弁護士9年目~常に進化を~

後藤 未来 さん

第2期修了生
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 パートナー

弁護士(日本及びニューヨーク州)。2009年アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所・2017年同事務所パートナー就任。2002年~2004年株式会社日立製作所勤務。京都大学理学部卒業・東京大学大学院工学系研究科修了・神戸大学法科大学院修了・スタンフォード大学ロースクール卒業(LL.M.)。

先生は理系のご出身で弁理士の資格も持っていらっしゃいますが、どのようなきっかけで弁護士になろうと思われたのでしょうか。

企業の知財部では、事業部門で生まれる発明の権利化や、他社特許の分析といった業務を担当していました。その中で、より広く企業活動に関わる契約や紛争等にも仕事の幅を広げていければと思うようになりました。そんな折、偶然、弁理士・企業知財部出身の某弁護士(小説『下町ロケット』の神谷弁護士のモデルにもなられたそうです)の講演を聴講する機会がありました。これに感じるところがあり、(我ながら図々しくて恐縮しますが)同弁護士に面談をお願いし人生(?)相談に乗って頂きました。日本の製造業が国際競争力をさらに高めていくためには、これをサポートする弁護士、特に技術の理解力がありこれに絡む紛争や取引などにも明るい弁護士が日本にももっと必要である等のお話を伺って、心は決まりました。

現在のお仕事の内容について教えてください。また、大規模総合法律事務所に特徴的なお仕事などはありますでしょうか。


事務所会議室にて

知的財産や技術に関連する法分野の仕事が多いですが、海外との取引案件をはじめ企業法務全般に関する助言なども幅広く行っています。知的財産法分野では、特許訴訟等の紛争案件が6割程、契約やM&A等の取引案件が4割程の割合かなと思います。大規模総合法律事務所に特徴的と思われるものとしては、例えば知的財産に着目した大型のM&A取引に関連する仕事が挙げられるでしょうか。知的財産関連のデューディリジェンスや契約書(当該M&Aに係る一連の契約書群の一部をなすものです)の作成・交渉等を行うもので、一般に規模が大きく内容も複雑なものであることが多いです。厳しいスケジュールの中、他のチームメンバーらと緊密な連携をとりつつ、当該取引全体の(依頼者にとっての)目的やその中での知財の位置付け等を的確に見定めつつ進めることが不可欠で、一筋縄でいかないことも多いですが、その分面白くもあります。

これまでに特に印象に残った案件などについて教えて下さい。

どの案件もそれぞれに個性があり、印象に残らないものはないのですが、外回りが好きなので海外渡航を伴うものは特に印象に残っています。

いくつか例を挙げますと、一つは、入所後1年経った頃に関与した米国での仲裁案件があります。仲裁の場所は米国で、証人尋問は現地のホテルで10日間程かけて行われました。私も、その準備のために1週間程現地のホテルに滞在しました。風光明媚なリゾート地だったのですが、私は、新米でしたので、現地の若手弁護士らと一緒にホテルの大部屋に篭って資料の分析や尋問担当弁護士のサポートに当たりました。米国の現地弁護士とチームを組んで闘う中で学ぶことも多く、得難い経験をさせて頂きました。また最近では、米国での特許訴訟において日本法のカウンセルとして関与する経験を得ました。米国の訴訟であり、直接には現地の法律事務所が代理するのですが、訴訟で問題となる特許や契約書等について日本法上の問題が絡むために、弊所も関与することとなったものです。日本法上の論点については、双方当事者から日本法の専門家の意見書が提出され、この専門家に対するデポジション(トライアル手続きに進む前に当事者間で行われる証人尋問です)も行われました。私も、デポジションへの参加とその準備のため、当方の専門家とともに米国に1週間程滞在しました。デポジション当日は、証人1人に対し10時間以上尋問が続くこともあるハードなものですが、現地カウンセルらとひざ詰めで議論しながら尋問の準備を行うのはとても刺激的で、貴重な経験となりました。


スタンフォード大学ロースクールにて

通常業務からは少し離れますが、海外留学・研修も忘れられない思い出です。私は、ドイツミュンヘンに1年間、米国スタンフォードに1年間、香港に4ヶ月程滞在し、苦労も含め多くの貴重な体験をさせて頂きました。外国法の勉強や異国での生活体験もさることながら、各国からの優秀な留学生と親密でフランクな交流ができたことも得難い人生経験となりました。スタンフォードで仲良くなった韓国政府からの留学生とは、互いに単身赴任だったこともあり一緒に各地を旅行したりもしました。目的地まで7時間のドライブをした際には、車中、両国の社会情勢なども含めいろんな話をとりとめなくしました。彼とはいまでも交流がありますが、きっとあの瞬間にしかできなかった話もあっただろうと今になって思ったりもします。

将来の方向性についてどのように考えていらっしゃいますか。

目まぐるしく変化するビジネス環境の中、依頼者から今後も必要として頂けるよう、常に進化し続けていきたいと考えています。また今後は、執筆・講演などの対外的な活動を通じて、知財プラクティスを含む弊所の陣容や強みといったものを国内外に発信していくことにも力を入れていければと思っています。

神戸大学法科大学院で学ばれて良かったと思われることはありますか。

企業での勤務時代と比べると、法科大学院では時間は豊富にありましたので、思う存分興味のある勉強に打ち込めたのが有難かったです。神戸大学法科大学院の特徴は、やはり多くの先生方が学生の実力を伸ばすことに熱心で、親身に勉強の相談などにも応じてくれる雰囲気があるところかなと思います。神戸も魅力的な街だと思います。

これから法曹を目指す後輩たちに、一言お願いします。

沢山の魅力的な職業がある中で、何を面白いと感じるかは人それぞれで、向き不向きもあるのだろうと思います。私の場合は、大変有難いことに依頼者や同僚などにも恵まれ、これまでの間仕事に打ち込むことができました。どんなきっかけにせよ、法律が面白いなと感じられ、法曹を目指してみようとご決断されたなら、青春の貴重な数年間ではありますが一心に打ち込んでみるのも良いのではないかなと思います。皆様のご活躍を心より祈念いたします。

お忙しい中ありがとうございました。さらなるご活躍を期待しております。

インタビュー実施日・場所:2016年8月27日 アンダーソン・毛利・友常法律事務所
インタビュアー及び記事編集者:江藤 紗世

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