実務に直結する授業~労働事件を中心に~

近藤 秀一 さん

第4期修了生
野口&パートナーズ法律事務所・弁護士

ご経歴
2006年 東京大学法学部卒業
2008年 神戸大学法科大学院入学
2009年 神戸大学法科大学院卒業
2009年 司法試験合格
2010年 弁護士登録(大阪弁護士会)司法修習63期
2014年 国内メーカー(東証一部上場)にて企業内弁護士として勤務
2015年 野口&パートナーズ法律事務所に入所

現在までの職歴を教えていただけますか

事務所エントランス

最初に入所したのは、大手損害保険会社を主な顧客としている事務所で、3年間勤務しました。ただ、案件的に偏りがあり、経営法務的な仕事をしたいと考えていましたので、一度企業で経験を積もうと考え、企業の法務部にて一年間勤務しました。

弁護士にまた戻るつもりでしたが、ご縁もあり、使用者側の立場で労務問題を取り扱っている現在の事務所でお話を伺う機会がありました。緻密な議論が必要となる案件が多い所内の雰囲気や、予防法務にも重点を置いており企業経験が活かせると思い、現在所属の事務所へ入所いたしました。

現在のお仕事の内容についてお聞かせください。

まず、取扱い案件としては、紛争案件と非紛争案件の二つに大きく分かれます。

紛争案件とは、いわゆる裁判案件や交渉案件ですが、準備書面の作成や証人尋問対策等、膨大な記録を読んで、詳細な準備書面を作成して提出する作業なので、1件1件の時間がかかることが多いです。具体的な事務所の案件としては、労働案件が多いです。また、交通事故や離婚、債務整理、刑事事件等の一般案件も、勿論手がけております。

後者の非紛争案件は、いわゆる法律相談や契約書チェック等の案件です。紛争案件と異なり資料等は少ないので、処理にあまり時間を要しないことも多いですが、日常的に発生するもので、多いときには1日5~6件あります。企業からの法律相談は、とにかくスピード感を求められますので、相談を受けて、原則は当日、遅くとも2日以内には返答することを心がけております。

かけている時間は、ざっくりとした感じですが、紛争案件が6,7割。それ以外の非紛争案件が3,4割といった感じでしょうか。

現在のお仕事の魅力はどのような点にありますか。

近藤先生のデスクにて

労働分野は、専門的な法分野ですが、法律や判例のみならず、詳細かつ極めてマニアックな行政通達で実務が運用されている面があり、要求される専門知識の水準は比較的高いです。

また、労働事件は、「泥臭い」「生々しい」事件も多く、膨大な資料や事実関係を読み解き、緻密に論理の組み立てを行うことを要求されることが多いです。弁護士の腕次第で勝ち負けが決まってしまうこともままあります。労働法は、基本的には、労働者側に有利に働くような法的構成となっておりますので、企業側の弁護士としては、いかに企業の利益を守るか腕の見せ所の場面も多いかと思われます。

また、これは労働事件に限らない話ですが、文献に載っていないような最先端の議論、争点が実務上問題となることもあります。新しい判例実務を作るという点は、訴訟案件に携わる弁護士業務の魅力の一つです。

また、依頼者の顔が見える仕事なので、クライアントに感謝されるのは弁護士業一般のやりがいだと思います。特に訴訟案件では、勝訴するとクライアントから感謝されますが、実際訴訟に勝つとすごく嬉しいですよ。

逆に、現在のお仕事で苦労している点はございますか。

書籍棚。労働関係の書籍が多く並ぶ。

緻密な法律問題のリサーチを行う必要があるときや、クライアントから「急ぎ」の仕事を頼まれる場合に大変さを感じることもあります。しかし、仕事上は高いモチベーションをもって取り組むことができますので、司法試験の勉強ほど大変ではないです(笑)。ただ、時間が限られている中でミスができないという点はあり、緊張感は感じます。

また、依頼者を満足させるというのが弁護士の共通のテーマかと思われますが、負け筋の事案でいかに依頼者を満足させるか、中々難しい場合もあり、苦労する場合もあります。

将来はどのような仕事をしたいと考えていますか。

打ち合わせスペース

今のまま頑張っていきたいと思います。使用者側の労働実務の経験をもっと積みたいですし、事務所やクライアントの利益のために頑張ることが、自分の利益につながると考えています。

著作活動にも時間が許す限り携わっていきたいです。また、機会があれば、大学等で教える、実務家教員として働くことも考えていこうと思っています。

弁護士を目指そうとしたきっかけは何でしょうか。

ロースクールに入学した当初から弁護士になると決めていたわけではないですね。在学中は、漠然と弁護士か裁判官かのどちらかがいいとは考えていましたが…

卒業後司法試験に合格して、色々な話を聞いているうちに、弁護士と裁判官の違いを感じ取ることができました。具体的には、依頼者との距離です。依頼者との距離が近い方が、より事案を深く把握できますし、何よりも、事案を依頼者と共有しながら対応することができます。そこで、依頼者との距離がより近い弁護士を目指そうと決めました。

また、法科大学院で勉強するのは、法律がどうあって、それを適用するとどうなるか、法的にどう正しいかが中心となります。しかし実務、特に弁護士となると、法律はこうだけど、事実としてそれを裏付けるためにどう持っていくか、という点に重きが置かれます。この辺りが弁護士の腕の見せ所であり、魅力であると考えたことも、志望の理由になります。

仕事には、法曹三者それぞれに楽しさ、やりがいがあります。自分にあったものを選ぶのが良いでしょうね。

神大ローの良いところはどんなところでしょうか。

他のローの授業を受けたわけではないので難しいですが、他の法科大学院出身の人と話をしていて思うのは、基本科目が充実しているということです。基本科目は、実務の中でも前提として押さえておくべきものであり、神大ローで学んだすべての科目の内容が仕事をする上でも役に立っているものと感じます。

その中で、強いて特に役立った科目を挙げれば、まず、行政法の授業は極めて実務的であり、法律の解釈の基本を勉強できる行政実体法の考え方は、実務でも役に立つと思います。不法行為の授業があるというのもいい点だと思います。実務上の請求としては、「損害賠償請求」となる場合が多く、賠償実務の基礎となる不法行為論の基礎を、理論的にきっちり勉強できたことは、実務でも役に立っていると思います。物権や債権法の授業も、理論的なだけでなく実践的な内容であり、実務でも役立つ内容だと思います。また、大内先生の労働法を受講していたのですが、労働法の体系を理論的かつ実務的に、分かりやすく教えていただいたことについては、実務に携わるうえで非常に役に立っていると思います。

あと、神大ローは在籍人数がちょうどよく、連帯感があって良かったです。人数の多いロースクールでは、同学年でも「あの人誰」という話はよく聞きますが、神大ローでは顔や名前も知らない同級生はいませんでした。私たちの学年は、幸いにも合格率等は高かったですが、皆の顔が見えることで一体感が生まれたことが、高い合格率の一因であったと思います。

後輩たちに向けて激励の言葉を一言お願いします。

弁護士は大変だけどやりがいのある仕事です。同業者等における競争が激しくなっている点で、世間一般で言われるような「弁護士業界は大変」という部分は否定できませんが、自分の頑張り次第では新しい市場を開拓することもできますし、実際に市場を増やしていこうという動きもあります。

また、弁護士としての働き方も従前とは異なっています。私も、1年間企業で勤務しましたが、官公庁へ任期付で出向できたり、企業の法務部で働ける等、従前とは違った働き方、キャリアアップができることも弁護士としての魅力ではないかと思います。

ですから、色眼鏡で見ないで、少しでも興味があるならば法曹の道を検討するのはいいと思います。

お忙しい中ありがとうございました。さらなるご活躍を期待しております。

インタビュー実施日:2016年3月29日
インタビュアー及び記事編集者:濱田俊亮

先輩の活躍 一覧へ戻る