されております書く能力の不足を補い、 1 年次後期にはさらにゼミを行うというように、大学における勉強の仕方を、最初の段階でかなり手厚く見てはどうかということを考えております。 2 年生、 3 年生ぐらいになりますと、それぞれの段階で自分がどういう方向に向いているのか、ある程度自分で自覚できるようになるかと思いますので、法律系を特に将来やりたいという人については、少人数で鍛えるようなゼミ的なものを開き、他の進路を目指す学生諸君には、それにふさわしいカリキュラムを考えている状況でございます。
         

      1-3 研究活動及び社会的活動に関する説明

      【吉川】それでは、今、皆様お持ちの実施概要に基づいて、最後の「研究活動及び社会的活動に関する説明」に移りたいと思います。これについは、皆様のすでにお手元にございます「ファカルティレポート」及び「教官紹介パンフレット」に基づいて進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

      1. 所属教官の公表された著作、論文等

        【瀧澤】研究活動につきましては、こちらとして資料としてご用意できるのが、「ファカルティレポート」ということになります。ただ、この報告書の対象となっている期間が 2001 年 3 月までということで、以後の 1 年分がございません。こちらの方で十分な資料を作ることができませんでしたことをお詫び申し上げます。研究活動につきましては、本研究科全体としての活動の質、量というものをご評価いただければと思っております。教官全体の構成、どのような分野でどのような年齢のスタッフがそろっているのか、それから国際交流活動、研究発表、科学研究費等々につきましては、「ファカルティレポート」の V から VII 、及び X というところでご評価をいただければと思っております。本日の予定といたしましては、資料として「教官構成」と「教官紹介パンフレット」を用意いたしましたので、これを見ていただきながら、ここに掲げました各講座ごとについて、簡単な説明をすることにしたいと思います。
         <以下、丸山による基礎法、法社会学の、井上による公法、刑事法の、磯村による民事法、商事法、社会法の、中野による国際法の、そして吉川による国際関係論、政治学、政治過程論の各教官の簡単な説明がなされた : 省略>

      2. 内外での学会における開催、企画、司会、報告等の活動状況

        【吉川】それでは最後になりましたが、内外での学会における開催、企画、司会、報告等の活動状況について説明いたします。

        【瀧澤】これにつきましても、こちらとしてご用意できた資料は、「ファカルティレポート」の X 「教官個人の研究・教育活動報告」という項目でございます。これは各教官必ずしも体裁が統一されてはおりませんけれども、この報告をご覧いただいた上で、評価をしていただければと考えておりますので、ここでは説明を省略させていただきます。

       

    2. 外部評価委員会質疑応答の要旨

      外部評価委員会において、本研究科・法学部が現状を説明し、これを受けて午前の部及び午後の部において、外部評価委員との間で質疑応答が行われた。
       以下は、当日の録音記録をもとに、評価委員会が資料として編集したものである。

      <午前の部>
      ◆〔教員の教育負担について〕
        教員の負担コマ数等、どの程度先生が負担をしているのか、イメージとして分からないところがあるが (戸松委員) 。

      ◇学部、研究科をあわせ、 2 年間を通して平均 16 単位から 20 単位が、 1 教官あたりの負担数となっている。大学院における研究指導に関しては、専修コース、社会人コースの場合各教官の指導院生数を 3 名までとし、ほぼ全員の教官が何名かの指導教官となっている。研究者コースについては、院生の希望にそのまま応じて指導教官を引き受けるのが原則である。また、学部の場合には、これにゼミ (基礎ゼミ、 2 年ゼミ、 3,4 年生向け演習) が加わり、各教授が必ず 1 つは担当することになっている。 2 つ引 き受けている教官もいる (井上) 。



      ◆〔サバティカル制度について〕
      かなりの負担であると思われるが、全体として教官はどのように受け止めているか。サバティカル 制度は設けていないのか (戸松委員) 。

      ◇教官の負担感について特に調査したことはないが、社会人コース等の設置後、負担感は増えていると思われる。また夜間主コースを持っているという点で、国立大学の中では他に比べて負担が多いという面もある。さらに、法科大学院の設置に伴い負担は増えざるを得ない。研究面での影響も考えられ、非常に重要な課題であり、今後十分に検討を進めていきたい (磯村) 。



      ◆〔大学院専修コースについて〕
        専修コースに入学する学生は、どのような構成になっているのか。このコースに社会人はいないのか (村松委員) 。

      ◇法律系の場合は司法試験受験者が多く、政治系については、研究者コースを希望したが、入れず、 1 年間専修コースで研究を続けて後期研究者コースに進学したいという学生がいる。進学できない場合には民間会社等に就職しているようである。
        授業展開で社会人に対して配慮していないので、勤めながら専修コースで勉強することは、実質的に難しいと思う。専修コースで勤めながら学んでいる学生はほとんどいなく、社会人は社会人コースへ入っている (月村) 。

      ◇ 1 つの理由に、入学試験の枠の違いがあると思われる。専修コースの入学試験では、語学と、専門科目試験が課されているので、特にそのための勉強が必要だが、社会人の方はこのような試験が課されていないので、大学院に進みたい社会人は、主に社会人コースを選択することになるものと思われる (磯村) 。



      ◆〔第 3 年次編入学について〕
        3 年次編入試験の人気が突出しているとの印象を強く受けたが、その原因について分析を行っているか (浜田) 。

      ◇地理的な関係がかなり大きいのではないかと思われる。神戸大学法学部の編入学を受ける学生は、大阪大学の編入学、あるいは京都大学の編入学を同じように受けており、この 3 大学で 1 週間ずつずれて 編入学試験が実施されているので、 3 つ受ける学生がかなり多いのではないかと思う。また、ほぼ同じ科目で編入学試験が行われているので、これはやむを得ないところがあるものと思われる (井上) 。

      ◇従来の編入学制度は、学士入学というイメージが強かったが、現在では、他の大学から 3 年次編入することが神戸大学の場合には可能となっており、そのため例えば関西の私立大学法学部の 2 年生が神戸大学に 3 年生として入るという形での利用の仕方が、非常に多くなっているものと思われる。制度をスタートさせた時点では、例えば短期大学卒業生が合格する例も少なからず見られたが、法学概論、一般教養、英語が試験として課されている関係で、どうしても法律を学んでいる学生が有利になっており、従って入学者のパターンも、他大学法学部からの横滑りがパーセントとしてはかなり高くなっている。こうしたことが、希望者が多い 1 つの理由かと思われる (磯村) 。

      <午後の部>

      ◆〔学部の履修コース制について〕
        学生自身が必ずしも明確に進路を決めているわけではないと思われるが、進路ごとに分けられた 5 つのコース制の設置は、実際にも十分機能していると評価しているのか。問題があるとの認識はないのか (戸松委員) 。
      ◇年度はじめのオリエンテーションにおいて、 1 年生には時間割の作成について、 2 年生には、 3 年生に なるとコースを選択することになるので進路をよく考えておくよう指導している。コースの選択では、圧倒的に司法コースが多いが、他のコースにもそれぞれ相当数の学生が所属している。法曹を目指す学生はすべて司法コースを、公務員志望は行政コースを選択するものが多く、この点ではうまく機能しているものと思われる。また、やはり企業への就職を希望する学生は産業コース、マスコミ関係志望は政治・国際コースを選択しているようである。なお、選択したコースの変更は各ゼメスターごとに可能となっている (井上) 。


      ◆〔大学院改革の評価と今後の法科大学院計画〕
        これまでの大学院改革をどのように評価し、その評価をふまえた上で、法科大学院の設置へ向けて、現在どのような検討を行っているのか (浜田委員) 。

      ◇部局化による研究大学院としての性格の重視という点は、今後とも変わらないと考えられる。ただ、実定法系の研究者養成は、法科大学院が設置されると、その修了者を後期課程に受け入れるというように変化することになるものと思われる。
        専修コースに入学する学生は多様であったが、このうち、特に司法試験を目指す者は、法科大学院の設置によってなくなると予想される。社会人教育の今後のあり方については、法科大学院における社会人の受入とも関連して、なお検討すべき課題といえる。
        要するところ、法科大学院の設置により法曹養成という重要な機能が加わることになるが、それとともに従来果たしてきた機能を必要かつ適切な範囲で維持することになると考えられる (磯村) 。


      ◆〔大学院における社会人の受入、教育内容・方法について〕
        社会人教育に対して意欲的に取り組む姿勢はうかがわれるが、カリキュラムを見る限り担当者はほとんど大学の教官である。法科大学院における教育と同様、実務家による実務的な教育が必要と思われるが、どうお考えか。
        また、税理士志望者の受入、職業人の再教育についてどうお考えか (水野委員) 。

      ◇法政策専攻を設けたときに、研究科として何を提供できるかという観点から新しいカリキュラムを作り、可能な限り自分たちで教育を行うという考え方があったが、社会人のニーズを考慮すると、実務家教員を増やすことは考えられる。
        税理士志望者については、試験免除制度との関係で志望者も多かったが、試験制度が変わり、税法を担当する教員の研究指導を受ける必要があるが、そのような教員の数は限られており、志望者が多いと負担の集中という問題も生じうる。
        職業人の再教育については、例えば弁護士や司法書士の方が、前期課程社会人コースや後期課程の高度専門職業人養成コースでに入って論文を書くという例もある。また、法科大学院設置後は、現役の法曹の再教育という問題も考える必要があり、法曹リカレントコースの設置を検討している。さらに、科目等履修生制度を利用して、例えば、ある特定の専門科目を学びなおすという可能性もある (磯村) 。


      ◆〔大学院における政治社会科学専攻について〕
        どういうコンセプトで「政治社会科学」という名称を付け、政治学系に法社会学が加わるという科目構成になっているのか (村松委員) 。

      ◇政治学のみならず、広範なアプローチから横断的に教育する目的があったためと思われる (月村) 。


      ◆〔法科大学院を前提にしての法学部教育、法科大学院における学生受入方針について〕
        既修者、未修者の比率についてどうお考えか。
        それぞれに対して、どのような教育を受けておいて欲しいのか (村松委員) 。

      ◇当面の問題としては、これから法科大学院に進もうとする学生の大部分が法学部出身者であり、すでに法学部専門教育を受けているという点を考慮すると、既修者コースの割合を比較的大きくとって 7 割、未修者コースを 3 割としたいと考えている。しかし、法科大学院の設置により、法学部教育の再編が行われるようになると、後者の割合が大きくなってくると考えられ、また、そのような方向に進むべきだと思われる。
        既修者コースの学生は、学部と法科大学院を通じて法律学しか学ばないとすれば視野が狭くなる恐れが大きく、学部段階において、むしろ実定法以外の諸分野 (政治・国際系や経済・経営科目等) を同時に学んでいることが期待される。未修者については、法学部出身者でも広く社会科学全体の素養を身につけ、そうしたものの見方を勉強してきた学生、経済や経営の専門を学んだ学生、あるいは、例えば理学部、工学部のようなまったく違った分野を学んだ学生が法科大学院に進学するというように、多様なバックグラウンドを持つことが望ましく、それによって法曹の多様性も確保されることになると考えられる (磯村) 。


      ◆〔学部における専門基礎教育について〕
        専門基礎という概念で 1 年生に経済科目を課しているが、専門教育とどのように結び付けて科目配置を行っているのか (村松委員) 。

      ◇全学共通科目の 1 つとして「専門基礎科目」というものが設けられており、 4 単位以上必修という形で、 現在、経済及び経営の科目を配置している。平成 12 年度までは、社会科学系の経済、経営及び法学部の学生はいわゆる旧教養における社会科学系科目をすべて履修することができなかったので、 1,2 年次に社会科学系科目も勉強してもらいたいとの観点から、専門基礎という名称でこれらの科目を課していた。キャップ制導入に伴う平成 13 年度のカリキュラム全面改正によって、自分野の教養原論科目 (「人間と社会」) を 4 単位まで履修できるようになり、経済、経営の基礎的な科目が「専門基礎科目」として残ることになった。社会科学を勉強する上で法学一辺倒では困るし、法学、政治学の専門科目を展開していく上でもある程度の経済、経営に関する基礎的知識は必要であり、有益であるという理由から、設けている (井上) 。


      ◆〔法科大学院設置後の公務員養成について〕
        法科大学院設置後、もし今まで通り主に法学部出身者が公務員になるとすると、多くの公務員は大学で法律しか勉強してこなかった者が占めることになってしまう可能性が高い。しかし、確かに公務員試験において法律は重要であるが、実際の仕事の内容を考えると法律だけしか知らないと困ることになるのではないか。この点、どのようにお考えか。
        また、法科大学院設置後における政治学の位置づけについてはどうか (村松委員) 。

      ◇公務員の場合に限らず、学部と法科大学院を通じて法律しか勉強しないことになるという懸念には十分留意する必要がある。例えば、法学既修者の受験資格として法律系以外の科目を一定単位以上修得していることを要件とするといったこともありうる。
        政治、国際系の位置づけは難しい問題であり、法科大学院の設置形態がどうなるか (専攻か独立研究科か) とも関連して、検討している段階である (磯村) 。

      ◇法科大学院設置後の政治学の位置づけについては、法科大学院が別組織になった場合も含めて、現在、検討中である (月村) 。


      ◆〔大学院社会人コース及び大学と企業との関係について〕
        現在の厳しい経済状況下では、採用者数も減少し、企業には社会人コースに人材を派遣するだけの余裕がなくなってきている。また 2 年間企業を離れることは、派遣された者にとっても、職場復帰の点で問題がある。企業から大学院に人材を派遣するニーズは減少しているのではないか。
       むしろ、これからは、大学の社会活動という意味においても、企業と大学が一緒になって種々の問題を考えていくという方向に、企業側のニーズがあるように思われる。こうしたニーズに応えるような、教育、研究活動を考えていただけないか (中尾委員) 。

      ◇従来の社会人教育の中で、 2 年間企業を離れるというブランクを補うだけの成果を上げることができていたかどうかは、問題もあった。神戸大学の場合、 1 年間での短期修了という制度があり、これに対するニーズは比較的強かったと思われる。
        大学と企業等が共同で何かを行うというのは、特に国立大学の場合には種々の制約もあったが、今後は国立大学も独立行政法人となり、社会貢献という意味でも、連携の仕方について積極的に検討を進めたい (磯村) 。


      ◆〔学部、大学院における外国人留学生の受入について〕
        外国の大学との交換留学制度の有無、受入状況、カリキュラムの内容は、どうなっているのか (戸松委員) 。

      ◇交換協定は行っている。カリキュラムは基本的には一般学生と同じであるが、日本の法や政治に関する入門的な授業は設けている。留学生の数は、神戸大学全体の中で法学部は比較的多い方である。大学院生の数は、法学、経済、経営の 3 学部で比べると少ない方だが、学部学生の数は法学部の方が圧倒的に多いようである。学部の留学生は、法律というより政治系を学びたい人が多い。また中国からの留学生については現在の日本の私法や制度を勉強したいというが多いようである (井上) 。


      ◆〔情報の保護、開示について〕
        大学全体として、個人情報保護、情報開示についてどのように取り組んでいるのか (戸松委員) 。

      ◇学部の入試に関しては全学で行っている。前期・後期試験の個人成績に関しては、一定期間内の受験者本人の申請に基づき、合格最低得点からの得点差及び不合格者の順位のランクについて情報を開示している。編入学試験についても、受験者本人に生の得点のみであるが開示している。なお、個別入試における各学部の最高点、最低点、平均点等につき、大学本部がホームページに掲載をしている (井上) 。

      ◇大学院の情報開示については、現在、全学的なガイドラインの作成中である。特に個人成績について、法学研究科としては、筆答試験の合計点の得点率を、不合格者に対してのみ開示することを考えている (月村) 。


      ◆〔施設について〕
        教育プログラム、システムが立派であるのに比べ、施設がその割には貧弱である。現在では、施設充実は学生が大学を評価する際の重要な点であり、各大学が鎬を削っているところである。この施設で魅力ある教育をやっているとすれば、先生方のご努力に負うところのもであると思われるが、施設改善の努力についてはどうか (戸松委員) 。

      ◇第二学舎だけ見ると非常に貧弱であるが、六甲台の施設は経済、経営及び法学部の 3 学部がすべてを共有して、利用しているので、例えばゼミ室に困るという問題は生じていない (井上) 。
      ◆〔授業方法について〕
        シラバスの中の学生へのメッセージ欄を見ると、学生に対する積極性を促す言葉がいくつかあり、これは学生があまり積極的ではないことを反対に意味しているのではないか。日本の大学共通の悩みとは思うが、これについてのお考えはどうか。ソクラテスメソッドの導入、教員相互の授業参観等、教室の進め方、あり方を検討する必要があると思われるので (戸松委員) 。

      ◇講義の進め方については、教官によって様々であるが、多くの教官は、レジメの配布、パワーポイントの利用等、努力している。これに対応する形で、授業評価も行われているところであり、今後も検討していきたい。学生の積極性が足りないことについては、現在の講義形態ではやむを得ないところがあるが、学生に質問するなど、かなりの教官は努力している (井上) 。


      ◆〔学生のための施設について〕
        学生がキャンパスに来て、教室以外で考え、読み、話すようなスペースを十分設けることが今後の大学のあり方として必要と思われるが、このような施設作りへの取組はどうか (戸松委員) 。

      ◇確かに、このような学生用スペースの必要性は痛感しているが、従前あった談話室が事務施設に転用されたこともあり、満足のいく状況ではない。但し、近く完成予定の総合研究棟内には、学生用談話スペースも一部設けられる予定である。学生のアメニティの問題は、各学部のみならず大学全体の課題として認識されつつあり、全学の委員会でも協議を始めたところである (中野) 。


      ◆〔施設の整備・改善について〕
        施設が貧弱である点は、国立大学が抱える共通の問題と思われるが、施設の充実は予算の問題であると同時に管理運営体制の問題であって、この体制が非常に弱いところにも原因があることを自覚する必要がある。名古屋大学の経験を申し上げれば、施設の管理運営に責任を持って、努力し、工夫すれば、限られた予算の中でも改善を進めることができた。お互いこうした努力を行っていきたい (浜田委員) 。


      ◆〔ファカルティ・ディベロップメントについて〕
        ファカルティ・ディベロップメントは現在大学が重視すべき問題となっており、神戸大学では授業アンケートを実施しているとのことであるが、導入しようというときの議論の状況について、また教育改善の指針として評価結果を分析するといったことへの取組、体制作りについてお伺いしたい (浜田委員) 。

      ◇現在大学がおかれている状況からして、評価委員会としては、議論をした上でというよりは、ともかく実施しようということから出発した。そのため、先生方がどのように考えているのか事前に十分に確認をすることのないまま、委員会として進めてきたという面は否定できないかと思われるが、反対する先生もなく、順調に活動することができた。また、今後も定期的にアンケートを実施していく中で、教官の意識もさらに積極的なものへと変わっていくものと考えている。調査結果の分析については、分析手法も含めて現在作業を始めたところである。アンケートの実施、集計の体制は、これまでなかったところから作り上げなければならず、例えば手書きの回答用紙をもとにデータ入力を行っているのが現状である。実施から分析・改善策の検討に至るまでの体制整備の必要を痛感しているところである (瀧澤) 。

      ◇若干補足すると、授業評価を組織的に行うということについては、大学を取り巻く外部的な事情も関わっているが、多くの教員は、それぞれ工夫して授業アンケートを実施してきたという実績もある。アンケートの内容をどうするかについては、さらに検討の余地がある。また、ファカルティディベロップメントの一環として、教員相互の授業参観というようなことも取り入れていく必要があると考えている。特に、法科大学院における授業とも関連して、ファカルティディベロップメントに対する積極的な取組が必要であると認識している (磯村) 。

      ◇平成 10 年度から、開講されたすべての学部講義の試験結果 (履修者・受験者数、優・良・可・不可の人数、合格者数、各割合や比率) について資料を作成し、教授会メンバー全員に配布している。これは、どの程度教育効果が上がっているのかを相互にチェックし、確認するために始めたものである。自分の授業の上手、下手を知られてしまうといった不安もあり、反対もないわけではなかったが、教授会で了承され、すでに始めてまる 4 年が経過した。非常勤の先生についても、本人の了承を得て表に載せている (井上) 。


      ◆〔成績評価の公表等について〕
        各科目の試験での優良可の分布を公表しているか。また、私どもの経験として、学年末試験問題、成績結果の公表を行っているが、学生に好評である。情報公開の良い効果が表れると思うが (戸松委員) 。
      ◇公表はしていないが、今後、ファカルティレポートに結果の概要を載せることを検討中である (井上) 。


      ◆〔授業評価結果の受け止め方について〕
        授業評価アンケートの結果を見ると、評価が 3 点台のものが結構ある。私の予想していたよりも悪いという率直な印象を受けたが、大学としてこの結果をどう受け止めているのか。また授業評価実施の結果、学生の評価は良くなってきているのか (水野委員) 。

      ◇個々的に見ると良い、悪いとばらつきはあるが、全体的な評価としては良い、やや良いという評価の方に傾いているので、評価としては悪くはないと考えている。アンケートは昨年度後期から実施したばかりなので、まだ改善されたかどうかの実績は出ていない (瀧澤) 。


      ◆〔夏休み前の試験の実施について〕
        授業予定表を見ると、夏休み前に試験まで行うことになっている。このようなやり方の方が良いと感じていたが、いつから始め、その効果はどうか (村松委員) 。

      ◇ 7 月中に試験を行うのは今年度始めてである。以前から検討していたが、空調設備の関係でこれまでは夏休み明けの 9 月に実施していた。今年度、全館空調設備が付き、講義終了後直ぐに試験を行う方が効果が上がるのではないかということで実施した (井上) 。


      ◆〔大学院の特殊講義について〕
        法学研究科シラバスを見ると、何年度以降開講せずという特別特殊講義があがっているが、どのような理由で開講せずとなっているのか (村松委員) 。

      ◇特殊講義というのは、学部開講科目で、大学院の専修コース、社会人コースの学生が履修可能な科目である。 15 年度、あるいは 14 年度以降開講せずというのは、平成 13 年度からの学部カリキュラム全面改正により、平成 12 年度入学生まではあったけれども、平成 13 年度入学生以降はなくなってしまう科目で、ただ平成 12 年度入学生まであったということは、平成 12 年度生が 4 回生を修了するまでは少なくとも一度は開講しなければならないので、例えば 15 年度は開講するが、それ以降はなくなってしまうことを予め告知しているにすぎない。なお、特別特殊講義は、大学院のいわゆるプロパーの科目ではなく、法学部以外の学部から入ってくる大学院生、特に社会人、専修コースの学生に自分の研究との関係で基礎的な知識を習得してもらうため、特別特殊講義という名称で学部科目を同時に大学院生にも開講している科目である (井上) 。


      ◆〔教官の出身大学構成について〕
        出身大学の一覧表を見ると、公法、刑事法、商事法は東大が、国際法は京大が、民事法、社会法は東大と京大が半々を占めているという印象を持ったが、もう少しバラエティに富むよう努力した方がいいのではないか。また女性の教員が一名しかいないが (水野委員) 。

      ◇出身大学については、きるだけ広く全国から優れた研究者を集めようということで、結果的にこのような構成になっている。分野的に偏っているという面もあるが、出身大学を意識して採用するというケースは全体として非常に少ないといえる。教員のジェンダー問題については、非常に重要な課題であり、ご指摘をふまえて、さらに改善に努めたい (磯村) 。

       

  
  
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